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ターキッシュ・クラリネットの名手たち

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トルコ式クラリネット:歴史に残る名プレイヤーを紹介します。
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ターキッシュ・クラリネット前史 その1

ターキッシュ・クラリネット前史 その1

トルコ:ターキッシュ・クラリネットの名手(6)
シャリュモー、バセット・ホルン、ターキッシュ・クラリネット

そもそもクラリネットという楽器は、シャリュモーという古楽器を改善する形で、1700年代初頭にドイツ・ニュルンベルクで発明されたと言われている。操作のためのキィも始めは2つだったが、徐々に増やされ、1812年には、どんな調性の曲にも対応できる13キィシステムとなり、その後1800年代前半には

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サフェト・ギュンデゲール

サフェト・ギュンデゲール

トルコ:ターキッシュ・クラリネットの名手(5)
アバンギャルド・ターキッシュ・クラリネットとプログレの邂逅

クラリネット・バイオリン・ウード奏者のサフェト・ギュンデゲールは1922年、マルマラ海に面したトルコ北西部の都市バンドゥルマで生まれた。14歳の頃からバイオリンとクラリネットを学んでいたという。

やがてアンカラの憲兵隊で兵役を務めるが、この時にメフテルの後継である軍楽隊オーケストラ"ミジ

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シュクリュ・トゥナール

シュクリュ・トゥナール

トルコ:ターキッシュ・クラリネットの名手(4)
トルコ全土にターキッシュ・クラリネットの響きを広めたパイオニア

歴史に残るターキッシュ・クラリネット名プレイヤー紹介。第四回目はシュクリュ・トゥナール(Sukru Tunar)。エルキョセ、カンデゥラルらの先達にあたる人物だ。

彼はエーゲ海沿岸のエドレミトで1907年に生まれている。トゥナールの家族には、音楽に関わる者がまったくいなかったらしい。

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セリム・セスレル

セリム・セスレル

トルコ:ターキッシュ・クラリネットの名手(3)
超絶技巧のシーツ・オブ・サウンド

歴史に残るターキッシュ・クラリネット名プレイヤー紹介。第三回目はセリム・セスレル(Selim Sesler)、筆者がこの楽器を知るきっかけとなったミュージシャンであり、テクニカルな面ではおそらく最高峰のレジェンドだ。

"キレミット・バジャラル" アルバム「Keşan'a Giden Yollar」(ケシャンへの道

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ムスタファ・カンドゥラル

ムスタファ・カンドゥラル

トルコ:ターキッシュ・クラリネットの名手(2)
クラリネット・エンターテイナーの巨匠

歴史に残るターキッシュ・クラリネット名プレイヤー紹介。第二回目は、この楽器のエンターテインメントを代表するムスタファ・カンドゥラル(Mustafa Kandirali)だ。

ロマの血をひくムスタファは、1930年イズミットで生まれ、13歳頃には演奏で身を立てるべく、徒歩でイスタンブールに入ったという。10代か

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バルバロス・エルキョセ

バルバロス・エルキョセ

トルコ:ターキッシュ・クラリネットの名手(1)
ジャズ界に与えたターキッシュ・クラリネットの衝撃

歴史に残るターキッシュ・クラリネット名プレイヤー紹介。第一回目は、バルバロス・エルキョセ(Barbaros Erkose)。

バルバロスは、1936年トルコ北西部のブルサで生まれた。ロマの家系である。父はウード奏者として知られ、また作曲家としても名を残した音楽家。また祖父、叔父、兄たちも演奏家であ

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