見出し画像

焼き物と「スカーレット」の町へ

前回、信楽高原鉄道衝突事故にまつわる場所や現場を訪ねた記事を投稿したが、これ以外にも列車発車の合間1時間を使って信楽駅近辺を散策した。
滋賀県には約14年間住んでいた僕だが、信楽はおろか、甲賀市内に上陸するのは人生で初めて。当時住んでいた長浜からはかなり距離があったし、親類がいるわけでもない。県内の街ではいろんな意味で一番距離があった。そんな町と信楽高原鉄道の道中を少し紹介しよう。

信楽高原鉄道

京都から電車を乗り継ぎ約1時間弱乗ってたどり着いたのはJR草津線貴生川駅。『ガチャコン』こと近江鉄道も乗り入れる甲賀市最大のジャンクション駅だ。この駅の片隅に信楽高原鉄道(SKR)が発着する。
ちなみにSKRはICOCAなど交通系ICは使えないため、ホーム上のIC専用乗り換え改札にタッチする必要がある。しなかったらいろいろややこしくなるので訪れた際はご注意を。
↓交通系IC乗り換え改札。


↓“焼き物色”でロングシートのSKR400(上)と深緑で転換クロスシートのSKR500(下)

信楽寄りからSKR400とSKR500の2両編成。いずれもSKR最新車両だ。一時期はNHK朝の連続テレビ小説(朝ドラ)「スカーレット」や陶芸家のリサ・ラーソンさんの展覧会のラッピングを各々施していたこともあったが、2021年現在は通常のものとなった。
↓SKR400とSKR500の車内

車内の木目調でフローリングの床は両車共通、照明は緋色の暖かみのあるものが用いられている。

そして、流れてきた自動放送に僕は少し驚いた。JR東日本の普通列車などでお馴染みの三浦七緒子さんが担当されているではないか!
個人的には「貴生川」の発音を地元ネイティブの「き」にアクセントが来るようになってて、これだけでも信楽に来た気になれるし、地元の人もネイティブ発音は安心感があるでしょう。

列車はディーゼルの豪快な音を奏でて発車。貴生川から紫香楽宮跡(しがらきぐうし)の間は川を渡って田園地帯の坂を駆け上がるとすぐ林の中に入って、長くて、グネグネうねったカーブを隣駅までの約14分、40㎞/h前後というゆっくりのんびりしたスピードで走る。

紫香楽宮跡を過ぎると開いた田園地帯となって、線形が良いので60㎞/hまで加速、JRや近鉄、地下鉄より遅めとはいえ、体感は一気に速くなる感覚がある。雲井、勅旨(ちょくし)、玉桂寺前(ぎょくけいじまえ)と細々と止まっていってはものの数秒で発車する。
そして、貴生川から約24分で終点信楽に到着。ホームでは信楽焼のたぬきたちと滋賀が誇る銘柄茶「朝宮茶」の名が書かれた巨大な茶飲みと茶せんがお出迎えしていた。

そして駅前に出ると

名物の特大のたぬきが熱烈なお出迎えをしてくれる。コロナ禍の今は感染予防啓発のため巨大なマスクを着用している。
写真の中央にあるこの小さなクルマは、トヨタ車体の「コムス」という1人乗りの電気自動車。運転免許を持ってる人ならほぼ誰でも2000円でレンタルできる。

「焼き物の町」をぶ〜らぶら

「セーフティーしがらき」に立ち寄った後、約1時間ぐらい信楽駅周辺を散策。
沿道には、至るところにたぬきや陶器が置かれていて、中には七福神の信楽焼を見かけたり、釉薬や粘土、塗料など陶器の原料を専門に取り扱う店なんてのもあった。この町がいかに焼き物、陶芸が根付いているのがよくわかる光景だ。

まず訪れたのは「“旧”信楽伝統工芸会館」。ここでは、朝ドラ「スカーレット」で実際に使用された窯や工房、カフェのセット、その他主人公などが劇中で使用した小道具が展示されている。そして、流れていたBGMもSuperflyの「フレア」がリピートされていた。
展示されていた中で、特に窯や木材の香りが暖かみがある香りがフワッと漂っていて、一瞬マスク外してこのいい香りを存分に嗅いだ。個人的に思ったことなのだが、人によってはこれに安らぐかもしれない。
「スカーレット」はほぼ見てなかったし、ストーリーもほぼ知らないけれど、窯が本格的で火の入れ具合をテストしているデータもあるほど。全然手を抜いていないのが分かる劇中アイテムのこだわりが光っているように見えた。

次に訪れたのは「“新”信楽伝統産業会館」。先ほど訪れた旧館の老朽化に伴って建て替えられたというものだが、新旧両方がそのまま残っているのは非常に珍しい。

メインの「信楽焼ミュージアム」には信楽が発展した歴史や製法、千利休をはじめとする信楽焼をこよなく愛した偉人まで様々展示されている。また、ダイハツの三輪軽トラック「ミゼット」も信楽の焼き物産業を支えた一翼として展示されている。

隣には企画展示室があって、期間限定で代わり代わりで展示が行われている。このときは「土喜友の会」という陶芸の同好会の団体が主催した展示会が開催されていて、会員の方々が制作した作品が一堂に会していた。

いいね!初めての街

元々、県民でありながら初めて訪れた甲賀市、そして信楽。こうやって初めての場所を訪れると今までのイメージがガラッと変わって、良さが増した感覚になりますね。滋賀県内では豊郷町、甲良(こうら)町、愛荘町、湖南市、栗東市など僕がまだまだ上陸したことない場所が沢山あります。降りたことない駅もまだまだあるから、随次街ブラしまくっていきたいなぁとか思っています。特に近江鉄道沿線は知らないとこだらけなんでね。

旅の道中で「ウォークマン」を電車の補助イスに置き忘れるという悲劇(それっぽいのが見つかった模様で確認に行く予定)に見舞われたものの、初めての町に行けただけは良い収穫と言えそうですし、駅員のバイト先で僕を良くしてくれた社員さんを見かけたのもちょっとラッキーでした。(仕事中と発車間際で喋れんかったけどね。)

この記事が参加している募集

#一度は行きたいあの場所

51,365件

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。