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宮益坂を登ってゆこう

「お菓子を食べながらできる仕事をしてる」

そんな話を友人の彼女、ぽっぽちゃんから聞きつけて、そんなんやるしかないっしょ!とその場にいた全員で応募したのでした。

向かった先は青学の近く、面接官はロボコップみたいな男だった。

狭い部屋で一緒に面接した先輩のヒデくんと三人で好きな音楽の話をしていて「メタルにはそんなに明るくないので」と答えたら、ロボコップは「メタルは暗いよねー」ということで採用が決まったのだった。

仕事内容はパソコンを使ったお仕事で、世間では出会い系のサクラとして知られていた。

この仕事は音楽関係の人が多く、かの有名なスネイルランプもバリバリ働いてたと聞いたことがある。

音楽だけじゃ食えないから孤独なおっさんやおばさんから巻き上げた金で機材を買ったりするのだ。

そんな才能ある人々に囲まれての仕事はとても刺激的で、毎日腹が痛くなるくらい笑いまくっていた。

そしてこんな日々が続かないこともみんな薄っすらと気づいてもいた。

それとは裏腹に会社の規模はどんどんと大きくなり、変な連中にも目をつけられるようになってくる。

防犯カメラやセンサーやロックが増えて、日を増すごとに物騒になって、最後にはケータイはオフィスでは使えない取り決めまでされることになる。

幸いにも夜勤で寝てるために私はクビになるのだが、その後はすぐに店仕舞いしたと伝え聞く。

たかだかサイトでのやりとりにみんなすごい熱量だった。

利用者たちも運営側も、真剣になって画面の中の虚構に向かって格闘し、日々何百万もの金が動いていた。

それに一度味を占めたら最後、誰もその沼から抜け出すことはできなくなるのだ。

楽に手に入れた金も、注目も、どちらも身に付かない上に、測り知れない虚しさは更に求めてしまうドラッグのようでもある。

実際はみんなプラットフォームでワイワイやるだけの演者に過ぎず、本当の悪い人はデータ屋さんとして、どちらからも金を巻き上げ続けていたに違いない。

そういうデータはみんなで共有されていて、色んな業種や業態の人たちに垂れ流しになっている。

気軽に登録したメルマガや、ネットショッピングの購入履歴、それらの顧客データは後々、個人情報として何千件でいくらという形でやりとりされる。

戸籍や銀行口座もデータでしかない。

そしてこれを管理しようと我々に番号を与え出す、大き過ぎる組織を我々は後に知る事になる。

読み取られないようアルミホイルを頭に巻こう笑


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