生涯雇用という幻想

日本流のやり方では世界についていけない。

生涯雇用という幻想が日本にあります。

一度決めた勤め先に生涯にわたって勤め続けられるのは、公務員とごく一部の企業（大企業が多い）だけです。いま生涯雇用を前提にしている企業も、この先もずっと続くとは限りません。むしろ生涯雇用が企業の競争力を弱め、将来的には消滅してしまう可能性が高い。

生涯雇用制度では初任給が安い。年齢を重ねるとともにベアが行われ、賃金が上昇していく。

ところが、新卒者には優秀な人材が豊富にいますが、安い初任給の企業はそれだけでも魅力が半減します。

世界では優秀な人材に高給を払い、事業に貢献してもらう。超がつく優秀な人は破格な対応をしてでも採用します。それが世界の潮流になっています。

仕事の成果に見合った賃金を支払う。そこには厳しい競争があるかもしれませんが、能力、発想力に自信のある人は、チャレンジします。

日本の生涯雇用では、徐々に賃金は上昇しますが、個人の能力がダイナミックに待遇に反映されにくい。

自分の能力にさほど自信のない人には向いている制度といえますが、有能な人やの能力の可能性を信じている人にとっては、魅力がありません。

結果、有能な人材は海外の企業に、のんびりと過ごしたい人は日本の企業に就職することになります。すでにその兆候はあり、有能な若い人は海外での活躍を目ざしています。

また世界の優秀な新卒の人材は、初任給の高い、世界の一流企業に就職し、日本の企業は敬遠されることになります。

生涯雇用、年功序列、ベアの制度は廃止すべきだと思うのです。

もっとも、世界からは遅れをとっても、のんびりと、緩く、気楽に生涯を過ごしたい、という人が多いなら、現状継続もありです。