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同人誌のはなし

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同人誌に関する話をします。一次創作小説と情報系の同人誌を作っているので、そのへんの話題が多くなるかもです。
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#小説

同人誌の感想:伴美砂都『ウーパールーパーに関する考察』(上下巻)

同人誌の感想:伴美砂都『ウーパールーパーに関する考察』(上下巻)



伴美砂都さん『ウーパールーパーに関する考察』(上下巻)を読みました。

ものすごくざっくり言うと、母親との折り合いが悪くて学校でも上手く自分の居場所を作れないでいる十六才の少女・ゆきが、障害者施設でのアルバイトを通じて少しずつ他人とつながっていき、生活を好転させていくお話です。

伴さんの小説は、強いなと思います。

ふだんは小説に対して「強い」という形容詞を使うことに抵抗があります。
「強い

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同人誌の感想:久慈川栞『標本整理箱』

同人誌の感想:久慈川栞『標本整理箱』

久慈川栞さんの『標本整理箱』を読みました。

「公園で怪獣を散歩させていたら職務質問された」「わたしたちは指輪の上で踊る」「なつのおばけ」「或る監督員の記録」と、それぞれに趣が異なる四つの幻想譚が収録されています。

それぞれの物語の題材(ネタといいますか)は、「●●が怪獣として飼われている話」「人間の寿命が近づくにつれて、だんだん透明になっていき最後に●になる話」「帰省先で『なつのおばけ』と出会

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同人誌の感想:そらとぶさかな『さびしがりな灯台の話』

同人誌の感想:そらとぶさかな『さびしがりな灯台の話』

そらとぶさかなさんの『さびしがりな灯台の話』を読みました。

さかなさんからは、先日私の『暁天の双星』にとてもありがたいご感想をいただいたばかりで、なんだかタイミング的におかえしで感想を書いているみたいに見えてしまうかもしれませんが、関係はありません。
眠れない夜には短編をひとつ読むことにしており、手をのばした本がたまたまこのご本だったのです。
そしてとてもすてきなご本だったので、感想を書いておき

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同人誌の感想:ひざのうらはやお『煤煙~浦安八景~』

同人誌の感想:ひざのうらはやお『煤煙~浦安八景~』

ひざのうらはやおさん『煤煙~浦安八景~』を読みました。

※以下、同内容を「尼崎文学だらけ」(あまぶん)の推薦文として投稿しております。

架空の「浦安」を舞台に繰り広げられる、八つの「浦安×○○」。
明るいハレの日を描いたものもあり、かと思えば心中物や陰鬱な怪談めいたものもあり、各話異なる趣を備えています。

作者は浦安市のご出身だそうです。書き手にとって自分の故郷は、ともすれば内輪ネタや独りよ

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同人誌の感想:大滝のぐれ『バナナ農園』(再読)

同人誌の感想:大滝のぐれ『バナナ農園』(再読)

大滝のぐれさん『バナナ農園』を読みました。(再読)

※以下、ほぼ同内容を「尼崎文学だらけ」(あまぶん)の推薦文として投稿しております。

「誰彼かまわず推薦できないかもしれない!」
『バナナ農園』の表紙を再度開いたときの正直な気持ちです。
推薦文なのに、いきなりごめんなさい。

だって、一作目から「チョコミントとうんこ」。うんこですようんこ。お食事中の方すみません。ていうか、お食事中ならこんな文

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同人誌の感想:鹿紙路『玻璃の草原』

同人誌の感想:鹿紙路『玻璃の草原』

鹿紙路さん『玻璃の草原』を読みました。

平安時代初期、武蔵国多磨郡に暮らしていた農民の少女・糸(いと)と、「移配」によって東北地方から連れてこられたエミシの少女・野志宇(のしう)の恋を描いた百合時代小説。

武蔵国多磨郡は現在の東京都多摩地方。
近くに「調布市」というのがあるくらいだし、「なんとなく昔は布を作ってたんだろうな~」といううっすらした知識とも呼べない認識があったので、興味を惹かれまし

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同人誌の感想:伴美砂都(主宰)『文芸同人誌ロゼット』創刊号

同人誌の感想:伴美砂都(主宰)『文芸同人誌ロゼット』創刊号

伴美砂都さん主宰『文芸同人誌ロゼット』創刊号を読みました。

※以下、同内容を「尼崎文学だらけ」(あまぶん)の推薦文として投稿しております。

2020年はなんといってもコロナ禍の一年でした。ことによると2021年もそうかもしれません。日本のみならず世界中の人々が、未知のウィルスによって苦しめられ、生活様式の変容を余儀なくされました。
マスク、ステイホーム、ソーシャルディスタンス。当たり前にあった

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「ムーンライト・ミンストレル」について①

「ムーンライト・ミンストレル」について①

もうすぐ北海道コミティア13です。私も【Z-16】Our York Barで委託参加しております。

今日は北海道コミティア13にお預けする3種の本のうち、「ムーンライト・ミンストレル」の話をします。
こちらは2020年現在web未掲載です。(掲載するとしたら2021年3月以降になるかと思います)

「ムーンライト・ミンストレル」あらすじ「戦場の女神」サン・セヴァチェリンの王女シトリューカは、

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なぜファンタジーを書くのか①(書くジャンルと好きなジャンルがあんまり一致しない話)

おなかいたすぎてグダグダしているので、グダグダした文章を書こうと思う。

タイトルに①とつけたのは、いつかまた別角度でグダグダ書く気がするからだ。

今回は確信している。オチがない。

私はわりと異世界ファンタジー的な小説を書いている。

肌感覚だけど、ファンタジーを書く人はファンタジー作家が好きだと思う。
好きな作家として、上橋菜穂子、荻原規子、乾石智子、ホラーとかも書いているけど小野不由美、海

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