映画レビューをポツポツと#2 "よく分からない"も愛おしい!
Asteroid City (アステロイド・シティ)
オープニングから過剰ウェスアンダーソン120%な演出に心躍りながら、あまりに作り込まれすぎていると感じた違和感は的中して、ここが舞台の中であることに気付かされる。メタ的な視点で舞台の"手前側"を描きながら役と自己と僕らの観てる『アステロイドシティ』を行き来する3視点の構成に展開していく。ウェスらしいユーモアの中に、今作は特にフックのようなセリフが多く散りばめられているように感じた。
美しい構図、パステルカラーの色彩で塗られた本質の部分をモノクロの世界で引き裂くように見せていく。愛や悲しみ、絶望と希望。美しさの向こう側に見せる何かに少しだけ触れられたような気がする。
自分が何者か、これが何を伝えたいのか、自分がどこにいるのか、相変わらず分からないけど、とにかく前に物語を進めるしかない。自分の人生のライターは自分。書き続けるしかない自分の手で。愛おしいエイリアンになりたい。
Barbaque/Some Like It Rare (ヴィーガンズ・ハム)
"ヴィーガンの肉が美味しい"を軸に始まるブラックジョークの応酬。一見してヴィーガンを悪として成敗しまくる映画かと思いきや、"生き物を殺して食べる"ということの本質を映す映画でもあった。最初は人間としての理性で、迷いながら人を殺していくが徐々に狩りをするように人を殺すようになっていくシーンに動物の捕食シーンを重ねるのは皮肉が効きすぎて、ある種の真実でしかなかった。色んな視点とバランスを保ちながら進行していくストーリーはこういう作品では珍しく、素敵なユーモアセンスだった。Village Peopleの"Macho Man"が流れる中、ポップに人を殺戮していくシーンは最高に笑った。
子供はわかってあげない
蝉の声、風鈴の音、水をかく音、波の音、裸足で歩く音。縁側、屋上、プールサイド、無敵感満載の高校生の一夏。すべてが愛おしくて、すべてが優しくて、なんだかここ最近感じてなかった懐かしい夏のことを思ってしまった。沖田監督への信頼はどこまでいっても揺るがない。映画で使わないような手持ちカメラの映像とかはスマホで撮ってるのかな?とても素敵だった。
やっぱり沖田監督の映画はご飯が美味しそう。千切りキャベツにコロッケと味噌汁。
ちょっとだけおかしい女の子の役を演じる上白石萌歌ちゃんがとても愛おしかった。あと声がとても軽やかで好きだ。何が変わるわけでもない平凡な日常。プールの水面がキラキラと綺麗。今年の夏は何をしようかな…アデュー!
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