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英語の基本日記

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英語関連の話題について書いています。英文記事の紹介とか、文法の話とか、使える英語フレーズなどです。ちょっと高度かもしれませんが、どうか気楽にお読みください。
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2018年4月の記事一覧

”I” は話し手を表す人形

”I” は話し手を表す人形

言葉は人形劇に似ているともいえる。

Yesterday all my troubles seemed so far away.      ("Yesterday")

こういう風に、小さな人形のような語たちが登場し、関係しあって、ひとつの世界をつくっている。

もちろん、その背後には人形使いがいる。

人形使いがみずから舞台に姿を現すこともある。

人形使いは、 ”I” という衣装を着て、「アイ

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「元がとれる」は "It'll pay for itself."

最近のTIME に載った広告に、

THAT DINNER WON'T PAY FOR ITSELF.

というのがあった。ビジネスマンなら、商談などで高価なディナーを相手にふるまうこともある。だが、果たしてそれは十分な見返りがあるのだろうか? という問いかけである。

「採算がとれる」とか「払った分に見合ったものが得られる」というのは、pay for itself がうまい。

「努力は裏切らな

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「意味がないよ」 は "It'll get you nowhere."

「意味がないよ」 は "It'll get you nowhere."

「意味がある」とか「役に立つ」というと、meaningful とか useful とか、ついむずかしい言い方をしたくなるが、日常会話なら、もっと簡単でこなれた言い方がある。

Can I get somewhere with it?(それ、なにかの役に立つのかな)

You'll get nowhere.(無駄になるよ)

get をつかった使い勝手のいいフレーズである。この場合、go ではないの

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「お稽古」としての英語 岡倉由三郎の発想

「お稽古」としての英語 岡倉由三郎の発想

岡倉由三郎(おかくら・よしさぶろう、1869‐1936)は、日本屈指のバイリンガル・岡倉天心の弟で、昭和初期から長年、ラジオ英語講座の講師をつとめた。日本の英語教育史に有名な人物である。

その岡倉由三郎が1911年に書いた、次のような文章がある。

...

たとえば、長男は中学で 5年間英語を学び、次女は学校で裁縫を 5年間「稽古」したとしよう。

次女は着物が縫えるようになる。羽織袴の仕立て

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”受験英語の神様” 伊藤和夫が残したもの

”受験英語の神様” 伊藤和夫が残したもの

かつて駿台予備校英語科を主導し、「日本的」な<読みの英文法>をつくろうと奮闘して、”受験英語の神様”といわれた伊藤和夫(1927-1997)。

大学院生だったころ、予備校で英語を教えていた私は、伊藤氏の白髪で小柄な姿を講師会議で見たことがある。

予備校やラジオ講座や著書で彼の英語読解法に接した人は、かなりの数にのぼるだろう。

彼が開発した「読みの英文法」とは、どういうものだったか。

晩年の

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「一番になれ」は "If you're not the lead dog, the view never changes."   映画『サブウェイ123』から

「一番になれ」は "If you're not the lead dog, the view never changes."   映画『サブウェイ123』から

『サブウェイ123 The Taking of Pelham 123』(2010年2月)

ニューヨークの魅力的な映像を見たくて借りたのだが、作品もまずまずの出来で、けっこう満足した。

ジョン・トラボルタが圧倒的な存在感で好演している。だが、地下鉄をハイジャックした主犯が叫ぶ正義?の内容がわかりづらく、そのぶん作品に説得力がなくなったのが惜しい。

せっかくだから、使えそうなセリフをいくつか。

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コロンとアポストロフィ アメリカの映画会社も英語を間違える

TIME によると、アメリカ映画のタイトルには、コンマ、コロン、ハイフン、アポストロフィのような小さな記号を忘れたために、よく見るとヘンな意味になっているものがけっこうあるという。

http://entertainment.time.com/2013/05/24/10-movie-titles-with-bad-grammar/?xid=newsletter-weekly

この記事から、ヘンな

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「ローマの休日」のラストシーン

「ローマの休日 Roman Holiday」(1953年)。

いまや古典的名作のひとつ。

ヘップバーンの可愛さと成長のほほえましさはもちろん、24時間の「休日」という限定感、古都ローマの風景、イタリア人の陽気さとアメリカ人のビジネス第一主義、ちょっとしたお色気、哀愁、気の利いたエピソード、そしてわかりやすいストーリー。

セリフがわりと教科書的できちんとしているので、いまも英語の学習に使う人が

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「確信します」は、 "I know."

「確信します」は、 "I know."

2011年、オバマ大統領(当時)がワシントンの日本大使館を訪れ、東北の津波被害を見舞った。そのとき、見舞い帳(condolence book)に彼が書いた文は、次のようだったという。

"Because of the strength and wisdom of its people, we know that Japan will recover, and indeed will emerge

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「ムカつく」 は "I hate it when you say that."    使える一口英語フレーズ集 1

「ムカつく」 は "I hate it when you say that."    使える一口英語フレーズ集 1

英語の一口表現をたくさん覚えると、実際の場面で役立つし、英語の本当の感覚もわかってくる。

日本語からは想像しにくい、英語らしい表現を特集してみる。

出典は、松本道弘『"it"がわかれば英語がわかる』(光文社、2007年)。

...

ついに悟った     I saw the light.

どうってことない     Nothing to it.

そろそろだ     It's about t

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印欧祖語という仮説

印欧祖語という仮説

印欧祖語 Proto- Indo- European という発想は、18世紀に生まれた。

言い出したのは、インド在住のイギリス人、ウィリアム・ジョーンズ(Sir William Jones,1746-1794)。

彼は古代インドの言語・サンスクリットと古代ヨーロッパの言語(ギリシャ語とラテン語)が非常に似ていると指摘した。

これは、これらの言語の祖先が同じだからではないかと発表したのである。

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電池の単一、単二は英語でなんという?

電池の単一、単二は英語でなんという?

ウィスコンシン大学に留学していたとき、シャープペンの芯を買いに行って、店頭でハタと困った。英語でなんと言うのか、知らなかったのだ。

説明したら、店員に ”Ah, lead! ”(発音はレッド)といわれて、意外に簡単な言葉なので驚いた。「鉛(なまり)」といえばよかったのだ。そういえば、あれは鉛だわ。

「鉛」ついでに、

単一、単二、単三、単四…

こうした電池のサイズ。英語でなんていうか?

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「どう思う?」 は  "Tell me what you think."

「どう思う?」 は  "Tell me what you think."

英語で話すとき、「あなたはどう思いますか?」と、サラッと聞きたいことは多い。

ある日本人の有名ジャーナリストが、アメリカ人へのインタビューで、"How do you think? "  と聞いているのをテレビで見たことがある。立派に通じていたが、この言い方はあまり標準的ではないだろう。

"What do you think? " が教科書的だが、これだけではちょっと芸がない感じもする。

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「ご自由にお持ち下さい」は "Free: please take."

「ご自由にお持ち下さい」は "Free: please take."

「ご自由にお持ち下さい」を英語で表現した例。 

ここで大事なのは、"Please" 。これがあるから、「持って行こうかな」という気になる。

日本語でははっきり表面化しない表現が、英語では必要になる例。