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言葉の宝箱 0213【最悪の事態を想定しておいたほうがいいと思うだけです。慰めや気休めは何の意味もありませんよ】

『津軽殺人事件』内田康夫(光文社文庫1991/6/20)

弘前の古書店主が東京のホテルで毒殺された。
そのポケットには“コスモス、無残”のメモが遺され、
太宰治が描いたという肖像画が消えていた。
津軽へ向かった浅見光彦は被害者の娘靖子と会い、
被害者が主宰していた『津軽』を旅する会が事件の鍵を握ると推理。
参加者を訪ね、そのコースを辿る。蟹田―金木―五所川原。
そこで第二の殺人。津軽半島を舞台に繰り広げられる旅情ミステリ。

『コスモス、無残』『太宰治の肖像画』『「津軽」を旅する会』
『養鶏業者の死』『黒石ねぷたの夜』『美智代の失踪』
『「マネク、ススキ」の謎』7章

・ひそかに憧れていたひとが、結婚して子供が出来たとたん、
ただのオバサンに変身してしまうのを何度も見た。
女は弱し、されど母は強し――の格言は、
決して、女性を美化して言ったものではないらしい P25

・人間も、いつのまにか、変化してゆくのですねえ P121

・娘としてはもう、若いとはいえない。
それなのに、ふっと放心した瞬間の横顔には、
まだ人生の垢に塗れていない、少女のあどけなさがほのかに見えた。
女性には、いくつになっても、
どこかにそういうあどけなさが残っているのかもしれない。
残っていてほしいものだ P137

・最悪の事態を想定しておいたほうがいいと思うだけです。
慰めや気休めは何の意味もありませんよ P269

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