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【天気】なぜ暖かくなると強い雨が増えるのか(その2:水蒸気)

■ 温暖化のまとめ

 昨日の記事では、地球温暖化について書きました。内容をまとめると以下のような内容です。

・地球温暖化とは、地球の平均気温が長期的に上昇することを言う。
・実際に地球の平均気温はここ100年間で0.74度、日本ではここ100年間で1.24度上昇しており、温暖化には疑う余地がない。
・地表の気温とともに海面水温も上昇しており、ここ100年で0.55度上昇している。
・水は空気の3000倍以上の熱容量(熱を蓄える能力)があるため、海が温まってしまうと冷ますのが大変。

 今回のシリーズでは「地球が温暖化する」→「強い雨が増える」の間の部分を埋めていこうと思っているので、今分かっていることをまとめると、

「地球が温暖化する」
=「大気や海面の温度が上がる」
→「強い雨が増える」

という感じですね。これを受けて今日は、なぜ大気や海面の温度が上がるとと強い雨が増えるのかという点について、もう少し距離を詰めていこうと思います。

■ 今日の主役:水蒸気

 という事で、今日の主役は水蒸気です。水蒸気という単語、おそらく誰しも一度と言わず数百回~数千回は耳にしたことがある言葉だと思います。ただ「水蒸気って何?」と聞かれてパッと答えられる人は意外と少ないのではないかと思っています。水蒸気と聞かれて一番最初に浮かぶのはおそらくこんなイメージですね。

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 ただこの画像、おそらく勘違いされている方が多いと思いますが、実は見えている白い湯気の部分は水蒸気では無いのです。やかんの口付近の見えない部分が水蒸気なんですね。

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 「・・・ん?だからどうした?そんなん知っとるわい。」「まじか・・・湯気って水蒸気じゃないんか。。。」と様々な感想を抱かれた方もいると思いますので、また例の彼のお力を借りてこの場を締めたいと思います。

水蒸気(すいじょうき、スチームともいう)は、水が気化した蒸気。空気中の水蒸気量、特に飽和水蒸気量に対する水蒸気量の割合のことを湿度という。

くぅ~~~~っ!今日も切れ味抜群で言い切ってくれてますね!カッコいいですねぇ。ほんと何でも知ってんな彼は。という事でまとめると、水蒸気は「気体の状態の水」です。あぁ~~、小学校か中学校の理科で出てきたやつや~~~。パッと答えられなかった人は是非明日知り合いに問題を出してみてください。ちょっとした知り合いなら「そうなんだぁ。」、親しい人なら「ふ~ん。」か「いきなりどしたん?笑」ぐらいで反応してくれると思います。

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■ 温暖化 → 水蒸気?

 はい、ではなんで温暖化の話からいきなり水蒸気の話になったかを説明していきます。雨は液体の水ですよね。実はその雨は気体の水である水蒸気が凝結してできています。いわば水蒸気は雨の生みの親・エネルギー源なんですね。上の図で言うと「水蒸気⇒水」になっている緑の矢印です。

 では、水蒸気の生みの親は誰でしょう。。。

・・・正解は、、、(と氷)です!!

「何をあたりまえの事を。バカにしてんのか。」と思われた方、すみませんもう少々お付き合いください。。そうです。水蒸気の生みの親は水なんです。水が蒸発すると水蒸気になります。上の図で言うと「水蒸気←水」の赤い矢印です。少し整理すると以下のようになります。

水 → (蒸発) → 水蒸気 → (凝結) → 水

はい。何をあたりまえの事を。。では以下のように書くといかがでしょう。

海 → (蒸発) → 水蒸気 → (凝結) → 雨

・・・なんかいきなり温暖化の話に近づいたような気がしますね!!ということで、ここに温暖化の影響を加えてみましょう。

■ 海からの蒸発量

 先ほどはやかんの例だったのですが、実は海からも水蒸気って出てるんですね。というか、世界のやかんから出ている水蒸気の何兆倍という量の水蒸気が海から出ていると思います笑

 そして実は、沸騰していなくても海面からの蒸発って常に行われているんですね。ただ同じぐらい凝結も起きているので、特に海面に変化は無く見えるような状態です(気液平衡)。これが温暖化により海面水温が上昇するとどうなるか。海面からの蒸発が活発になるんですね。

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■ 大気が持てる量

 「はははは、ちゃんちゃらおかしいぜ。だって蒸発する量と凝結する量が釣り合わないと海の水がどんどん少なくなっちまうんだろ?そんなのあり得ねぇから元の状態に戻るに決まってんじゃんかよ。安心じゃんかよ。」

 そうです。ご安心ください。大気もちゃんと温暖化によりパワーアップしています。説明のために再び彼に登場して頂きましょう。

水蒸気(すいじょうき、スチームともいう)は、水が気化した蒸気。空気中の水蒸気量、特に飽和水蒸気量に対する水蒸気量の割合のことを湿度という。

 水蒸気の説明自体は1文目で閉じていたのですが、2文目にもいい事が書いてあったので2文引用しておりました。

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 上のグラフ、皆様も一度は目にしたことありますよね。中学理科の内容です。飽和水蒸気量とか、「あ!聞いたことある!」という内容だと思います。この図で言うと、湿度は、

(含んでいる水蒸気の量) / ( 含むことができる水蒸気の量 ) x100 [%]

ですね。つまりその気温で含むことができるMAXの水蒸気をフルで含んだ空気は湿度100%になります。という事は、もうお分かりですね。同じ体積・同じ湿度で含むことができる水蒸気の量は、気温が高くなるほど多くなります。

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 ということで、たとえ温暖化で海から蒸発する水蒸気が増えても、ちゃんと気温も上がっているので、やり取りが活発化するだけで平衡を保てちゃうんですね。そうすると大気中の水蒸気量はやはり増加します。

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■ おまけ:温室効果

 だんだんと水蒸気の事が分かってきましたね☆最後に少しだけおまけとして、水蒸気の重要な特徴をご紹介します。

 「温室効果ガス」と聞いて思い浮かぶのは、おそらく二酸化炭素フロン・メタンガス等でしょう。我々人類の憎き強敵、温室効果ガスですね。

 実は水蒸気も温室効果の役割を担っています。ではどのくらい担っているんでしょうか。下の図を見てみましょう。

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・・・温室効果への寄与度は二酸化炭素が21%で水蒸気が48%か。なるほどなるほど。(^-^)

・・・(;゚Д゚)・・・は?!

まぁでも量の問題もあるしな。二酸化炭素を排出しないように気にしていれば大丈夫だろう。(^-^)

地表付近の大気の主な成分は、比率が高い順に、窒素が78.08%、酸素が20.95%、アルゴンが0.93%、二酸化炭素が0.03%である。水蒸気は最大4%程度になるが1%を下回ることもあり、場所や時間によって大きく変動する。水蒸気の影響を除くため、一般的に地球大気の組成は「乾燥大気」での組成で表される。

・・・二酸化炭素が0.03%で、水蒸気が1~4%か。なるほどなるほど。(^-^)

・・・(;゚Д゚)・・・(;゚Д゚)・・・は?!

・・・ということで、残念ながら水蒸気は温室効果に寄与する気体の筆頭として、実は二酸化炭素よりもせっせと働いています。。水蒸気の温室効果への寄与は60%とか95%とか諸説あるようです。

 ですが、あまり温室効果ガスとして水蒸気が着目されないのは、コントロールしようがないからだと言われています。だって気温と水温によって海から自動的に生産されてしまうんですから。。そこで人類ができることとして、(温室効果への寄与は2番目だけど)コントロール可能な二酸化炭素の排出削減を頑張ろうよ。という話で京都議定書・パリ協定・SDGsなど各種の温暖化対策が進められています。

■ まとめ

 では、今日の内容をまとめます。

・雨の原料は水蒸気であり、水蒸気は気体の状態の水である。
・海面の水温が上がると、海から蒸発する水蒸気の量が増える
・大気の温度が上がると、大気中に持てる水蒸気の量が増える
・水蒸気には二酸化炭素を凌ぐ温室効果がある。

いや~、水蒸気と温暖化のタッグ、恐るべしですね。。でもちょっと温暖化と強い雨が繋がってきた気がしますね。次回は水蒸気が運ばれる過程について書こうと思います。

それでは!(^-^)

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