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言葉の宝箱 0418【やる気が失せたら、見えるものも見えなくなる】

『鎖』乃南アサ(新潮社2000/10/25)


霊感占い師ら4人の惨殺死体が発見され、捜査本部に加わった警視庁機動捜査隊音道貴子刑事は捜査一課の男性刑事と組んで捜査を開始したが、その刑事は出世志向が強い上、公私混同の愚か者。そんな男と組んだばかりに音道は単独で行動する羽目になり、犯人捜索中に誘拐・監禁されてしまう。物語中盤から音道の監禁場面と警察の救出作戦が交互に綴られ、鬼気迫る緊張感が伝わってくる。男性中心の警察組織で働くバツイチ女性刑事の仕事とプライベートを描いた音道貴子シリーズ第4弾。


・男という生き物は、いったいいつから少年でなくなるのだろう。
少年どころか、青年の面影すら残さずに中年になっている男は、
いつから全てを捨てているのだろうか P26

・ふてくされたら、駄目だぞ。
やる気が失せたら、見えるものも見えなくなる P96

・分かっていた、出来ないこともある。
鼻先にニンジンでもぶら下げてもらわなければ、
そうそう走り続けてなど、いられない P99

・何もせず、ただ待つことが、こんなに疲れるなんて。
いっそ眠ってしまえた方が楽な気もする。
だが、神経が張りつめていて、とても眠れそうになかった P243

・試される。人間の出来が。皮肉な思いにとらわれる。
果たして自分がどの程度の人間なのか、
どんな誇りと、どんな職業意識を持っているか。
真実を知って愕然とするのは自分自身なのかも知れない P300

・憎んでいる自分に気付けば、
さらに傷つき、惨めになり、疲れていく P305

・ここに味方がいる。
一人でも味方がいるのなら、踏みこたえられそうな気がする P549

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