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ありがとうの「カズダンス」

3.11。

日本人にとって忘れられない、いや、決して忘れてはいけない特別な日。

あの日、皆さんはどこで何をしていましたか?


2011年3月29日。

その日、東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチが大阪の長居スタジアムで開催された。
それぞれの想いを抱えたままスタジアムに集まった観客は40,613人。

その中の1人が、まだ中学生の僕だった。


当時の僕は、北海道の田舎町に住む中学生。
クラブチームに通うサッカー少年でした。

あの日は練習が休みで、ゆっくり家に帰ろうと教室を出たとき…

ドン!ガタガタガタ。



震源とは程遠い北海道でもたしかに揺れを感じた。

キャーという悲鳴。
慌てて電話する先生方。
全ての部活が中止となり、速やかに下校するよう指示を受けた。

震源地の近くは、いったいどれだけ非現実的な世界だったのだろう。
想像するだけで怖くなりやめた。



僕の両親は東北地方出身で、母の実家は岩手県。
山間部の田舎町だったので、津波の被害はなかったが、それでも5日間くらいは全く連絡が取れなかった。

連絡が取れるまで、母が言葉では表現できないほど心配していたのを覚えている。

福島から転校してきた友人や、逆に親がボランティアで岩手に行くため、一緒に引っ越して行った友人もいた。



あの地震はこれまでの日常を大きく変えた。



僕の通っていたサッカーのクラブチーム(U15)は北海道の中ではトップレベルで、北海道コンサドーレ札幌のジュニアユースと互角に戦うレベル。

そのため、3月末の春休みは毎年大阪遠征に行くのが恒例だった。
この年も例外ではなく、サッカーの大会も開催されるので、遠征に行くこととなった。

とはいえ、テレビのニュースではあの日の映像が繰り返される日々。
被災地では入学式が遅れるといったニュースもあった。

そんな中、自分たちはサッカーをしていて良いのだろうか。

僕に限らず、当時、日本中のサッカープレーヤーが誰しも一度は考えたことではないだろうか。
プロもアマチュアも関係なく…



大阪遠征2日目の夜。
急に監督が、チケットを配り始めた。

試合名は「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチがんばろうニッポン!」

え!!!!!

田舎町に住んでいたこともあり、プロの試合は北海道コンサドーレ札幌の試合しか見たことがなかった。
今となってはJ1に定着した札幌だが、それはつい最近の話で、基本J2にいる弱小クラブだった。

そのため日本代表のプレーなんてほとんど見たことがなく、テレビの中の世界のお話。

さらに日本代表の対戦相手、JリーグTEAM AS ONEにはこれまでの僕の憧れの選手ばかり!
中村俊輔、小野伸二(後に札幌にやって来るとは思ってもみなかった)、そしてキングカズこと三浦知良もメンバーに選ばれていた。



正直に話すと、試合当日のことはそこまで覚えていない。

日本代表の試合はこんなに人が集まるのかと驚いたこと。
試合前のウォーミングアップから声援がもの凄かったこと。
倉木麻衣さんの国歌斉唱が始まると、数秒前までの凄まじい声援がシーンと静まり、美声だけが響いていたこと。
4万人の黙祷。



そしてキックオフ。


肝心な試合内容は、本当に面白かった。

日本代表の意地と、日本代表に選ばれたい、もしくは元日本代表の意地、東北の想いを背負う者の覚悟、など、いろんな想いがぶつかったバチバチな試合展開。

どこを切り取っても、そこでプレーした選手の数、そこに集まった人の数だけ、この試合に対するドラマや想いがあったはずであり、誰しもが主人公になり得た。

ただ、この日の主人公は間違いなく彼だった。



「キングカズ」



日本代表がヤットさんのフリーキックと岡ちゃんのゴールで2点リードし、前半を折り返す。

前半は日本代表のペースだったが、ハーフタイムの選手交代から流れが変わり、徐々にJリーグチームが反撃を開始する。

後半から出てきた、中村俊輔のサイドチェンジの正確さにはとてもびっくりした。

後半17分、ついにキングカズがピッチへ。

スタジアムでは「カズ、カズ、カズ、カズゴール、カズゴーール、カズゴーーール」のチャントが鳴り響く。

そしてその時はやってくる。
後半37分、GK川口のロングフィードを闘莉王がヘッドでそらし、裏に抜け出したのはキングカズ。
GKとの1対1の場面で冷静にゴールへ流し込んだ。



ゴーーーーーーーーール!!!!!!

ワーーーーー!!!

おーーーーー!!!!!



そして、テレビで見た、カズダンス!!!!!

子供の頃、何度も真似したカズダンス。
それを、僕の目の前でカズ本人が踊ってる。
サッカーをしていて本当に良かった。

もう、本当に夢を見ているような感覚で、心の奥底から自然と声が出て、生きる勇気を貰ったゴール。

僕たちサッカープレーヤーがサッカーをする意義を、自然とカズが教えてくれたような気がした。

いや、そんな大きなことではなくて、単純にサッカーの楽しさ、素晴らしさをカズは教えてくれた。



「サッカーしていいんだ」ってね。




最後まで読んでくださり、
ありがとうございました!!

書いてて少し辛くなったりもしましたが、決して忘れてはいけない出来事だと思うので、noteをきっかけに、振り返ることができて良かったです😌

そして、カズさんは僕、いや僕らの永遠のヒーローです👑⚽️

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