野月よひら

小説を書いています。東京都在住。ファンタジー、ホラー、青春など。『見えちゃうなんて、き…

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小説を書いています。東京都在住。ファンタジー、ホラー、青春など。『見えちゃうなんて、きいてません!(野いちごジュニア文庫)』好評発売中!そのほか、短編収録あり。お仕事募集中です!

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受賞歴、刊行歴など、こちらからご確認いただけます。 お仕事募集中です! 執筆のご依頼、お問い合わせはyohira.nozuki@gmail.comまでお願いいたします。 書籍▼野いちごジュニア文庫 【見えちゃうなんて、きいてません!シリーズ】 ・イケメンふたごのヒミツ(2023/01/20) ・ふたりきりのテスト勉強は恋の予感!?(2023/05/20) ・イケメンふたごと胸きゅんデート!(2023/10/20) 【ホラー】 ・シンユウチャレンジ(仮)(2024/05/

    • 【チャットノベル】暗殺令嬢×冷酷非道王太子=ラブロマンス戦記

      こんにちは。野月よひらです。 2月11日に、peep様にてチャットノベルが公開されました! タイトルはこちら! 「親愛なる旦那様、暗殺させていただきます!」 ◆あらすじ◆戦えるヒロイン×わけありヒーローかっこいい女性が書きたい。できれば武器を持って戦わせたい! とずっと思っていました。 今作のコンセプトを考えているときに、パッと絵で浮かんだのが、暗殺令嬢という単語と、ナイフをヒーローに突き付けているヒロイン、という構図です。 あっ、これいい。尊い。 というところからスタ

      • 逆さ男【怪談】

         何しろ『こういう』ことが滅法好きなので、辻村がこの道を歩こうと決めたのはごくごく当然のことであったのだと思う。  夏の宵。  暑さも幾分鳴りを潜め、そぞろ歩きにぴったりの夜である。酒は回っているが、ふらつくほどでもない。  月が綺麗であった。その月光と街灯のおかげで、まるで昼間のような明るさである。  確か、この先の道を曲がったところのはずだ。  あの廃屋があったのは。 「そういや、あそこもなくなったんだよなあ」  口火を切ったのは、新田であった。  お盆休みに、久しぶ

        • 来訪者【怪談】

           鳴り響く音に、和子は身を固くした。  枕元の携帯を引き寄せ、時間を見る。午前一時十一分。  ――また、だ。  和子は布団を頭上まで引き上げた。  ――もう、いい加減にして。  この部屋に越してきて、一週間。必ず、毎晩、この時間に。  誰かが、インターホンを鳴らすのである。  和子は今年で大学二年生になる。今までは隣県の実家から学校に通っていたのだが、学年が上がるとともに校舎が変わり、通学に三時間、かかるようになった。  いちいち通学にそんな時間はかけられないし、交

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          【10月新刊】胸きゅんデート×溺愛=ハッピーエンド!

          こんにちは、野月よひらです。 野いちごジュニア文庫さんの公式HPにて、新刊の書影&詳細が発表されました! 「見えちゃうなんて、きいてません!イケメンふたごと胸きゅんデート!」は10月20日発売予定です! ◆あらすじいよいよ最終巻です。最終巻……寂しくもあり嬉しくもあり。 1巻、2巻の内容は以下の記事から読めます。ぜひ! ◆初恋、そして初デート!今作はとにかく、ここみの初恋! 初デートのドキドキ感をたっぷりと詰め込みました! 一生懸命考えて、準備して、夜も眠れなくて……

          【10月新刊】胸きゅんデート×溺愛=ハッピーエンド!

          蛍【青春】

           降るような蝉の声に包まれながら、わたしは汽車を降りた。背後で扉が閉まる。ここが終点。他に客はなく、ここからの乗客もひとりもいない。無人のプラットホームに、わたしばかりがぽつねんと立っている。  もうじき陽が沈むのだろう。差し込む茜が駅の柱の影を長く伸ばし、黒のコンクリに濃い陰影を描いている。  ツクツクホウシの説法に混じり、かなかなと相づちを打つのはヒグラシか。夕暮れの赤と、影の黒。コントラストに眩暈を起こしそうで、わたしは大きく息を吸い込んだ。濃厚な緑と、土の香が、肺い

          【7月新刊】「溺愛MAXな恋スペシャル♡ 野いちごジュニア文庫超人気シリーズ集!」は7月20日発売予定!

          こんにちは、野月よひらです。 このたびご縁がありまして、野いちごジュニア文庫さま刊行のアンソロジーに、 「見えちゃうなんて、きいてません!」の番外編を収録していただくことになりました! ◆あらすじ◆人気シリーズが盛りだくさん!野いちごジュニア文庫の人気シリーズがぎゅっと詰まっています! ま、まさかこの中に混ざって書かせていただけるとは……感激です。本当にうれしい。 かわいい挿絵もたっくさん入ってて、すごく豪華!ぜひお祭感を楽しんでいただけたらいいな、と思います! ◆夏は

          【7月新刊】「溺愛MAXな恋スペシャル♡ 野いちごジュニア文庫超人気シリーズ集!」は7月20日発売予定!

          【6月新刊】「龍神と生贄巫女の最愛の契り」は6月28日発売!!

          こんにちは、野月よひらです。 Twitterなどではお知らせしておりましたが、6月に新刊が出ます!! 『龍神と生贄巫女の最愛の契り』(スターツ出版文庫)は6月28日発売予定です! ◆あらすじ◆第30回キャラクター短編小説コンテスト「あやかし×恋愛」最優秀賞受賞作品です!こちらの作品は、スターツ出版文庫byノベマ!上で行われた短編小説コンテスト、 第30回キャラクター短編小説コンテスト「あやかし×恋愛」にて最優秀賞を受賞した作品を、改題、改稿、長編化した作品です! スター

          【6月新刊】「龍神と生贄巫女の最愛の契り」は6月28日発売!!

          その奇妙な店は~薄紅色の籠の中で【奇談】

          ※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません __________  その桜を見て、久恵は目を丸くした。  会社帰りのことであった。  深夜である。  普段ならもう少し早く家路に付くのだが、会議やら会食やらが立て続けに入り、気付いたら終電を逸していた。別の路線ならば、まだ電車が出ている。タクシーを使うことも考えたが、節約を命じている立場である。自らが破るわけにはいかないと思い直した。  それで、歩いていたのである。  普段通らない道を、

          その奇妙な店は~薄紅色の籠の中で【奇談】

          【5月新刊】テスト勉強×ドキドキ=恋のバトルスタート!?

          こんにちは、野月よひらです。 ついに!野いちごジュニア文庫さんの公式HPにて2巻の書影、詳細が公開されました~!! 『見えちゃうなんて、きいてません!ふたりきりのテスト勉強は恋の予感!?』(野いちごジュニア文庫)は、2023年5月20日に発売予定です! ◆あらすじ2巻目……!まさが続刊を出させていただくことができるとは、ほんとに感謝感激です。 ちなみに、1巻目は下記記事で紹介しています。(ぜひチェックしてみてくださいっ) ◆学生といえば……テストだね!ネタ出しをしている

          【5月新刊】テスト勉強×ドキドキ=恋のバトルスタート!?

          その奇妙な店は~朝顔は絡みつく【奇談】

          ※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません __________  その奇妙な店は、ジャングルのようであった。  佳代子は思わず足を止めた。  職場からの帰り道に、何となくいつもと違うことがしたくなって、いつも曲がらない道で曲がった。そして、見つけたのだ。その店を。  花屋のようであった。  床にはびっしりと植木鉢が並べられており、天井からは無数の植物がぶら下げられている。切り花は見当たらない。鉢植えの観葉植物がほとんどで、その全てが生き

          その奇妙な店は~朝顔は絡みつく【奇談】

          【1月新刊】お化け退治×ドキドキ=胸キュン!?

          こんにちは、野月よひらです。 そろそろ2巻が出るぞー!ということで、1巻目のご紹介をさせてください! 『見えちゃうなんて、きいてません!イケメンふたごのヒミツ』(野いちごジュニア文庫)は、 2023年1月に刊行しました。現在、好評発売中です! ◆あらすじ改めて、感慨深いですね……。 こちらは第2回野いちごジュニア文庫大賞で、大賞を受賞した作品を改題、改稿したものです。 ◆ホラー×胸キュンって相性いいのでは?私自身が子供のころ、怖い話ばかり読んでいた子だったので……。

          【1月新刊】お化け退治×ドキドキ=胸キュン!?

          赤い紫陽花【奇談】

           赤い紫陽花もあるのだ、と、相川は少なからず衝撃を受けた。    六月の始め。  吉祥寺から渋谷に向かう通勤電車でのことであった。  人の詰め込まれた車内には、梅雨特有のじっとりとした空気が漂っている。傘が当たってしまったのだろうか、それともただ苛立っていたのだろうか。隣の若い女性がこちらを一瞥し、舌打ちをした。  酷く憂鬱な気分であった。寝不足のせいもあるのかもしれない。頭の中にもやりとした膜が張っているかのようである。その鬱屈さを少しでも追いやろうと、相川は、窓の外に視

          赤い紫陽花【奇談】

          恋探偵!姫崎ヒメノ~和歌のヒミツを解き明かせ!【児童小説】

          「うーん! わかんないなあ」  あたしは何回目かのため息をついて、手に持った手紙を高くかかげた。自分の部屋の、魚の形をしたペンダントライトに透かしてみても、なんにも変わらない。いたってフツーの手紙だ。 「夢佳ちゃん、お手紙きてるわよ」  そう言ってママがポストから出してきた手紙は、シンプルな白い封筒だった。宛名のところにはたしかにあたしの名前『池野夢佳さま』と書かれている 「差出人が書いてないけど、心当たりある?」 「んー。わかんない。友だちかなあ」  あたしたちの学校では、

          恋探偵!姫崎ヒメノ~和歌のヒミツを解き明かせ!【児童小説】

          わたし、きれい?【児童小説】

           五時を告げるチャイムが、赤く染まった教室に鳴りひびいていた。 「えっ、もうこんな時間?」 「やばっ」  マキとユリはあわててランドセルをつかむ。  放課後教室に残って、こっそり持ち込んだファッション誌を読むのが、ここ最近の二人の流行だった。ついつい読みふけってしまったのだ。こんな時間になっているなんて、まったく気がつかなかった。  校舎を出ると、もう夕やみがあたりを包み始めていた。がらんとした校庭はうす暗い。校舎の影がうすむらさきに溶けているようだ。秋の、冷たい風が砂を巻

          わたし、きれい?【児童小説】

          かしづく、手【奇談】

           その手は、公園に生えていた。  赤ん坊の手のようだった。ふっくらとした指の先はほんのりと赤く、米粒のような爪は斜陽に照らされて、ぴかぴかと光っていた。  うすら寒い春先の出来事である。  まだ冬の気配を濃厚に感じる、吹き下ろすような風が、彼のトレンチコートの裾を巻き上げていった。  河野は、目を細める。  夕焼けの赤が眩しい。この時間に帰宅するのは久しぶりである。  家路を急ぐ、という感覚は、彼には分らなかった。もう四十近い年齢であるが、妻も、子どもも、彼にはいない。家

          かしづく、手【奇談】