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肘MCL損傷後のエコー評価 臨床にどう生かす?

エコーを用いることで、組織の状態(炎症・腫脹)を確認でき、それ以外にも、血流量や組織の硬さを定量的に評価することができます。そして、一番のメリットはリアルタイムで動的な評価ができることです。


今回はエコーのメリットを最大限に生かし、肘内側側副靭帯損傷を受傷した患者の動的評価とエラストグラフィーを用いて、組織の硬さを評価した私の実践例を紹介したいと思います。


本題に移る前にエラストグラフィの説明をしますね!


1.超音波エラストグラフィの種類

私が主に臨床で用いているのは

・ Strain elastography 
・ Shear wave elastography 

それぞれについて、説明します。


1-1.Strain elastography 

生体組織に対して応力を加えると生体内の組織が移動します。この移動した組織の変位(ひずみ)を超音波にて計測する方法です。

図2

難しく書きましたが、「組織を押してどれだけ潰れたのか?」を評価していると考えて下さい!

Strain elastographyの注意点
骨のすぐ近く、硬い組織が周囲にある場合、柔らかい組織に応力が集中し、組織のひずみの値が変化することがあるので注意が必要です。


1-2.Shear wave elastography 

超音波の照射することで、せん断波 (Shear wave) を発生させます。せん断波の伝播速度は組織の硬さによって異なります。その速度を超音波装置で計測することにより、組織の硬さの評価しています。 

図4

青い丸が硬い組織と考えると、剪断波は組織が硬い部分は速く波が進みます。逆に柔らかい組織は波が進むスピードが遅くなります。


Shear wave elastographyの注意点 
計測可能な部位が制限される点や周囲組織の影響により剪断波の反射や屈折が生じることがあります。また、液体中は剪断波が伝わらないため、剪断波の経路に液体が存在すると、正しく計測できません。 

図1

エラストグラフィの説明はこれで終わりになります。


続いては、内側側副靭帯(以下:MCL)のエコー画像について説明していきます!


2.MCLの正常と異常のエコー画像

まずはMCLの正常エコー画像と損傷画像を見てみましょう!

図4

線維走行が綺麗で、低エコー像や炎症所見も認められません。


しかし、MCL損傷があると炎症所見や線維走行の消失、低エコー像が認められます。また、周辺組織の腫脹も認められる事が多いです。

図1

エコーがあれば臨床でMCL損傷を客観的に判断することが出来ます。


3.肘関節MCL損傷後の経過は?

肘関節MCL損傷後にどのような経過をたどるのか気になりますよね?

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