チョベ・バトゥ(石のすり鉢)を買う
バヤン村2日目の夜だったか、テラスでブルム(地酒)を飲んでいた時に、周りにいた子どもたちが、チョベ(すり鉢)でサンバルのようなものを作り始めた。何をすりつぶしていたのか、酔っ払っていたこともあって、もう忘れてしまったが、マンゴーとあえるサンバルのようなものである。
うちのチョベは、近くの市場で買った400円のものである。何度もサンバル作りやブンブ・クニン(黄色い調味料)作りのためにチョベを使っているが、なかなか上手くすりつぶされてくれない。唐辛子の皮やバワンメラ(赤い小さい玉ねぎ)の皮がそのまま1cm角ぐらいの大きさですりつぶされないまま残ってしまう。サンバルを作るにも、チョベがうまく使えないので悪戦苦闘している。
それが、その子は、瞬く間にすりおろしてしまった。力の入れ方にコツがあるとかではないようだし、何が違うのかを考えた結果、チョベそのものが違うという結論に至った。何も気にせずに市場でそこら辺にあったチョベを買ったが、どうやらこれはセメントではないかと思うようになった。一方、その家のものは石である。リンジャニ山の石から作ったものだという。黒くスベスベしていて使いやすそうである。
そもそも手間暇の問題から、チョベはやめて、ブレンダーにしようかと思っていた。もしかしたら、もはやインドネシアではチョベは過去の遺物で、現代の家庭では使われないのではないかと、一緒に飲んでいたアトマジャヤ大学の学生3人に聞いてみた。スープとか料理の中に入れる調味料を作り時はブレンダーを使うが、サンバルとかで直接それを口にする場合はチョベを使うらしい。香りも味も違うとのことである。
そもそも400円は安いとのことであった。カラン・バジョにチョベを売っている店があるのでそこで買えばいいとアドバイスをもらった。翌日、調査の合間を縫って買いに行ったが、そこに置いてあるものはすべてセメントのものであった。翌日には石のチョベを入手するからと言われた。さらに翌日行ったが、わざわざ持ってきてもらったチョベは少し小さかった。申し訳ないが、購入は取りやめた。
それを家に帰って相談するとジャナが翌日スナルの方で探してきてやるという。一方でトコぺディアで買ったらどうかという提案もあった。調べてみるとジョグジャでムラピ山のチョベ・バトゥ(石のすり鉢)があるみたいだ。それでいいかなと思っていたら、ジャナがスナルで買ってきてくれた。大きさもよく、彼も本物だというので、満足して購入した。900円だという。
一晩水につけて置いてから使うようにと言われた。確かに皆が使っている黒光りするチョベとは違う感じがする。いきなり使うのではなくて、何か最初にしておくべきことがあるのかもしれないと思い、少し調べてみた。それぞれ言っていることが少し違ったりするが、大量の塩をまぶして手で磨く、ウコンをすり潰して洗う、油を馴染ませる、熱湯をかけるなどなどである。そのままだと砂が出たりするので、表面を馴染ませるために、塩やウコンや油を使うのであろう。
いずれにしても聖山リンジャニのチェべ・バトゥを入手できた。早速使ってみたいと思う。240921