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詩|あなたに

詩|あなたに

日々の記憶が 眉間を皺寄せさせたり
口元を綻ばせたり それに振り回されたり
あなたと居る今が ただ幸福なだけなのに

光が差す部屋の中で 暗がりを求めて
内側に引きこもろうとする
あなたは明るい部屋が好き
わたしもそうなりたいのだ

手を繋いで あてもなく歩くと
小さな花が 道端に咲いていた
縁石から灰色を突き破って咲いている
あなたはその力強さに 驚いて
わたしに同意を求めた

わたしは確かにそ

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詩|愛について

詩|愛について

愛を出そうとする瞬間があるならば、それは、既に、愛がその場から消失した瞬間でもある、いつの日もそこに眠っているはずのものを、人は見向きもせずに、ただ己の欲に従って生きている、見つけるべきものは、途方もない出口の、見えない場所への終着点ではなくて、ただそこにある、置き去りにされそうな自己の救済である、愛はそれを可能にする、そう信じている

詩|You’re so fuckin’ special

詩|You’re so fuckin’ special

何年も前に、酔っ払いながら書いたものだけど、ものすごく気に入っている

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伝えたいことが山ほどあるようで、でも言葉で伝えられる範囲は狭くて、そして不確かで、熟しすぎたりんごのように、それは喉元を過ぎ去ったあとにすぐにぐちゃぐちゃになって、真実かどうかも、それを定めるボーダーラインも何もかもが宙に浮いて、そうやって何一つと完全に信じられるものはなくて、面倒くさくなって、人

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詩|コール

詩|コール

晴れた日の憂鬱 じっと構える性質
ところ狭しと溢れている 人が生きる理由など
上部をなぞって 光をよもうとして
それはあくる日の物語
今の悲しみをかみくだけない

タワーを飛行機雲が刺す 光が眩しい
知らぬ間に指が離れた 
風のない午後 朝一のシャワー
転がり込んだ昨日は 全て許して
満遍なく澄み渡っていく 感傷に浸り
自然にかえる それを望む

詩|蝋燭

詩|蝋燭

目を開けると いつも以上に腕の痺れを感じる
猫が腕を支配している時間が長いほど 痺れは増す
身体的な異常を なぜか人はある場面においては
それを幸福だとさえ思ってしまう

自我の崩壊につながるような
大した事件に巻き込まれるなら
それを積み上げていく緻密な作業が待っている
心は目に見えないものなのに
己の感覚で 一つ一つとパズルを組み立てる

状況が支配するのは その状況が己に向ける
数々の痛みを

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詩|海について

詩|海について

電車の窓から差し込む光は
妙に眉間をくすぐる
つり革の三角 広告の圧力
表情のない老人 優先されない席

世界は歪などとは口には出せない
世界の隅っこでしか僕は生きていない
されど 目の前の景色が僕の全てだ
必要以上の情報はいらない

水平線が顔を出す
ちょうど 窓の真ん中を切るように
世界は分割した 否 世界は二つとない
この水面のキラキラした表現で
どれほどの人を魅了したのだろう
ただただそれ

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詩|夏の匂い

詩|夏の匂い

鈍色 薄紅色 緩いコントラスト
涙雨 静寂の隅 永遠の一瞬
魂が乗り移る 鍵をぐしゃぐしゃに丸めて
足元の先っぽの 水滴を愛でる

夏の匂い

詩|いちご

髪先を人差し指でくるりと巻く
退屈そうに彼女は枝毛を探している
珈琲の湯気は素直に天井へ向かう
角砂糖を一つ ピンセットで掴む

窓側のテーブル 歩行者の色に自分を重ね
殊更 憂鬱な表情を浮かべた
君は枝毛だけを気にしてはいない
取り巻く世界との距離を探している

赤いマニュキュアが素敵さ
彼女は軽く微笑み 指先で耳に触れる
その癖の意味を探りつつ
角砂糖の溶け具合に目を向ける

混じり合うことの

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詩|フラスコ

詩|フラスコ

日々の渇きを潤すように、水を注いだ
満タンにする必要はない、また乾くのだ
過剰に注いでしまった日は、床が濡れる
後処理の問題だ、私の容量は決められている

窓から溢れる光、オレンジがガラスに差し込む
不純物は透明の中で泳いでいる
ある瞬間の記憶が空間を満たす
あれは確か冬の日 君がいた頃

不自然にざわめく木々の音が
二つの終わりを告げた
空は快晴 陽だまりの中 確かな冬の気配
すうーっと吹き抜け

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詩|小粒

詩|小粒

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前書き
余白を設けた方が、誰かの居場所を作ることができる。短文で、説明しきらない不完全さという形式は、僕には愛に思える。植えつけられる価値観よりも、植えつけていく価値観に。
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大衆の中の個性が色を作った
傘が広げられ 音さえも違う
タバコの煙 空き缶の潰れる音
アスファルトの渇きは 雨が

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