いつもお世話になっている #FM802 を #マーケティングトレース
昨年もたくさんFM802にお世話になってきた山下(@ymst9991)です。
2019年は、コミュニティに目を向けた1年。 #マーケティングトレース 、 #箕輪編集室 ライターチームに入り、動ける範囲でちょこちょこやっています。本業のnanocolorでもWebデザイナーに留まらずコミュニティを広げる動きを本格化するくらいには影響を受けています。
マーケティングトレース含め、コミュニティメンバーの圧倒的行動力と継続を誇るその姿勢、その上で量と質のバランスを取りながらカタチに残るアウトプットを見るたびにいつも気付きや発見があることが素晴らしいと思っています。だから、今年は「自分がもっと熱狂できるもの」を発見し、カタチに残すための行動をしていきます。
アウトプットにはリズムが必要
そう思いながらこうしてキーボードをカチャカチャとする打ち込み自分の手を動かすわけですが、考えを吐き出す作業は自分と対話する時間が長くなる。悪いわけではないですが、答えを出すのに時間がかかることもあります。
自分の中で習慣のような、リズムのようなものを作っておくと比較的楽に感じます。例えば音楽の効果はご存知でしょうか?あえて"自分以外のこと"に興味をそらすことで、"自分のこと"を俯瞰しやすくなり集中できる環境になると言われています。服屋でも、自分が選んでいるシーンをマジマジと店員さんにみられることにどことなく気まずさを感じますが、そこそこの音量の音楽があるだけで"自分の好みとタイミング"に集中できるのです。
さて、今年も頑張るあなたにピッタリなのがラジオです。 今日はラジオをマーケティングトレースしていきましょう!
▼マーケティングトレースとは?
企業のマーケティング戦略をフレームワークに落とし込んで分析し、言語化や図解をしながら思考力を鍛えるトレーニング手法です。
・・・主宰:黒澤さんの記事より
ラジオはもはや古くない!【PEST要因】
テレビなどの従来型マスメディアと同じく"広告代理業"の役割を担っており、主な収入源は広告収入です。しかし近年は、ネット環境が整備されて人々のライフスタイルも多様化し、メディア提供者は「人々の可処分時間をいかに奪うか」が鍵となっています(Social)。ただ、ラジオは視覚情報が無いため、真正面の競合は聴覚情報である音楽になります。時間を有効活用できるため、ライブ放送にも関わらず平日・休日問わず利用できる。「音楽との親和性が高い」ことがTVなどの既存メディアと比べて相対的に浮き沈みの少ない可処分シェアを誇っている状態ですね。(それでもテレビ・ネットが圧倒的ですが…)
(「ラジオ聴取」はいずれのメディア(テレビ・インターネット)の傾向と比べて、概ね平日の方が平均利用時間が長い傾向にある
(参考:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd252510.html)
もっとも、リスナー参加型企画にも力を入れています。広告枠のための聴取率を追求するだけでなく、自らが主催となって大型のイベント企画を開くことで大きな話題を呼び、結果的にSNSでのシェアがメディアの希少性→価値創出→消費者の参加行動に大きく影響しています。
これらの契機となったのが、「radiko.jp」の登場。電波放送事業とIT技術が融合したアプリサービスの誕生で、「ネットで全国のラジオが聴ける」状況が生まれ、カーステレオやコンポが無いシーンでもラジオを楽しむことができます(SocialTech)。既存のメディアがかたちを変えずに中身をアップデートすることで、市場競争に生き残っていると考えています。
radikoは基本的に自分がいるエリア内の放送局しか聴けないのですが、有料プランでは全国どこにいても好きなラジオ局の番組を聴ける、というラジオヘビーユーザーにとっては最高なんじゃないでしょうか。ユーザー接点の軸となるアプリに「ラジオファン」の階層を設けることで、より深いユーザーを手放さない設計です。
FM802(エフエムはちまるに)とは?【STP→4P要因】
札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の日本五大都市FM局のネットワーク(Japan FM League:JFL)のうち、業界2番手の規模を誇る関西の大手ラジオ局(fm80.2)
【FMとAMの違いは?】
FM…届く範囲が狭いが、雑音が入りにくい→音楽番組向け
AM…届く範囲が広いが、雑音が入りやすい→トーク向け
ぼくが書くと贔屓目にならざるを得ないのですが、大阪のお店は有線ではなくラジオが流れていることが多く、だいたいFM802かFM COCORO。誰もが一度は耳にしたことがあるラジオ。ターゲットは、音楽が好きな学生から、様々なライフスタイルを楽しみたい30代まで。音楽を主軸にしながら、そこから派生する情報を届けることをコンセプトにしています。FM802は、パーソナリティー・DJはホントに個性豊かで、普通の話をしている流れでも面白いと感じさせてくれるのはさすが関西だなぁと…。
首都圏の競合で言うと、J-WAVE(fm81.3)が一番近い。コンセプトも「お洒落な音楽だけを流し続ける」ということで、アーティストや芸能人が冠番組を持っていてゲストが豊か。たまに聞くことがありますが、その豪華さはさすが首都圏。いずれのFMも、広告枠があるからこそリスナーは無償で楽しめる機会を簡単に得ることができます。
ちなみに関西で二番手のFMシェアを誇るFM COCORO(fm78.5)のターゲットは40代以上向けですが、802と同じ建物・ラジオ局内にある株式会社FM802の一員。ということは、大阪のFMラジオは一社ほぼ独占状態にある。すごい。
▼全国で最も音楽に力を入れている2大FM局。
・京阪神:FM802(1,900万人)「meet the music on the radio」
(規模:売上高41億円 ※1局2波運用・FM COCORO含む)
・首都圏:J-WAVE(4,000万人)「TUNE INTO THE FUTURE」
(規模:売上高52億円)
▼その他の地域で大きな力を持つ3大FM局(JFL加盟)
・北海道:FM NORTH WAVE(450万人)「HAPPINESS RADIO STATION」
・東海圏:ZIP-FM(1,600万人)「Always beside you」
・福岡圏:CROSS FM(738万人)「green station」
事実としての競合はあるか?【STP→3C/5F要因】
ラジオ局というポジションながらエンタメ発信地という独自性を持っているため、様々な領域と競合しているといっても過言では無いでしょう。どんな業態でも、参加型イベントが継続して規模が大きくなっていくと、それが当たり前になり、文化になります。文化になると、「えっこのイベント、ラジオ局が主催してるんだ!」といった気付きにつながります。
このポジションに行くと、既存のエンタメ競合とバチバチに奪い合いを行わなくても「ラジオ局」というインフラの優位性を利用してタイアップなどを重ねやすくなります。結果、様々なエンタメ領域に参入がしやすくなります。
マスでありながらターゲットをどれだけ鋭くするか?コンテンツとマネタイズを結び付けるキーファクター
公開資料の範囲では、主な収益源はスポンサーとイベント収益。でも、利益率(売上総利益率)で言うと、実は日本一のJ-WAVEよりも高いことが特徴です。
考えられる要因としては、
・芸能人の冠番組が少なく自社のパーソナリティーを育てている。
→パーソナリティ・DJのトーク力に由来
・主催・協賛のイベント数が多い。
→ターゲットを絞りコアなファン・ニッチなイベントを企画する
これらを実現するために802が重要視しているポイントは、短期的戦術としてスポンサーを獲得する軸だけではなく、中~長期的戦略として既存の考え方にとらわれずのびのびとした発想の軸を取り入れ、実行すること。あらかじめ計画した枠組みで考えるエンタメは、新しさや驚きに対して保守的になりがちになってしまうので、結果として認知→理解がされにくい側面があります。
①マネタイズは後回しにする姿勢
広告収入は媒体として魅力(聴取率)があり続けていれば安定した収益化につながりますが、CMばかりになってはリスナーは逃げてしまいます。スポンサー番組でも、面白くない商品紹介だと商品は購入されません。関西圏は首都圏と比べると経済インパクトが少ないこともありあらゆる原価が低い傾向にありますが、競合に勝つために一定の質を担保するためにはアイデアや企画が命綱となります。
②イベント軸を醸成していく
FM802では、音楽アーティストを呼んだフェス・ライブの主催を年中通してたくさんしています。
◆代表的な3大フェス
1.MEET THE WORLD BEAT:ミザワビ(大型野外フェス:1日のみ)
2.REQUESTAGE:リクステ(リスナーのリクエスト曲で構成される屋内フェス:1日のみ)
3.RADIO CRAZY:レディクレ(ロック大忘年会屋内フェス:例年2日間)
↑ミザワビ以外は2019年参戦してきました。特に今年は、FM802開局30周年の「30PARTY」の題してゲストの豪華さもいつも以上。
一方、首都圏のJ-WAVEの年末イベントはCOUNTDOWN JAPAN。日本最大級のカウントダウンフェスは、開催日数(4日間!)と箱(幕張メッセ)が大きい分、圧倒的立地の良さと大手代理店も含めたクロスメディア広告での集客に力を入れ、資本の投下と動きがダントツです。
802のRADIO CRAZYも特色を出していきます。OA中の番組と中継し、例年2日間フェスの様子をほぼ通しで放送。「ラジオは大衆向け」という概念を無くすことで、ターゲットを絞り込むことができ、ここまで吹っ切ることができています。この英断はまさに特化型メディアを選択したからこそ為せる技。
さらに、番組リスナーの参加企画も充実。会員制SNS「RADIO PASS」や応募企画では、アーティストと競演してステージに立てたりとラジオでしか味わえない体験を作り、ニッチでコアなファンのコミュニティを形成しています。ある企画の音源は、radikoの聴き逃し放送ではカットしたりなど、リアルタイム視聴でのプレミアム感をちょんちょんに尖らせている。もはや、マスメディアではない。
◆自分がFM802のCMOだったら?
特化型イベントやその企画力を持っている802は、今後さらに領域を広げながら、コアで深いポイントをたくさん作っていくことが愛され続ける鍵になると考えています。
【現状→今後】
・個性豊かなDJ陣(オチケンさん、中島ヒロトさん、オオヌキタクトさん、仁井聡子さん等)
・ライブ配信の希少性→ハッシュタグでのリクエスト受付・OA連動発信
→中~長期的なキャッシュポイント:web⇔radioのさらなる連動
①ライブコマースに参入!
イベント体験を提供し続けることは、今後も大きなキャッシュポイントになります。チケットの選考抽選番号は番組内で発表され、802サイトに入力して応募できる形式をとっています。アプリもありますが、実はすべての機能をワンストップでできているわけではないのです。これに近いかたちで、番組内で紹介された商品や音楽を「欲しい!」と思ったタイミングで購入ができるプラットフォームがあると、自社メディアとしては非常に面白いのではないでしょうか。
●現状:統一された窓口が存在しない
・802アプリは公式サイトのミラー版→PV収益メディアのため広告が多い
・radikoと802アプリは別→事業主体が異なるため音声のみのお届けは技術的に難しい
・RADIO PASS(会員制)はオリジナルグッズ販売のECサイトと化している
・チケット購入はチケットデベロッパーサイトで販売→正確なPR効果をどこまで計測できているのか分かりにくい→打ち手が見えづらい
★解決:ゆくゆくは分散型プラットフォームに
・視聴-番組情報-商品購入がひとつの動線に→インフラの誕生
②聴く時代から見る時代へ。
同じマスであるテレビでは、「ドラマの放送時間=本筋」とは異なるスピンオフをネットに企画し、「作品がさらに好きになる=好きなものをもっと見たいという欲求」が叶う仕組みを作ることで、ファンの期待に応えています。また、スピンオフはコアなファンしかわざわざ見に行かないため、関連動画やグッズを購入してくれやすい段階にある属性の人が多いと考えられます。結果、収益が循環していきます。
ラジオでも同様に、OAスタジオのDJの様子をYouTubeで生配信したり、ゲストアーティスト楽屋入り~スタジオ演奏の様子を公開することで、オリジナルのチャンネルとファンとの接点を増やすことができるのではないでしょうか。
●現状:音声のみ
・ラジオならではの「想像」が掻き立てられる長所を伸ばすスタイルも必要
・平日は帯番組のため、時間を作ってスピンオフを見る動機になる「希少さ」が少ない
★解決:ネット配信実施
・DJが自分の色を出しながら、自分の好きなものを紹介でき、リスナーもそれを見て購入できる
・購買動線が整理され、効果計測の正確性が担保できる→新たな企画挑戦の投資ハードルを下げる。スポンサー効果の信憑性が担保できる。
③形式だけじゃない!スポンサーの強みを活かすPR
広告代理店という業態ですが、「放送枠」や「イベントの出店枠」からさらに発展させていくことで「スポンサーと消費者の新たな接点を増やす」ためにまだまだ攻めていけるのではないかと考えています。形式(UI)から、体験(UX)へ引き上げることで、一人でも多くの人に認知してもらうことで、記憶に残り購買に繋げることを目指します。
事例.マクセル社 フェスでの命綱「スマホ充電問題」を解決
ハッシュタグでの拡散は従来からされていますが、「充電体験・大迫力のMV」×「音楽フェス」との相性の良さがあります。フェスはずっと野外にいて、空き時間をスマホでつぶしたり、インスタストーリーズに楽しむ様子を上げていたらあっという間に充電が無くなります。ここに着眼点があり、「マクセルって充電器も作っていたんだ」という体験をして初めて認知・理解されます。だからこそ、例えばこの現場で参加者に空っぽのブルーレイディスクを配ったりはしません。そこには、リスナーにとっての主軸と接点があまりにも薄く、副次的な効果に結び付きにくいからです。
★レディクレ2019で出店したスポンサーを、より深い体験へシフトするための提案
・日産大阪:802ラッピング車「Funkycar」の展示(気楽な実車体験の不足)
→広いフェス会場を端から端まで乗せてくれるチャーター便としての使用
→「コンパクトなのに中は広い!」を体感できるきっかけ作り
・マクセル:充電スペース提供(ほかの場所での購入は、競合が多い)
→レンタルだけでなく、販売してしまう→ブランド想起に繋がる
・赤い風船 学生旅行:卓球ゲームに挑戦して、豪華商品をGET
→出演アーティストの次回ライブと絡めた早得プランも提供
★やったとたんつまらなくなりそうなので避けたいこと
・アーティストがメーカーとコラボして手売りなど(LTVが低く投資回収効果は期待できない、長期回収のブランディングなら他の場所でもできる)
・インフォマーシャルだらけのラジオ番組(TVはまさに今これ!)
2020年となり、FM802開局30周年の「30PARTY」が終わった。これからもぼくらにエンタメを供給し続けてくれる802に今後も期待です!
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