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『顧客理解のためのペルソナとカスタマージャーニーマップ』


「ペルソナ」と「カスタマージャーニー」は、顧客中心のデジタルマーケティング施策を検討する上で、またそれらの施策アイデアを組織で共通認識を持つ上で、有効なフレームワークです。
ただ、時間をかけて作成したものの「作りっぱなしで、なんか活用されない」といったケースもよくあるケースです。
今回は、デジタルマーケティングの現場で活用できる「ペルソナとカスタマージャーニーマップ」について、共有していきたいと思います。

「ペルソナ」「カスタマージャーニーマップ」とは

ペルソナは、ターゲットとなる顧客の人物像を具体的なイメージに落とし込んだもので、
①チーム全体で共通のユーザーイメージを持つ
②見込み客が抱えている悩みや問題点を発見しやすくする
③ユーザー視点で効果的な施策を考える
といった目的があります。

また、カスタマージャーニーマップとは、顧客が自社の商品やブランドとどのような接点を持ち、どのような行動・体験・感覚の変遷を辿るかを”旅”に例えたもので、
①ユーザー視点で最適なタッチポイントで、最適な体験やメッセージングをデザインする
②チーム全体で共通の顧客イメージを持ち、組織調整に活用する
といった目的があります。

これらを作成することで、デジタルマーケティング施策を点ではなくシナリオで設計することが可能になります。

ペルソナ、カスタマージャーニーマップ

ペルソナ、カスタマージャーニーマップは、関係部署を巻き込んでワークショップ形式で実施することをオススメします。
組織として、カスタマージャーニーレベルまで落とし込めると、その後の組織間での共通認識がブレにくくなるため、戦略立案における組織調整がスムーズになるメリットもあります。
可能であれば、ワークショップを企画して、マネジメント層はじめ各部署を巻き込んで実施してみてください。
なるべく多くの人が参加して一緒に作り上げることで、各々が腹落ちした状態のものが出来上がり、活用頻度が高くなります。

顧客解像度を上げるペルソナ設計

顧客文脈の整理は、切迫度や利用目的などでマッピングしたり、「Who/What/How」のフレームワークで深堀ったりといった方法がありますが、今後の戦略設計を視野に入れた場合、顧客を代表的に捉えたペルソナレベルまで解像度を上げることを推奨します。

ペルソナ

こちらが、「社会人向け英語学習サービス」のペルソナ例です。
もちろん、事業サービスによって検討したい項目は異なりますが、デジタルマーケティング戦略立案の段階においては、
・属性情報
・性格/価値観/意識
・検討背景
・メディア接触/サービスを知ったきっかけ
・サービスに対するリテラシー・経験値
などが有効な検討項目になります。
是非、こちらのフォーマットを参考に活用してみてください。

解決策のアイデアを洗い出すカスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップ

こちらが、「社会人向け英語学習サービス」のカスタマージャーニーマップ例です。
こちらに顧客の行動や体験を描きだすと、現状の「AS-IS」が良い体験ばかりではなく、良くない体験も混在していることが往々にしてあることに気づきます。
あるいは、顧客は良い体験だと現状で満足しているため、実はもっと良い体験ができる可能性を見逃していることもあります。

また、カスタマージャーニーマップ下側には、見えてきた「課題や問題を含んだネガティブな顧客体験・検討行動」に対して、サービス提供側やビジネス側の「課題」も浮き彫りにしていきます。

解決策のアイデアなどは、理想像である「TO-BE」のカスタマージャーニーマップ、つまりビジネス側の課題が改善された状態の理想的なシナリオを模索していくことができます。

繰り返しになりますが、カスタマージャーニーマップの作成では、あるべき顧客行動と感情を整理した後、「ビジネス課題を解決する施策アイデア」を洗いだすことがゴールになります。

カスタマージャーニーマップ シンプル

また、ステージ別の顧客の行動、感情、解決策といった、シンプルなカスタマージャーニーマップでも有効です。
情報量が多いからいい方針が策定できるとも限らないため、難しいなと思ったらシンプルなフォーマットでも試してみてください。

カスタマージャーニーマップの典型的な失敗のパターン

カスタマージャーニーマップの作成は、うまく使えれば良いツールではあるのですが、実際には作っただけであまり活用されていなかったり、間違った活用がされていることも多いのが事実です。
典型的な失敗パターンに陥らないように、失敗例をいくつか紹介します。

失敗パターン①苦労して作成したが実行に移れずにうやむやになる

時間をかけて作成をしたが、何のための作成だったのかわからない状態になってしまうケースです。
これを防ぐには、前提として全体でカスタマージャーニーマップを見直したり、議論の出発点として事あるごとに出したりするなど、誰かが活用を推進していく必要があります。そのためにも、下記の点に注意してください。

1.納得感を醸成させる
他部署を巻き込んで実行に移していくには、マネジメント人材や担当者に、「これは取り組む意義がある」「やったほうが良い」と思ってもらえるようにしないといけません。
人は感情の生き物ですので、決定事項だからといって全力で取り組むかといえば、そうではありません。
納得感をつくることが、成果の最大化につながります。

2.活動とビジネス成果を相関させる
何をすればどうなるという因果関係を、ビジネス成果をゴールとしてしっかりと可視化することが重要です。
活動とビジネス成果の相関が明確なほど、人は動きやすくなるでしょう。

3.イシューを明確に設定する
最も重要なのが、この取り組みがどのビジネス課題を解いているのかイシューを明確にすることです。
このイシューを正しく認識し、浸透させることが成功のキーになります。

失敗パターン②出てきた多数の課題つぶしに終始してしまう

課題を洗い出すだけで満足してしまい、課題の羅列としてしか活用されなかったり、実態と離れているのに修正がされなかったりするケースもあります。

カスタマージャーニーマップで課題を100個洗い出したとしても、ジャーニーマップで挙げられる多くの課題を一つ一つ対応してしまい、手が回らず挫折してしまう可能性があります。
課題潰しに忙殺されないためにも、課題を構造化(整理分類)し、課題が発生しているボトルネックを捉え、そのボトルネックを解決するために大きな打ち手で成果を上げることが重要です。

失敗パターン③期間が長いすぎる間違ったアプローチ

長すぎるカスタマージャーニーは、複雑になって失敗に終わるケースが多いです。

期間が長すぎるカスタマージャーニーだと、これまでの失敗パターンのようにジャーニーが複雑になり、失敗に終わってしまう可能性があります。
そのため、長くても2、3年程度、それ以上長い場合はカスタマージャーニーの起点と終点の区切りを変えて、もっと短いジャーニーに調整しましょう。

これらの失敗パターンに注意して、最適なタッチポイントで、最適な体験やメッセージングがデザインされたカスタマージャーニーマップを作成してみてください。
そして、チーム全体で共通の顧客イメージを持ち、組織調整に活用しましょう。

最後に。日経ビジネススクールの講座紹介

日経ビジネススクールのオンデマンド動画講座では、「デジタルマーケティング戦略立案」について、より詳細を解説しております。
デジタルマーケティング戦略立案において、概念的な基礎知識だけなく、実践的で再現性の高い「戦略立案方法」を解説しております。
ご興味があれば是非試聴してみてください!


講座の想い
「未経験でもデジタルマーケティングを活用してもらいたい!」

私自身は、営業出身で新規開拓営業からソリューション営業まで多くの企業様への営業経験をさせてもらい、そこで強烈に感じたのは、ほぼ100%に近いクライアントがデジタルマーケティングに課題を感じており、「事業を生かすも殺すも、デジタルマーケティングをものにできるか否か」といった現実でした。
そこから、デジタルマーケティングの必要性を強く感じ、未経験でデジタルマーケティングのコンサルティング業に思い切って転身。
そして、BtoC、BtoB問わず、大手企業からベンチャー企業までデジタルマーケティングを活用した事業成長支援を、通常の倍速以上で濃縮に経験させていただいております。
もちろん、クライアントへバリューを提供するために、ご飯を食べるように書籍や動画など、デジマケ関連の情報は読み漁りました。
そこで感じたのは、WEB広告、SEO、SNS、LP改善などなどなど施策単位のナレッジ・方法論は人生賭けても読みきれない程解説されていますが、「何をすべきか?」の戦略的な問いに対して理解することが難しいと感じました。
というのも、デジタルマーケティングは、「施策メニューが多い!分析データ量も多い!」と「忙殺の沼」にハマるといった落とし穴が多いからです。

今回の日経ビジネスクールの講座は、デジタルマーケティングは何から始めるべきか?といった問いに対して、「顧客文脈」と「競争環境」から紐解いていけるように解説した講座になります。
デジタルマーケティング特有の横文字が多いのはご容赦いただきたいのですが、デジタルマーケティングに関わる方には、お役に立てる講座です!
僕自身がそうであったように、未経験でも体系的に理解できるように、出来る限り解説しております。
是非、ご興味あればご試聴ください。拡散も嬉しいです。

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