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足関節背屈制限 前方組織に着目して

2020.6.9 スライド・動画・画像 大量追加!

足関節の背屈制限は前方組織と後方組織の両方から影響を受けます。
足関節後方組織が硬いと足関節背屈時に距骨が後方に動かず(滑り・転がり)、足関節背屈可動域制限が生じます。

例として
①腓腹筋やヒラメ筋の伸張性が低下している
②Kager's fat padの動きが制限されている
③長母趾屈筋の移動量が制限されている

後方組織の硬さは足関節背屈制限に関与します。

図1

これは皆さん簡単に想像がつくと思います。


なので、今回はあまり着目されない前方組織に焦点をあてて、足関節背屈可動域制限を考えてみたいと思います!


足関節前方には多くの組織が存在しています。

図2

今回はこれらの組織と足関節関節可動域制限を考えていきたいと思います。


記事の内容
・足関節前方の解剖学がわかる
・足関節背屈時の組織動態がわかる


それでは行ってみましょう!


1.足関節前方の解剖学

足関節の前方には3つの筋肉(前脛骨筋・長母趾伸筋・長趾伸筋)の腱が存在し、足背動脈と深腓骨神経が共に走行します。そして、3つの腱を固定するように上から伸筋支帯が覆いかぶさり、その伸筋支帯の表層を浅腓骨神経が走行している。

図1


距骨前方は筋付着部が無いため、脂肪体が空間を埋めています。この脂肪体は「pretalur fat pad」と呼ばれ、足関節の運動に関与する重要な組織と考えられます。

図3


この脂肪は内臓脂肪と異なり、必要な脂肪で血管や神経を保護する作用や足関節に生じる衝撃を吸収する作用があると考えられています。


2.足関節前方の筋肉の解剖

前脛骨筋
起始:脛骨の外側上部2/3
停止:内側楔状骨の内側面、 第1中足骨底
作用:足関節背屈、内反
神経支配:深腓骨神経

3つの筋の中で一番筋腹が大きいです。前脛骨筋は線維長が長く並行筋であるため、足関節背屈-底屈時に筋線維の近位-遠位間(滑走距離)の動きは大きいと考えられます。

Ran S Sopher, Andrew A Amis, D Ceri Davies et al: The influence of muscle pennation angle and cross-sectional area on contact forces in the ankle joint. J Strain Anal Eng Des. 2017 Jan; 52(1): 12–23.


イメージとしてはこんな感じです!平行筋の方がよく滑走しそうですよね?つまり、平行筋の滑走が障害されると、関節可動域が顕著になりそう!

図4

斉藤 昭彦:骨格筋の構造.理学療法科学,18(1);49-53,2003


長母趾伸筋
起始:腓骨前面の内側中部
停止:母趾の末節骨底
作用:足関節背屈、母趾の伸展
神経支配:深腓骨神経

長母趾伸筋は前脛骨筋と長趾伸筋に挟まれるように位置しています。長母趾伸筋の停止腱の裏には足関節を越えて、下伸筋支帯の深層まで筋腹が存在しています。

図1


拡大すると前脛骨筋と長趾伸筋の間に長母趾伸筋があることがわかります!

図2


長母趾伸筋のすぐ隣には足背動脈が存在しているので、触診のランドマークになります。

無題


長趾伸筋
起始:脛骨の外側顆、腓骨頭、腓骨の前面上部2/3
停止:第2〜5趾の中節骨・末節骨の背側面
作用:2~5趾の伸展、足関節背屈
神経支配:深腓骨神経

長趾屈筋は羽状筋であり、筋腹は遠位まで存在しています。

図5

T. Fukunaga R. R. Roy F. G. Shellock et al: Physiological cross‐sectional area of human leg muscles based on magnetic resonance imaging.


2.伸筋支帯の解剖

足部前面には上下の2つ伸筋支帯が存在しています。

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