見出し画像

【社労士が解説】働くことをあきらめない介護制度・介護休業法とは【給付金あり】

異動後、初めて大きな法改正に伴う社内規程変更の仕事をやらせていただいております。
日々勉強&スキルアップに繋がっていると感じている
フク業社労士村谷洋子のnoteをお読みいただきありがとうございます☆

さて、今回は社労士っぽい話題になります。
2022(令和4)年4月1日から段階的に育児・介護休業法が大きく変わります。

育児・介護休業法改正 どう変わる?

Pixabayからの画像

令和4年4月1日
・育児休業を取得しやすい雇用環境整備 及び妊娠・出産の申出をした労働 者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
・有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

令和4年10月1日
・男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組み『産後パパ育休』の創設 
・子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる柔軟な育児休業の枠組みの創設
・育児休業の分割取得
・育児休業給付に関する所要の規定の整備

令和5年4月1日
・育児休業の取得の状況の公表の義務付け

↓大改正の説明動画はコチラ!

男性育児休業取得促進が特に大きく変わる部分となりますね。

社会的にも育児休業はある程度認識もされているし、定着している印象が。
会社でも育児休業は正社員もパートナー社員も取得するのが当たり前のような風土ができていると感じます。
(他と比較したり関わることも多い職業柄、サツドラは仕組みが整っていて本当にホワイトだなぁと思う…手前味噌で恐縮ですが)

一方で介護はどうでしょうか。
そこまで浸透していない。
育児と違い、制度について深く知らない方も多いのではと感じます。

労働と介護に関わる保険制度も忘れないで欲しいという思いでこの記事を書いています。

知られざる労働者の介護実態

総務省統計局 平成 29 年就業構造基本調査 結果の概要(単位:千人)

総務省統計によると、毎年約10万名の方が介護離職を余儀なくされています。うち8割が女性で女性就業と活躍の阻害要因となっています。

更に2025年に団塊の世代が75歳を超えると日本は「大介護時代」に突入。
私の住む北海道は特に高齢化が他の都府県より先に到来します。

そして働きながら介護を続けている人は約350万人。
介護をしている方の約半数は仕事と介護を両立させているのです。

そんな中、ぜひ活用していただきたいのが
国が法律として定めている
介護休業、介護にまつわる休暇や時間短縮等の制度です。

介護休業給付金とは

まずは 
介護休業給付金
育児休業同様に、雇用保険加入者には給付金制度があります。
常時又は随時介護が必要な家族を介護するために休業した場合93日を限度に3回までに限り国から支給されます。

家族の範囲は、
「配偶者(事実上の婚姻関係と同様の事情にある者を含む)」「父母(養父母を含む)」「子(養子を含む)「配偶者の父母(養父母を含む)」 「祖父母」「兄弟姉妹」「孫」
…と、結構広いです。

細かい受給要件は色々あるんですが、ざっくり説明すると、
休業開始時賃金日額(直近6ヵ月間の給与÷180(ほぼ6ヵ月))×支給日数(最大93日)×67% 
を介護休業中に休んだ場合もらえます。

例)実母の介護体制づくりのため30日休業、直近半年間の給与平均21万円の場合
7,000 円×30 日×67%=140,700 円

平均的な介護期間は45カ月程度と言われていますが、介護休業期間は93日です。
つまり、介護休業期間は介護期間をカバーしているとは言えません。

介護というと「自分で家族等を看る」というイメージがあるかもしれません。
しかしこの約3ヶ月という期間は、自分で介護を行うのではなく、あくまでも介護の準備期間と言う位置づけとなります。
介護に関わる人たち(親族、医師、看護師、理学療法士、ケアマネジャー、ヘルパー、行政担当員、施設職員等)と連携を図りながら、介護体制を構築する期間として捉えるべきなのです。

具体的にはケアマネさんと打合せしたり、施設見に行ったり手続き行なったり、施設入居に関わったり、住宅の改修に立ち会ったり…そういう使い方をしてほしいという趣旨なんですね。

Karolina Grabowskaによる写真

しかし誤った認識により、現実には休業期間中に介護を一人で集中的にしてしまい、休業期間の終了時点で復帰できなくなるというケースが多いそうです。
親御さんの介護や施設の立ち合い等が続き、有休を使い切ってしまい、ご自身の体調不良時に有休が無く困ってしまった…
というお話も実際に聞きました。

7割弱の所得補償があるので、雇用保険加入者(ざっくり週20時間勤務している方)にはぜひ利用していただきたいです。

対象家族が1人の場合は、年5日まで、2人以上の場合は、年10日まで。
1日または時間単位で取得できる「介護休暇」という制度もありますが、こちらは基本的に無給となるので、スポットでお休みが必要な場合に活用すると良いでしょう。

他にもある介護支援制度

また、国の定める介護休業法には

  • 短時間勤務等の措置

  • 所定労働時間の制限

  • 時間外労働の制限

  • 深夜業の制限

の規則もあるため、会社に請求した場合は、時間短縮勤務ができたり、
残業や深夜労働をお断りすることもできます。(一部対象者要件あり)

また、ハラスメント防止義務もあるので、介護にまつわる諸々(制度利用の非協力や、嫌味を繰り返す等)を行ってはいけない法律となっています。

仕事と介護の両立をしやすい風土づくりも重要。
介護を職場に伝えずに働いている「隠れ介護」の方も3~4割いるというデータもあります。

ご自身がその立場になった場合は勿論、周りの人に介護休業や休暇、時間制限などの仕組みがあることを伝えてあげてください。

介護休業についてわかりやすく説明しているサイトもあるので
こちらもご覧ください。

仕事と介護の両立支援のこれから

Pixabayからの画像

高齢化に伴い、介護と仕事の両立をする労働者も増えていきます。
今後は更に介護休業法も取得しやすく、法改正されていくのではないでしょうか。
育児休業のように介護休業についての理解が進む世の中になれば良いなと願っています。

社労士として介護保険、年金相談、成年後見人、キャリアや労働相談、その他カウンセリング対応も行っています。
1人で背負わないで、抱え込まないでぜひご相談ください。
話す=放す ことで楽になり視界が開けるとはよく言われていますしね☺

働くことにまつわる労働・社会保険の制度や仕組みはどんどん変わっていきます。

「情報を知ることで人生ちょっとラクになって笑顔になれる。」

そんな手助けができればという思いで私はこの仕事をしていますし、
今後も情報発信したいと考えています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?