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#現代短歌

そこにいないという美しさ

笹原玉子さんの「偶然、この官能的な」という歌集を読んだ。

※この記事で取りあげた短歌はすべて、上記の書籍から引用しています。

柔らかな言葉遣いで、そのうえリズミカルなものが多い。口に出して読むと余韻が残る。短“歌”なのだから、本来はそうあるべきなんだよな、と思いつつ、このリズミカルさは、あまりないかもしれないな、とも思う。

ゆめみどり蝶の古名がひらひらとみどりのゆめかゆめのみ

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私にも永遠解く力を下さい

私にも永遠解く力を下さい

笹井宏之著『えーえんとくちから』の感想。
この記事で取りあげた短歌はすべて、以下の書籍から引用しています。

笹井宏之さんの短歌は呪文めいている。
そのうえ、この言葉でなければならない、という必然性が常につきまとっている感じがする。選ばれた言葉に質量がある、というか。

えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい

「えーえんとくちから」はピントのずれた画像のようにせまり、それが「永遠

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