賽の川原の物語り
これはこの世のことならず 死出の旅路の裾野なる
賽の川原の物語り 聞くにつけても哀れなり
ここに哀れを止めしは 娑婆と冥土の境なる 賽の川原で止めたり
一つや二つ三つや四つ 十よりうちのみどり子が
広き川原に集まりて 楓のようなる手をひろげ
いさごを寄せては塚とつく 小石を拾い塔と積む
一重積んでは父の為 二重積んでは母の為
三重積んではきょうりの兄弟
わが身のためと回向なし 何れ仲よく遊びしが
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「賽の川原の物語り」は地蔵和讃の一つとされてますが、一種の俗謡です。和讃とは、 仏教歌謡の一種です。地蔵和讃は、江戸時代中期ごろからはやりました。
「賽の川原の物語り」は、ほぼ同様の内容の俗謡が各地に多種多様あるといわれてます。
紹介した一文のあと、地獄の鬼が現れたり、また死んだ幼子が賽の河原で苦渋な日々を送っている様、さらに子を失った親の悲しみなどがつづられています。
幼な子を失った親の悲しみは、古代にも伝わります。死んだ子の手形を粘土に写し、その形見とともに埋葬された縄文人、弥生人の遺骨が残っています。
いつの時代も親は子の死を嘆き悲しむものです。
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