小久保佳則

日本で数少ないターキッシュ・クラリネット奏者。 通常より音域の低い特殊な金属製トルコ・…

小久保佳則

日本で数少ないターキッシュ・クラリネット奏者。 通常より音域の低い特殊な金属製トルコ・クラリネットを操る。 トルコの伝統曲・民謡を中心に、エジプト音楽、クレズマー、チンドンなど、幅広く活動している。 また即興・音響系のセッションを通じて、この珍しい楽器の可能性を探っている。

最近の記事

ターキッシュ・クラリネット前史 その1

トルコ:ターキッシュ・クラリネットの名手(6) シャリュモー、バセット・ホルン、ターキッシュ・クラリネット そもそもクラリネットという楽器は、シャリュモーという古楽器を改善する形で、1700年代初頭にドイツ・ニュルンベルクで発明されたと言われている。操作のためのキィも始めは2つだったが、徐々に増やされ、1812年には、どんな調性の曲にも対応できる13キィシステムとなり、その後1800年代前半にはシンプル式とも呼ばれるアルバート式がウジェーヌ・アルベールによって生み出された。

    • 居壁太 x 星野工 アイヌの音楽

      「アイヌの叙事詩ユーカラ、その湖には、クジラがいたり、イルカがいたり。カムイの世界をイメージしているんですが、その大自然の偉大さ、ありがたみ、めぐみ。カムイの偉大なる力というものを、この唄で表しています。」 日本北方の先住民族アイヌの星野工、居壁太による、ライブとお話。ライブ後半では、ターキッシュ・クラリネット(小久保佳則)が参加。 居壁太:トンコリ 、ムックリ 星野工:クラップスティック、ムックリ 小久保佳則:ターキッシュ・クラリネット(4 and 5) 00:00

      有料
      200
      • 中東の音楽と日本

        "ウスクダラ" : UskaDara トルコの民謡です。江利チエミが1954年にカバーし、日本語を混じえて歌っていました。 "シャナーズ・ロンガ"  : Sehnaz Longa トルコ古典音楽のひとつですが、2000年ごろ中国の女子十二楽坊により「自由」という曲名でテレビCMでもよく流れていました。 "ヤ・ムスターファ"  : Ya Mustafa 1950年代に流行した中東エジプト系の流行ソング。坂本九が『上を向いて歩こう』の前年、1960年に『悲しき六十才』のタイト

        • サフェト・ギュンデゲール

          トルコ:ターキッシュ・クラリネットの名手(5) アバンギャルド・ターキッシュ・クラリネットとプログレの邂逅 クラリネット・バイオリン・ウード奏者のサフェト・ギュンデゲールは1922年、マルマラ海に面したトルコ北西部の都市バンドゥルマで生まれた。14歳の頃からバイオリンとクラリネットを学んでいたという。 やがてアンカラの憲兵隊で兵役を務めるが、この時にメフテルの後継である軍楽隊オーケストラ"ミジカイ・フユマン"に参加、指揮者であったメフメト・ヴェリ・カニク(Mehmed V

        ターキッシュ・クラリネット前史 その1

        マガジン

        • ターキッシュ・クラリネットの名手たち
          6本

        記事

          シュクリュ・トゥナール

          トルコ:ターキッシュ・クラリネットの名手(4) トルコ全土にターキッシュ・クラリネットの響きを広めたパイオニア 歴史に残るターキッシュ・クラリネット名プレイヤー紹介。第四回目はシュクリュ・トゥナール(Sukru Tunar)。エルキョセ、カンデゥラルらの先達にあたる人物だ。 彼はエーゲ海沿岸のエドレミトで1907年に生まれている。トゥナールの家族には、音楽に関わる者がまったくいなかったらしい。また、このシリーズで取り上げるプレイヤーのうち唯一、ロマの血を引いていない。

          シュクリュ・トゥナール

          セリム・セスレル

          トルコ:ターキッシュ・クラリネットの名手(3) 超絶技巧のシーツ・オブ・サウンド 歴史に残るターキッシュ・クラリネット名プレイヤー紹介。第三回目はセリム・セスレル(Selim Sesler)、筆者がこの楽器を知るきっかけとなったミュージシャンであり、テクニカルな面ではおそらく最高峰のレジェンドだ。 "キレミット・バジャラル" アルバム「Keşan'a Giden Yollar」(ケシャンへの道, 1999年, KALAN) ロマ系住民が多いことで知られるバルカン半島東部

          セリム・セスレル

          ムスタファ・カンドゥラル

          トルコ:ターキッシュ・クラリネットの名手(2) クラリネット・エンターテイナーの巨匠 歴史に残るターキッシュ・クラリネット名プレイヤー紹介。第二回目は、この楽器のエンターテインメントを代表するムスタファ・カンドゥラル(Mustafa Kandirali)だ。 ロマの血をひくムスタファは、1930年イズミットで生まれ、13歳頃には演奏で身を立てるべく、徒歩でイスタンブールに入ったという。10代から20代前半、カジノで歌やダンスの伴奏、冠婚葬祭などのパーティー演奏で生活をささ

          ムスタファ・カンドゥラル

          バルバロス・エルキョセ

          トルコ:ターキッシュ・クラリネットの名手(1) ジャズ界に与えたターキッシュ・クラリネットの衝撃 歴史に残るターキッシュ・クラリネット名プレイヤー紹介。第一回目は、バルバロス・エルキョセ(Barbaros Erkose)。 バルバロスは、1936年トルコ北西部のブルサで生まれた。ロマの家系である。父はウード奏者として知られ、また作曲家としても名を残した音楽家。また祖父、叔父、兄たちも演奏家であり、エルキョセ家は音楽一家であった。 12歳の頃までには学校をやめ演奏活動を開

          バルバロス・エルキョセ

          クラリネットのピッチに関するメモ~修理・調整のために~

          イ) 孔が歌口に近くなるほど音は高くなる。 ロ) 孔が小さいほど音が低くなる。これは孔より先の空気も振動するということ。同時に孔が小さいほど音量が小さくなる。孔が大きいほど音が高くなる。最大の音量を得るには、管の直径と等しい孔。 ハ) 孔の持ち上がり(チムニー:煙突)が高いほど音は低くなる。低いと音は高くなる。 ニ) 蓋の開きを小さくすると音は低くなる。しかし、その影響は低い音の方が大きい。つまりオクターブキーの間隔は広がっていく。逆に一定以上に蓋が離れると音の変化は少

          クラリネットのピッチに関するメモ~修理・調整のために~

          ターキッシュ・クラリネットの各部(改造・修復)

          レ#/ラ#を増設 ロウ接完了。 サイドキーも延長。 ピエゾピックアップ用の土台部品をハンダ付け。 完成。ピエゾピックアップは"PiezoBarrel"。http://www.piezobarrel.com/ レジスターホールの調子が悪いので、切削しパイプを嵌め込み、ろう接。 ろう接後にはみ出したパイプを削って完成 調整中に折れてしまったキーの修復。 きれいに掃除後、真鍮板と針金で仮組み。せっかくなので理想の位置に微調整。 隙間にフラックスを流し、バーナーで過

          ターキッシュ・クラリネットの各部(改造・修復)

          ターキッシュ・クラリネット

          愛用のターキッシュ・クラリネット(G管/メタル/アルバート式改によるベーム式)。 元の持ち主は、ブルガリアの著名なクラリネット奏者・楽器職人のIvan Kolev氏。彼はブルガリア国立ソフィア音楽アカデミーを卒業し、ヴァルナ・フィルハーモニー管弦楽団とソフィア・ウインド・オーケストラの奏者でした。 http://folkmusic123.com/clarinets-1.html 彼のアルバムも入手しました。 『Folkmillenium』by Ivan Kolev

          ターキッシュ・クラリネット