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教えて、アイコおばさん。ダイニングで座っているアイコおばさんに話しかける。 アイコおばさ…
お盆休みになったので、「涼しいうちに」と手のひらサイズの缶ビールをふたつ持ち、近所の公園…
冬晴れの並木道、すっかりむきだしになった梢の間にぽつんと丸いものが見えた。鳥の巣だろうか…
あなたは月の光のなか、彼女のもとを訪れる。小さな小さな箱のような部屋だ。その扉が静かに開…
父母の墓参りの帰りだった。ちりん、と鈴の音が聞こえた気がして目を上げた。 色づいた葉が、…
壁に鼻が生えていた。転職に伴う引っ越しを間近に控え、洋服や鞄などを段ボール箱に詰めている…
少々体質の古い会社に勤めている。 定年間近の課長は「男女平等」を掲げているが、いわゆる「お茶くみ」は、依然、わたしの役目となっている。朝は誰よりも早く出社して準備し、管理職や来客の姿があれば、タイミング良くのみ頃のお茶をお出ししなければならない。 わたしを育てたお局様はとっくに退職している。新卒の男性社員が入ってきたときにバトンタッチを試みたが、だめだった。自動販売機の設置やペットボトルの活用も夢のまた夢である。 わたしが主担当の仕事でもみくちゃになっているときに、担当
幼なじみのユリエちゃんが、失恋をしてから寒天みたいになった。 ユリエちゃんは「黒髪のバー…
家に置いていた月の子を捨てることにした。 雨上がりの夜道で、秋蛍かと目をひかれ、引き寄せ…
「秋のバラが咲き始めたから、夜の公園でピクニックをしようよ」 そう恋人と約束をした。 当…
へそのごまを掃除しようとして、とりきれなかった。 そう思っていたら、ごまではなく、どうや…
「あの人にしよう」 妹が海面に顔をのぞかせて指差す。ひと気のない浜辺の小屋に、若い男の姿…
夫が出てこない。通常は一度にひとりしか入れない、自宅内の小さな特別室。そう、トイレである…
あなたの地図を手に入れた。特別な伝手を使って。 近頃は、あなたとどう接したらよいか、わからなくなっていた。何を考えているかわからない。遠慮をしているうちに距離があいてしまった。待っていても縮まりそうにないので、地図の力を借りて、そっと心にわけいってみようと思った。 筒から丸まった紙を取り出す。手漉き和紙のような厚みと柔らかさだ。広げると、真っ白である。だまされたのかもしれない。半信半疑で、枕の下に敷き、眠りにつく。 いつの間にか、あなたの心のなかと思われる場所にいる。手