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老境にさしかかり、人生を振り返れば「あさき夢のごとし」。 諸行無常、世間虚仮、天寿是真

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老境にさしかかり、人生を振り返れば「あさき夢のごとし」。 諸行無常、世間虚仮、天寿是真

最近の記事

賽の川原の物語り

これはこの世のことならず 死出の旅路の裾野なる  賽の川原の物語り 聞くにつけても哀れなり ここに哀れを止めしは 娑婆と冥土の境なる 賽の川原で止めたり 一つや二つ三つや四つ 十よりうちのみどり子が 広き川原に集まりて 楓のようなる手をひろげ いさごを寄せては塚とつく 小石を拾い塔と積む 一重積んでは父の為 二重積んでは母の為 三重積んではきょうりの兄弟 わが身のためと回向なし 何れ仲よく遊びしが ……………………………………………………………… 「賽の川原

    • ニューギニアの人食い部族

      81歳になるバイデン アメリカ大統領の発言が話題なっています(2024年4月)。 生まれ故郷のアメリカ・ペンシルベニア州で、戦没者の慰霊碑を訪れた際の発言。 「第2次世界大戦中にニューギニア上空で撃ち落されたおじの遺体は、ついに見つかりませんでした。なぜなら、その地域には人食い部族が多くいたからです」 年齢を考慮して、記憶違いの可能性を指摘するコメントが多い。 ニューギニアといえば、先の大戦で小生の父が出征した戦場です。9割以上の日本兵が戦死したというわれるニューギニア戦

      • 物価と同程度の賃金上昇ではデフレ脱却は難しい

        いまアフリカのスーダンは内戦状態で大変なことになっています。スーダンといえば、1990年代の話ですが、輸入品が値上がりし、それに合わせて他の物価、給与も同じ程度上げたところ、市民の生活は輸入品の値上がり前と変わらなかった、そうです。市民は価格や給与を書き換える手間がかかったぐらいだった。この話は『物価とは何か』(渡辺努、講談社)より引きました。 いま日本では2%の物価上昇、それに見合う給与増を達成することで経済の好循環を生み、デフレ経済から脱却できるとし、国をあげて取り組ん

        • イカの者 vs タコの者

          イカとタコは、見た目はかなり違いますが同じ軟体動物で、足は長くクネクネするところは似ています。 イカとタコ、どっちが上なのかわかりませんが、たこ焼きに使うタコの値段が高騰し、イカに代えたたこ焼き屋さんがいる、と新聞(『読売新聞』2023年12月28日、東京・朝刊)が報じているところをみると、食味ではタコのほうが上なのかもしれない。とはいうものの世間にはイカ好きも多い。 正月の風物詩ともいえる凧揚げ。 江戸時代のむかしは「イカのぼり」「イカ流し」といったそうです イカ流し

        賽の川原の物語り

          ヒトを食らう犬 犬を食らうヒト

          写真家・文筆家・画家として活動している藤原新也さんの写真に人間の死体を食う犬を映した、有名な写真があります。 インド・ガンジス川に葬られた遺体を食う犬を写した写真です。「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」のテキストが添えられています。ショッキングな写真です。 ヒトと犬は、太古のむかしから関係が深い。前史時代には、オオカミを飼いならしていたといいます。愛玩動物であり、番犬、狩猟犬などとして、犬はヒトの傍らに寄り添っていました。 しかし、犬とヒトの関係には別の一面もあります。

          ヒトを食らう犬 犬を食らうヒト

          生涯雇用という幻想

          日本流のやり方では世界についていけない。 生涯雇用という幻想が日本にあります。 一度決めた勤め先に生涯にわたって勤め続けられるのは、公務員とごく一部の企業(大企業が多い)だけです。いま生涯雇用を前提にしている企業も、この先もずっと続くとは限りません。むしろ生涯雇用が企業の競争力を弱め、将来的には消滅してしまう可能性が高い。 生涯雇用制度では初任給が安い。年齢を重ねるとともにベアが行われ、賃金が上昇していく。 ところが、新卒者には優秀な人材が豊富にいますが、安い初任給の

          生涯雇用という幻想

          進化をやり直し、新しい生物が住む地球に

          地球が誕生して46億年、地球に多細胞生物が登場して10億年。以来、地球環境に適応した生物が進化の勝者となり生き残り、ざっと36億年の時を経て、21世紀の現代に続いています。 5億年ほど前からいままでにわかっているだけでも5回、地球上の生物が絶滅の危機に見舞われています。6500万年前の白亜紀に、巨大隕石がメキシコのユカタン半島に激突して、その当時、地球上に君臨していた恐竜が絶滅した話は有名です。このときは生物の7割が絶滅したといいます。それ以前の4回の危機は、巨大噴火や海面

          進化をやり直し、新しい生物が住む地球に

          武士道は狭義には、死の作法

          武士道については、古来よりいろいろな人の著述があります。 有名なのは新渡戸稲造さんの『武士道』です。この著作は英語で書かれただけあって、欧米の人に日本人を紹介することに目的があったようで、武士道というよりは日本人論に近い。しかし名著であるのは間違いありません。 山本常朝さんは『葉隠』を口述し、武士とは「死ぬこととみつけたり」と紹介しています。『葉隠』は難解で、粗雑な頭の小生には完全には理解できません。宮本武蔵さんには『五輪書』があります。剣術の勝負について書いています。剣

          武士道は狭義には、死の作法

          二〇三高地作戦に従軍した祖父

          祖父は、日露戦争 に従軍しました。 祖父に抱かれて撮ったセピア色の写真が残っていますが、祖父の記憶は何一つありません。祖父が従軍した話は、父親や叔父から聞いたものです。 祖父が戦闘に参加したのは、乃木希典 将軍が司令官をつとめた二〇三高地 作戦でした。東京出身の祖父は東京の連隊に所属していましたが、その連隊は全滅です。ところが、祖父は無傷で帰還したのです。 全滅した連隊で、無傷で帰還したのには、もちろん理由があります。 祖父は騎馬兵でした。 ロシア帝国のコサック兵とのと騎

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          農家の長男は召集されなかったが

          平塚の本家のおじさんは、戦争の経験はありません。農家の長男で徴兵されることなく、戦争中も農作業をしていたからです。 15年戦争では多くの若い日本男児が召集され命を落としましたが、食料を生産する農家の長男は召集の対象外だったといいます。 戦地に赴くことはなかったのですが、終戦近くになると、米軍のグラマン戦闘機が農作業をしている農夫に向かって機銃掃射をしたそうで、本家のおじさんは子供だった私にその模様を面白おかしく語ってくれました。 遠くの空から爆音が聞こえ見上げると小さな

          農家の長男は召集されなかったが

          ありがたやアマビエ様

          <余談> 第5波の新型コロナウイルス感染が急速に収束しつつあります。 一時期はどこまで感染者がでるのだろうと心配し、感染しないようにと、これまで以上に気をつけていたのですが、ある日を境にして急速に新規感染者数が減るようになりました。 急激に減少した理由は、ひとつは予防のワクチン接種が進んだことがあるとされていますが、それだけでは急激な減少は説明できないらしい。 もっともらしい説明をする専門家のコメンテーターがいますが、この手合いは信用できない。素直に理由はわかりません、と

          ありがたやアマビエ様

          エロがき

          その町には近くの米軍キャンプから兵隊がやってきました。目的は川沿いにある遊郭です。 遊郭は、小さな町には不似合いな大きな木造二階建でした。この町の遊郭は江戸の昔からあり、その町から遠くに望める霊峰に参拝した男衆が参拝ついでに遊んでいったといいます。芸者が音曲を奏で舞い、夏になると川に小舟を浮かべ、涼みながら酒肴を楽しんだのでしょう。 その遊郭には狭いながら風情のある庭があり、大きな木が何本かありました。 子供心に遊郭で行われていることに興味があって、誰が言い出したのか、悪

          エロがき

          #あちこちのすずさん

          国営放送のNHKは、“戦時中の暮らしのエピソード”を募集しているそうです。 「当時を生きた人たちの”ささやかな日常”を知ることが、戦争を語り継ぐための、新たな糸口になるのではないでしょうか。」というのが趣旨で、「 #あちこちのすずさん」というキャンペーンを実施しています。 戦争も、戦時中の暮らしも、すでに過去のことで、忘れ去られようとしています。 戦争といえば悲惨で残酷、戦時中の暮らしといえば暗く、耐えしのんだイメージで、実際そうだったと思うのですが、そんな中にも楽しや笑

          #あちこちのすずさん

          夏のウナギ

          その町と隣町の間には一級河川が流れていて、子供のころよく魚釣りをしました。 昼間に釣った鮎をウナギをとるための仕掛けに入れて、夕方になると仕掛けを川のよどみに沈め、朝を待ちます。 仕掛けは竹でできた円筒型で、その先に鮎をぶつ切りにして入れます。鮎の匂いに誘われて入ったウナギは、仕掛けの構造上外に逃げることができません。 翌朝、仕掛けを上げると鮎の切り身がそのまま残っていることもありましたが、たいてい細めのウナギが入ってます。さばくのがやっという大きさです。たまに太めのウナ

          夏のウナギ

          シロコロホルモン

          何年か前のB級グランプリというイベントで、その町のシロコロホルモンがグランプリになったそうです。一種のホルモン焼きです。 戦後、その町には米軍の施設はありませんでしたが、近隣の町に米軍施設があって、そこで働いていた人は少なくありませんでした。 もしかしたら、シロコロは米軍と関係があるかもしれません。 ホルモン、つまり、食用肉の腸は、米兵は廃棄していて、その捨てられたホルモンを拾ってきて日本人は食用にしていました。当時は食糧事情がよくありませんでした。ホルモンの語源は「放る

          シロコロホルモン