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言葉の宝箱 0433【嘘をつかない人はいない。間違わない人もいない。そこからどう動くかでその人の価値が決まる】

『明星に歌え』関口尚(集英社文庫2018/3/25)


四国お遍路ツアーに参加した大学生の玲。7人の班で旅が始まる。天真爛漫な太陽、ひねくれた態度の剣也、誰とも打ち解けない花凜。10歳以前の記憶がない玲だけでなく、それぞれが事情を抱えている様子。過酷な道中、予期せぬトラブルも生じ、離脱せざるを得ない者も。軋轢も和解もあり、やがて結束するメンバー。長い長い歩みの果てに、彼らを待っているものは?
青春群像小説、四国お遍路のガイド情報小説としても愉しめる。


・彼がまだどういった人間かわからない。
でも、とにかくなんでも同意しておく。
その場の空気をひたすら合わせ、
適当な嘘をついてでも雰囲気を壊さないように努める P13

・話を途中でやめるわけにはいかなかった。
明るく話し続けなければならなかった。
陽気でいなくちゃ。最後まで笑ていなくちゃ。
もし笑うことをやめたら、そのときはきっと泣いてしまう P49

・夢が叶うと信じていた幼い自分に、
誰もがさよならを言わなくてはならないときがくるのです(略)
そのうえで自分が何者か、将来どうなりたいのか、
現実と折り合いをつけながら新たに探していくわけです P64

・言っていることは正しいです。正論ですね。
しかし、正論だけでは
感情が取り残される場面もあるということなのでしょう P103

・嘘をつかない人はいない。間違わない人もいない。
そこからどう動くかでその人の価値が決まる P105

・同じ言葉をしゃべっていたほうが信用されるんだ P122

・頑張っている人のほうに頼りたくなるのは
道理というものでしょう? P151

・なんでも本当のことを言えばいいってもんじゃないんだよ P164

・人の心を救えるいちばんのものは歌だと思っていた P191

・どうして小物感の漂う男は徒党を組みたがるか。
その時点で安っぽくなり下がっていることに気づかないのだろうか P195

・死んでしまいたいと願う人に寄り添ううちに、
こちらまで同じ気持ちに侵食されるのはなぜだろう P206

・きれいな子が急に黙ると、怒っているのかと不安になる P217

・「ばか」と言い合えるのは仲がいいからなんだ P218

・本音で接してくれた風通りのよさ P224

・未来ってどこにあると思う(略)
未来ってやつは過去や現在の延長にあるわけじゃない(略)
未来は時間じゃないんだよ。
時が経ったからといってたどり着けるところでも、
待っていてくれるものでもないんだ(略)
未来ってのは、自分が向かった先に生まれるものなんだよ。
まずは向かうんだ。そこに生まれるものなんだよ(略)
自ら進みもしないで、いまのまま変わりもしないで、
時間だけが過ぎてたどり着いたところが未来なんていやだろ。
未来なんて呼びたくねえだろう?
おれはそんなのまっぴらごめんだね(略)
進もうぜ P235

・人にはいいところも悪いところも両方あるんすよ。
マイナスの部分は見逃してあげて、
プラスの部分で評価していきましょうよ。
マイナスの部分は目をつぶっていくんす。
そうすると楽っすよ P274

・敗北に意味を与えられるのは自分だけ P293

・人はスタートラインに立った時点で変わり始める P526

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