言葉の宝箱 0413【相手にも同等かそれ以上の真剣さを求めてしまうのが、俺の悪いところです】
玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。個性的な面々の中で馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか。
言葉への敬意、不完全な人間たちへの愛おしさを謳いあげるお仕事小説。
・「すみません。相手にも同等かそれ以上の真剣さを求めてしまうのが、
俺の悪いところです」(略)
ちょっと力を抜けや、まじめ。
じゃないと、おまえのまわりのひとはみんな、いつか息を詰まらせる。
大きすぎる期待や要求は毒だ。
おまえ自身だって、求めただけの反応を得られず、
やがて疲れて、諦めて、だれにも頼れず一人になってしまう P142
・有限の時間しか持たない人間が、
広く深い言葉の海に力を合わせて漕ぎだしていく。
こわいけれど、楽しい。やめたくないと思う。
真理に迫るために、いつまでだってこの舟に乗りつづけていたい P145
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