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言葉の宝箱 0235【後ろ向きに物事を考えてばかりいては何も始まらない。足を踏み出さなければ、何も解決しない】

『姫島殺人事件』内田康夫(角川文庫2016/9/25)


神話の島・姫島の取材中に浅見が出会った理知的な中瀬古朝子。
郷土史を研究する彼女の案内で島を巡る際、
島の名家の息子優貴雄から脅迫を受ける。
その後、帰京した浅見の元に届いたのは
優貴雄の惨殺死体が発見されたという知らせ。
更に浅見の仕事仲間も姫島盆踊りの日に姫島で死体となって発見される。
一連の事件の背後にある美しき島に蠢く恐ろしい陰謀。悲しき家族の真実。
周防灘、瀬戸内海を舞台に繰り広げられるミステリ。

・原発と基地問題は、
それを必要とするかそうでないかという根本のところから、
日本と日本人が直面し、等しく考えなければならない大問題なのだ。
とくに、基地の問題は安保を保持するかいなかに関わってくる P14

・旅愁を感じるなあ(略)
同じ旅愁でも、山は寂しいけど、海は悲しい P44

・物質的にはともかく、精神的な借りや負い目を感じませんか?
もし感じないとすれば、あなたは冷酷な人だ(略)
世の中すべてギブアンドテイクでしょう。
受けた恩義は有形無形はともかく、必ず返さなければならない。
純粋に善意と無償の行為など、ないものと考えるべきです。
無欲で敬虔な信仰者にしたって、
とどのつまりは神の救いや来世の安寧を期待しておるのですから P244

・人間嫌いみたいでしたけど、本当は人間が好きで好きで、
だからこそ、大好きな人々が悲しい思いをするのを、
黙っていられなかったんじゃないかと思います P267

・後ろ向きに物事を考えてばかりいては何も始まらない。
不毛のように見える行く手や、進むのも困難のような隘路の先に向かって
足を踏み出さなければ、何も解決しないし、
それだからこそやり甲斐があるともいえる P279

・優しさというもんは、
ときとして最大の冷酷さにもなりうるもんですなあ P320

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