僕が考えるネクストヴィンテージ古着
月日が流れるにつれ、価値のあり方は変わっていくもの。
今ヴィンテージとされる物が経年により益々入手困難になるにつれて、それまで価値がついていなかった物がそのヴィンテージの枠組みに新しい物が加わっていく。
今回は、そのヴィンテージに加わるであろう、ネクストヴィンテージについて。
明確な定義はないのですが、ネクストヴィンテージとは、
現在そこまで価値がついていないが、1980年代以降のそこそこ古い年代物で将来立派なヴィンテージとして扱われるであろう物
を指すと僕は認識しています。
僕は毎日2店舗分の値付けを担当しています。
買い付けも6年間のうち何度も経験していて、なかなかの量の服の仕入れに携わってきました。
希少性が高まっている服であったり、古い物が見つからなくなっている中で、徐々に魅力に気づいてきた服もあります。
個人、また店によって目線や捉え方が異なるので、「それはもう既にヴィンテージでしょ」
と言う意見もあるかと思いますが、、
あくまで僕の視点から、僕の考えるネクストヴィンテージをご紹介します。
① Ralph Lauren (Made in USA)
まずは鉄板なところから。
ラルフと言えば、誰でも知っている名ブランド。
まさにオーセンティックブランドの代表格。
ピンポイントで見るとスノービーチやスターニット、92 93シリーズなどなど、90年代生まれながら立派なヴィンテージとして確立しているアイテムも多い。
それに対して90年代初頭までの生産だったUSA製のアイテムは全体的にクオリティが高く、見つからなくなってきているのに対してまだそこまで価値はつけられておらず、ヴィンテージとしての認知度も高くありません。
現在もリリースされ続けているチノトラウザーズや、ボタンダウンシャツ、ポロシャツなどの定番アイテムも、USA製の物と近年の物を比較するとクオリティの違いは歴然。
USA製の物の作りの良さや当時の雰囲気を感じることができます。(メキシコ製もクオリティ高)
既にUSA製に絞って価値をつけているお店もありますが、現状ではそこまで差別化されていません。
Levi'sデニムと同様、アイテム全般においてMade in USAの付加価値がついてくると思います。
そして、デザイナーのラルフローレン自体がヴィンテージマニアであることが大きい。
ラルフについてはまず間違いないと思って頂いていいと思います。
②L.L.Bean (Made in USA)
もちろん今も古着好きからかなりの人気を誇るブランドですが、まだ売れるアイテムは絞られています。
ハンティングやフィッシング系、セーター、筆記体タグなどは既に突出していますが、シンプルなコットンシャツやパンツ類はあまり評価されていません。
ラルフと同様の理由で、やはり現行とは作りの良さが圧倒的に違います。
同年代のアイテムと比べても断然雰囲気が違う。
また、得意のハンティングやフィッシング等のアウトドア以外にも、まだまだ面白いアイテムが隠れているということ。
特に80〜90年代のL.L.Beanは守備範囲が広く、
「こんなのも作ってるのか!」
と驚くことが多いです。
そして全てしっかりクオリティが高い。
今人気のアイテムは更に値段が上がり、まだ相場の低いUSA製のL.L.Beanも、確実に価値が上がってくると見ています。
③80-90's GAP
ここまでオーセンティックなブランドが続いていますが、GAPもその一つ。
ユニークなデザインの物が多く、素材にもこだわりが見られます。
これらが該当する年代の主なタグですが、総じてクオリティが高く、デザインも素晴らしい。
正直、近年物はデザインの特徴が薄いので、はっきりと違いを感じられると思います。
生産国はバラバラですが、かなりこだわりを持って作られていると感じます。
特にこの年代のニットやシャツはよく見かけることが出来ますが、既に近年物の古着とは物としての完成度が明らかに違うので、じわじわ値段は上がってくるかと思います。
④Robert Stock
聴き慣れない方も多いかもしれません。
これまでオーセンティックなブランドを続けて紹介してきましたが、こちらも新世代のヴィンテージになり得るブランドだと思っています。
"デザイン系" と括られることの多い、まさに今らしい古着ジャンルの1つ。
80年代アメリカで流行ったテイストです。
アーティスティックな柄やデザイン、つるっとした質感など、今の若い世代に人気のあるテイストのアイテムが多いのが特徴。
そのデザイン系の古着の中で、ルックスが際立っているブランドがこちらのROBERT STOCK。
特にシルク素材のアイテムのクオリティが突出しており、質感やパターンが素晴らしい。
かなりセンスの良いデザインの物が多いです。
このタグが目印。
総柄アイテムは要チェックです。
⑤USA製ヘビーネルシャツ
ラストを飾るのは、THE・アメカジアイテムのため、近年トレンドから完全に外れているヘビーネルシャツ。。
実は、60年代までのヘビネルはヴィンテージ界では大人の方から支持が高いんです。
そして、70〜90年代の個体ですら滅多に見つからなくなっています。
それは、農作業時などに使われるワークウェアだったため、ひどく汚れて捨てられることが多いと予想できます。
ワークウェアのため、作りの良さはお墨付き。
ルックスも申し分無し。
それなのに、トレンドから外れているだけで価値が上がっていない。
物の良さは間違いなく、普遍的なアイテムなので、必ず再評価されるはず。
定番であるこの辺りのブランドは注目
僕は必ず将来値段が上がると思っています。
まとめ
基本的にはオーセンティックなブランドの紹介になってしまいました。
他にもJ.CREWやWoolrichも類似ブランドとして次点に追加したいところ。
その他、フランス製ラコステ, セントジェームズ、ミリタリーアイテムなど、ピンポイントで言えばいくらでもありますが、マニアックなところは割愛します。。
改めて、ヴィンテージの枠組みとして、完成度の高さ、希少性は外せないポイント。
ヴィンテージの世界は、1年の間でも在り方や相場が変化していきます。
それは、古くて良い物がどんどん見つからなくなるから。
そうなると、必然的に新しい年代の物を多く目にすることになります。
そこで、今まで普通に見えていた30年前のアイテムでも、「これ作り良いな」「何か違うな」と気づけるんです。
そこで、僕たち古着屋は、ヴィンテージと呼ばれる古くて価値のある物が枯渇していく中で、完成度が高くて面白い新たなネクストヴィンテージに価値を見出し、古着の良さを世に伝えていくのも一つの仕事だったりします。
古着屋に行く際は、良く物を見比べてみると面白いと思います。
では。
Instagramではヴィンテージ古着をメインとしたコーディネートを載せているので、是非チェックしてみてください。
👉🏻 @ykky12
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?