胸郭出口症候群　疫学・リスク・原因

こんな症状はありませんか？

「洗濯物を高いところに干すと手が痛い、重たい」
「つり革を握れない」
「高いところに手を伸ばせない」
「手を挙げていると手がだんだん冷たくなる」

これは胸郭出口症候群の症状かもしれません！

胸郭出口症候群は女性でなで肩の方やオーバーヘッドスポーツ（野球・バレー等）を行っている方に多く発症します。

今回はこの胸郭出口症候群について私なりにまとめさせて頂きます。

1.胸郭出口症候群（以下：TOS）とは

簡単に言うと

「肩～前腕の運動や感覚に関わる神経や動静脈が何らかの原因で障害されて、しびれや痛み、手が動かしにくいなどの症状が出現」する病態です。肩こりとして自覚されることもあります。

TOSは血管性と神経性に分類することが出来ます。混合型も存在しています。TOSのほとんどが神経性であり、血管性（静脈性や動脈性）のTOSの数はかなり少ないと言われています。

TOSの分類
①動脈性の胸郭出口症候群
②静脈性の胸郭出口症候群
③外傷性の胸郭出口症候群
④神経性の胸郭出口症候群
⑤議論となっている胸郭出口症候群

Ferrante MA, Ferrante ND: The thoracic outlet syndromes: Part 2. The arterial, venous, neurovascular, and disputed thoracic outlet syndromes. Muscle Nerve. 2017 Oct;56(4):663-673.

2.TOSの疫学

TOSは人口の約8％に発症し、20～50歳までの女性に多く、男性の3-4倍の頻度で発症します。

女性にTOSが多いことがわかりましたが、なぜ女性に多いのでしょうか？

理由として

Laulan J, Fouquet B, Rodaix C et al: Thoracic Outlet Syndrome: Definition, Aetiological Factors, Diagnosis, Management and Occupational Impact. Journal Of Occupational Rehabilitation [serial online]. September 2011;21(3):366-373. 

これらの要因により斜角筋間の角度が変化し、女性の方が多く発症すると考えられています。

3.TOSのリスク

TOSのリスクには先天的なものと、後天的なものがあります。