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inaca
2022年8月19日 15:01
日々の記憶が 眉間を皺寄せさせたり口元を綻ばせたり それに振り回されたりあなたと居る今が ただ幸福なだけなのに光が差す部屋の中で 暗がりを求めて内側に引きこもろうとするあなたは明るい部屋が好きわたしもそうなりたいのだ手を繋いで あてもなく歩くと小さな花が 道端に咲いていた縁石から灰色を突き破って咲いているあなたはその力強さに 驚いてわたしに同意を求めたわたしは確かにそ
2022年1月3日 23:52
愛を出そうとする瞬間があるならば、それは、既に、愛がその場から消失した瞬間でもある、いつの日もそこに眠っているはずのものを、人は見向きもせずに、ただ己の欲に従って生きている、見つけるべきものは、途方もない出口の、見えない場所への終着点ではなくて、ただそこにある、置き去りにされそうな自己の救済である、愛はそれを可能にする、そう信じている
2021年10月5日 18:20
何年も前に、酔っ払いながら書いたものだけど、ものすごく気に入っている_____________伝えたいことが山ほどあるようで、でも言葉で伝えられる範囲は狭くて、そして不確かで、熟しすぎたりんごのように、それは喉元を過ぎ去ったあとにすぐにぐちゃぐちゃになって、真実かどうかも、それを定めるボーダーラインも何もかもが宙に浮いて、そうやって何一つと完全に信じられるものはなくて、面倒くさくなって、人
2021年9月19日 20:37
晴れた日の憂鬱 じっと構える性質ところ狭しと溢れている 人が生きる理由など上部をなぞって 光をよもうとしてそれはあくる日の物語今の悲しみをかみくだけないタワーを飛行機雲が刺す 光が眩しい知らぬ間に指が離れた 風のない午後 朝一のシャワー転がり込んだ昨日は 全て許して満遍なく澄み渡っていく 感傷に浸り自然にかえる それを望む
2021年6月27日 08:39
目を開けると いつも以上に腕の痺れを感じる猫が腕を支配している時間が長いほど 痺れは増す身体的な異常を なぜか人はある場面においてはそれを幸福だとさえ思ってしまう自我の崩壊につながるような大した事件に巻き込まれるならそれを積み上げていく緻密な作業が待っている心は目に見えないものなのに己の感覚で 一つ一つとパズルを組み立てる状況が支配するのは その状況が己に向ける数々の痛みを
2021年5月25日 00:23
電車の窓から差し込む光は妙に眉間をくすぐるつり革の三角 広告の圧力表情のない老人 優先されない席世界は歪などとは口には出せない世界の隅っこでしか僕は生きていないされど 目の前の景色が僕の全てだ必要以上の情報はいらない水平線が顔を出すちょうど 窓の真ん中を切るように世界は分割した 否 世界は二つとないこの水面のキラキラした表現でどれほどの人を魅了したのだろうただただそれ
2021年5月19日 11:48
鈍色 薄紅色 緩いコントラスト涙雨 静寂の隅 永遠の一瞬魂が乗り移る 鍵をぐしゃぐしゃに丸めて足元の先っぽの 水滴を愛でる夏の匂い
2021年3月14日 08:07
2021年2月4日 03:47
髪先を人差し指でくるりと巻く退屈そうに彼女は枝毛を探している珈琲の湯気は素直に天井へ向かう角砂糖を一つ ピンセットで掴む窓側のテーブル 歩行者の色に自分を重ね殊更 憂鬱な表情を浮かべた君は枝毛だけを気にしてはいない取り巻く世界との距離を探している赤いマニュキュアが素敵さ彼女は軽く微笑み 指先で耳に触れるその癖の意味を探りつつ角砂糖の溶け具合に目を向ける混じり合うことの
2019年12月24日 22:47
日々の渇きを潤すように、水を注いだ満タンにする必要はない、また乾くのだ過剰に注いでしまった日は、床が濡れる後処理の問題だ、私の容量は決められている窓から溢れる光、オレンジがガラスに差し込む不純物は透明の中で泳いでいるある瞬間の記憶が空間を満たすあれは確か冬の日 君がいた頃不自然にざわめく木々の音が二つの終わりを告げた空は快晴 陽だまりの中 確かな冬の気配すうーっと吹き抜け
2019年3月8日 23:40
この詩は1分以内で読めます前書き余白を設けた方が、誰かの居場所を作ることができる。短文で、説明しきらない不完全さという形式は、僕には愛に思える。植えつけられる価値観よりも、植えつけていく価値観に。________________________________________大衆の中の個性が色を作った傘が広げられ 音さえも違うタバコの煙 空き缶の潰れる音アスファルトの渇きは 雨が