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もがき苦しみ考え続けろ『問いの立て方』

新しいサービスや商品開発などでデザイン思考がとりいれられ、その文脈で「問い」という言葉がよく出てくる。疑問に思ったことならなんでもいいのか。いい問いとは何なのだろうか。抽象的で概念的なこのテーマに関して理解を深めるために宮野公樹さんの『問いの立て方』という本を読んでみた。

何が学べるのか?

「いい問い」は場面によってことなるため、この本では具体的に方法論が学べるのではなく、根本的で本質的な問いを立てるために思考し続けるきっかけを得られる。

いい問いとは何か

いい問いとは場面によってことなる。
課題の解決策を見つけたい場面では解決策を得る視点が、ワークショップでは参加者の議論が盛り上がるようなお題がそれぞれの「いい問い」となる。
あらゆる場面で「いい問い」を立てるためには、場面場面で異なる「いい問い」に共通するものを考える必要がある。それは「なぜその問いがあるのか」という根源的な存在についてまで考えられた本質的な問いなのである。

「いい問い」にする方法

この本では「問いを問う」ための問いが12個紹介されている。この12個は不可視(見えない存在)x可視(所有できるもの)x個別(自分)x全体(世界全体)の4つに過去、現在、未来の時間軸を加えた12の問いである。

「いい問い」の見つけ方

「いい問い」を見つけるには、何か気持ち悪い、スッキリしない、と引っかかりを感じる「違和感」が重要になる。違和感とは「対象」と「自己」の差異に他ならない。基準となるのは自分が持つ考えなのだ。
では、違和感が生まれやすくするにはどうすればいいのだろうか?違和感が生まれるのは自分の考えや思いがあるからであり、自分の在り様そのものである。すなわち違和感を持つとは、自分を持つことと同じなのだ。

なぜサウナにはテレビがあるのか

自分でも何か身近なところで問いを立ててみようと思う。めちゃくちゃ個人的なことだが先日サウナに入っていたときに違和感を感じたことだ。

そこではテレビドラマが流れていた。なんとなく流れていると見てしまうものだが、全くストーリーが分からない。周りもみんなテレビに釘付けだが、見たいと思ってみているのだろうか。無意識ではあるが強制的に見させられているのではないか。

この時生まれた問いが「なぜサウナにはテレビがあるのか?」である。
サウナによってはテレビがあるところ、音楽が流れているところなど様々だ。音楽であれば汗を流すその空間で何も考えずにボーッとして頭の中を真っ白にしたり内なる自分と向き合うことができる。(音楽によるが...)ただ、テレビドラマが流れているとどうだろうか。自分の時間を邪魔されている気持ちにならないだろうか?

かなり狭いテーマかもしれないが、このように不満を感じる人がいる状況を課題だとし、これを解決策を見つける視点を得る「いい問い」へと磨いていきたいと思う。

「問いを問う」問いをいくつか試していこう。「過去」を掛け合わせた問いについては、この問いを見つけるきっかけやなぜ気になったのかになるため省略していく。

①どうありたいのか?(個別x不可視x未来=価値)
日々ベストな状態でいたい

②どうなりたいのか?(個別x可視x未来=理想)
<1>のために心身の疲れを無くしたい(ととのいたい)

③この世に責任をもてるのか?(全体x不可視x未来=責任)
サウナにテレビが無いと人は不満だろうか?WEB上ではテレビ不要を訴える声が見られるが必要派の人の意見は少なく、気が紛れて暑さに耐えられるから「あった方がいい」くらいの意見だ。

④何をしていることになるのか?(全体x可視x未来=影響)
身体的だけでなく、内面的にもリラックスできる人が増え、個の幸福度や社会の生産性が上がることに繋がるのではないか。

⑤全人類がもてる問いか?(全体x不可視x現在=共有)
サウナにテレビがあるのは日本くらいである。また実際に若い人を中心にテレビなしサウナを求める声があり、サウナのポータルサイト「サウナイキタイ」ではテレビなしのサウナを絞り込むこともできる。

⑥類似の問いは?(全体x可視x現在=比較)
抽象化すると個人の価値観を問わず、視覚や聴覚を奪うこと。Youtubeなどにも出てくるデジタル広告のようなものではないか。そう考えるととても邪魔だ。

⑦それは本当の問いか?(個別x可視x現在=論理)
テレビの有り、無しではなくサウナに何を求めるのか?という広い問いにすることでより広い視点が得られ、サウナにテレビが不要だと思っている人の求めるサウナが見えてくるのではないか。もしかするとテレビがあっても満足できるサウナがあるかもしれない。

問いを磨いてみて

実際考えてみて狭い問いだと視点も狭くなるなと思った。抽象化して問いのレイヤーをあげることで視点が広がり、より本質的な視点や解決策に繋がるのではないだろうか。


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