見出し画像

【読書】世界はフムフムで満ちている

横浜、みなとみらいから徒歩15分くらいのところに LOCAL BOOK STORE kita.という本屋さんがある。
ここは、"本棚を貸し出している"本屋さんである。
実に50店舗もの本屋さんが出店し、本棚の一角にそれぞれ個性ある本を展示・販売している。

その本屋さんで、私の目についたのが「世界はフムフムで満ちている」だ。

異なる職業に就く方88人にインタビューをし、その内容を絵本の様にさっくりと伝えてくれる。1章1章、ひとりひとりに思わず読み直す文章があって、さくさく進むのに時間がかかる、軽いのに頭を使う、不思議な魅力ある本だった。


これは、国語辞書編集者のお話。

喫茶店で待ち合わせ、挨拶をし、紅茶を注文する。
そのたった二分間の会話で、あぁ、と思う。
あぁ、言葉の選び方、扱い方がなんて丁寧なんだ。

シンプルに、素直に、とても羨ましい。
そう思われるひとになりたい。

自分の感情や考えを適切に表せる単語を見つけた瞬間に、パズルのピースが嵌ったような、頭の中に新しい回路ができたような感覚と共に、「言葉」は私にとって特別になった。

いつか「言葉」にとっても大切な存在になりたい。
綺麗に柔らかく特別に言葉を使える人になりたい。

あぁ、羨ましいな。


「何万もの言葉を拾い集めて気づいたのは、まちがっている言葉なんてないということです」
「どの言葉も望まれて生まれてきた。だから言葉を差別してはいけないんです」

言葉を差別。

使ってはいけない言葉を使わないことは差別なのだろうか。
悪い言葉だからと知ることすらしないのが差別?
それとも、言葉の成り立ちや背景を知ろうとしない深めようとしないことが差別?

はたまた、国語辞典に罵詈雑言やF wordをも記載し続けることが国語辞典編集者さんが意図しているところなのかもしれない。
(全然知らないけれど、「悪い言葉を知ってしまうから載せないで」っていう意見ありそうだよね。特に子供用の辞書には。)

確かに辞書に罵詈雑言まで載ってるの、すごいな。


ーーーーー

世の中には自分が知らない職業がごまんとあって、それぞれに誇りあるプロフェッショナルがいる。

大人になるにつれて世間が狭く、自分に許された選択肢の幅が限定されているように思うけれど、それは専門性が高まると同時に視野が狭くなっただけなんだと思えた。

私は今からだってなりたいものになれるし、
なりたいものをいくつでも見つけられる。



おわり。

追記:本屋さん探訪記も書きたいんだけど、書くほどの内容がない気もする。個人書店とか古本屋さんとか、楽しいよね。

この記事が参加している募集

#スキしてみて

529,721件

#読書感想文

192,370件