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味噌の栄養は『酵素』や『生きた麹菌』じゃないーじゃ、なんで体にいいの?

久しぶりの発酵ネタです。

よく、『味噌は体にいい』と言いますよね。そこは私も大賛成です。味噌は栄養豊富な食品です。ですが、なぜ、味噌は体に良いのか。

多くの人が『酵素が含まれているから』あるいは『菌を生きたまま食べられるから腸内環境に良い』という理解をしているように思います。

そして、『酵素は栄養ではないし、麹菌を生きたまま食べることに意味はない』という説明をすると、『味噌=健康=酵素=生きた菌=腸内フローラ!腸内フローラ!』みたいに思い込んでいると、足下が崩れていく感覚にもなるようです。

じゃあ、味噌は体に良いというのはなぜなのか?『酵素』とか『生きた菌』とかって話じゃない説明をしたいと思います。

味噌は大豆の様々な栄養を効率的にとれる食品

そして、身も蓋もない説明になりますが、味噌が体に良いのは、そもそも、その主原料である大豆が体に良いからです。

大豆は元々『畑のお肉』と呼ばれるほど栄養に優れた食品です。発酵の力によって、その大豆の栄養を摂取しやすくした食品、あるいは大豆の状態では微量だった栄養を発酵の力によって多量に生成したもの味噌といえます。

味噌において、大豆のタンパク質の約30%がアミノ酸に分解されます。その中には、いわゆる必須アミノ酸9種類がすべて含まれています。

文部科学省の食品成分データベースに記載されている味噌の栄養成分として含まれているものを書き出してみます。

注:)淡色系辛みそ、100gで検索、Tr(痕跡値)以上、水分は除く

たんぱく質
脂質
炭水化物
灰分
ナトリウム
カリウム
カルシウム
マグネシウム
リン

亜鉛

ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
αートコフェロール
βートコフェロール
γートコフェロール
δートコフェロール
ビタミンK
ビタミンB1
ビタミンB2
ナイアシン
ビタミンB6
ビタミンB12
葉酸
パントテン酸
ビオチン
飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸
水溶性食物繊維
不溶性食物繊維
n-3系多価不飽和脂肪酸
n-6系多価不飽和脂肪酸
14:0ミリスチン酸
16:0パルミチン酸
17:0ヘプタデカン酸
18:0ステアリン酸
20:0アラキジン酸
22:0ベヘン酸
20:1イコセン酸
18:2n-6リノール酸
18:3n-3αーリノレン酸
イソロイシン
ロイシン
リシン
メチオニン
シスチン
フェニルアラニン
チロシン
トレオニン
トリプトファン
バリン
ヒスチジン
アルギニン
アラニン
アスパラギン酸
グルタミン酸
グリシン
プロリン
セリン
アンモニア
でんぷん
ぶどう糖
果糖
ガラクトース
しょ糖
麦芽糖
乳糖

一つの食品で、これだけの栄養素が含まれているものは、なかなかありません。

これだけでも、「味噌は体に良い」ということの説明として十分ではないでしょうか。

味噌に含まれる成分が体に作用する

では、具体的に味噌の栄養成分がどのように体に作用するか、いくつか、具体例を見ていきましょう

まず、コレステロール対策としては、サポニン、レシチン、食物繊維、リノール酸といった成分が血中コレステロールの上昇を防ぐ働きがあります。

高血圧については、高血圧を防止するペプチドが味噌に含まれるだけでなく、カリウムや、食物繊維は、血中にナトリウムが溜まるのを押さえ、血圧上昇を防ぎます。

あるいは、ビタミンB群、ビタミンが体に良いというのは改めて言うまでもないですが、これらは代謝を促し、心身を適切に調整し、疲労回復などに効果があります。

また、ちょくちょく『食物繊維』が出てきますが、そもそも食物繊維がお通じをよくするのは、よく知られているところです。大豆の食物繊維を効率的にとれるのも、また、味噌の効果です。

その他、味噌の栄養については、味噌製造業者887社が加入している全国味噌工業協同組合連合会による「みそ健康づくり委員会」のサイトが、精力的に味噌の健康情報を発信されています。

この記事も多くを「みそ健康づくり委員会」さんのサイトや冊子から参考にいたしました。

是非、味噌と健康の関係に興味を持たれましたら、まず、一番最初に、このサイトをご覧いただくことをオススメいたします。


まとめ

今回は栄養素に着目して記事を書きましたが、そのほかに紹介していない、さまざまな健康効果があります。日本人は、ご飯に味噌汁、一汁一菜の食生活でも、生きていくための栄養を摂取してきました。

『発酵食品=酵素=生きた菌』という結びつきではなく、味噌は、そもそも様々な栄養成分を豊富に含有していること、そしてその豊富な栄養成分は発酵を通じて生成され、吸収しやすい形になっていることこそ、味噌の底力であり、体に良いとされる由縁ではないかと思うところです。

そして、中高の家庭科の教科書には、『発酵食品=酵素=生きた菌』という結びつきは書いてありません。また、教科書的定義では、酵素は栄養には含まれません。

それよりも、家庭科の教科書には『栄養豊富な食品をバランスよく食べましょう』と言うことが書いてあると思います。正直、当たり前すぎて、基本過ぎて、とても地味な発想です。

でも、その基礎基本がやっぱり大事で。

『大豆は栄養豊富、その栄養豊富な大豆を、発酵を通じて、より一層栄養豊富にして食べやすくした食品=みそは、つべこべいわずとも、体にいいに決まってるじゃん!』

という話な訳です。

味噌汁、毎日飲んでも、毎日おいしいです。

今日の話はここまで。

最後までご覧いただきありがとうございました。 私のプロフィールについては、詳しくはこちらをご覧ください。 https://note.com/ymurai_koji/n/nc5a926632683