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物価と同程度の賃金上昇ではデフレ脱却は難しい

いまアフリカのスーダンは内戦状態で大変なことになっています。スーダンといえば、1990年代の話ですが、輸入品が値上がりし、それに合わせて他の物価、給与も同じ程度上げたところ、市民の生活は輸入品の値上がり前と変わらなかった、そうです。市民は価格や給与を書き換える手間がかかったぐらいだった。この話は『物価とは何か』(渡辺努、講談社)より引きました。

いま日本では2%の物価上昇、それに見合う給与増を達成することで経済の好循環を生み、デフレ経済から脱却できるとし、国をあげて取り組んでいます。物価のほうは円安による輸入品の値上がりもあって上昇しています。賃金のほうは、大手企業は期待通りで、中小企業や零細事業、さらには非正規などに波及することが期待されています。とはいうものの残念ながらいまのところ実質賃金はマイナスです。

仮に国の目論見通り物価上昇に見合うだけの賃金上昇が達成できたとしても、先のスーダンの例からすると、何も変わらずじまいで終わってしまうのでは、という予想もありそうです。何しろ30年の長きにわたり、デフレ経済、コスパ第一主義に慣れ親しんだ日本国民です。

物価上昇を大きく上回る賃上げが継続するのなら話は別ですが、物価上昇と同程度の賃金上昇では、コスパ第一主義から脱却は難しい。そう思うのです。
老いぼれの戯言にすぎませんが。

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