誰もが皆潤う為に~香港政府の努力~
去年2020年は閏年(うるうどし)でした。
香港は、たくさんの年行事は旧暦に従って行われるものが多く、お正月は旧正月の方がメインです。
月の動きをメインとする旧暦では、通常の旧正月は2月上旬~中旬なのが、閏年の旧正月だけは、一月の中で正月も旧正月も迎える事になるのです。
去年ちょうど私達が旧正月明けのライブを終えた1月末、それを最後に567があちこちで猛威をふるい始めてライブが出来なくなってしまったから、567が起こって何もかもを変えてしまったのが閏年だったという事実が、私の記憶に強烈なインパクトとなって刻まれたのでした。
2003年のSARSのトラウマを抱えた香港の人たちは、政府に言われるまでもなく早々と自らマスクを着用し始めた事で、あれよあれよという間に街からマスクが消え、水や米が消え、武漢から鉄道で香港に戻って来た人たちから感染が増え始めて2月の第一波、3月の第二波が起こり、たくさんの事が不明のまま私達の生活が突然パニックに陥った時も、香港政府はいち早く手を打ち、18歳以上の永久市民、一人につき1万ドル(約14万円)を支給するという措置をあっという間に実施してくれたのでした。
とは言え、こんな先の見えない状況で、仕事もままならなくなってしまった市民たちの財布の紐は当然キュ~っときつく締められて、政府がくれた1万ドルは、誰もが無駄遣いしてなるものか、と節約節約の空気の中で、食材や日常必需品など、どうしても生活の上で必要なものに可能な限り細々と費やされたと思います。
つまり市民に消費を促そうとお金を配ったものの、ちょうど皆の意識が高まり外出控えが続く時期でもあってので、消費は促されなかったのです。
すっかり経済が停滞してしまった今、香港政府が取ったのは、市民にお金を配って、そのお金を消費することで経済を刺激しようと言う対策。
今回は社会を回す為に市民たちには貯め込まずにお金を使って欲しいという意図があっての補助金です。
そこで、配られたのは期限付きの電子マネー。
今年のこのお金を配る措置は、18歳以上の永久市民、一人当たり5000香港ドル(約7万円)。それを2000,2000,1000香港ドルと三回に分けて配布。
それが決まった時、その不慣れな形態に大反発の声。
「スマホやPCが扱えない高齢者の事を考慮していない」
「期限付きのお金なんて、預金しておきたい経済的に困窮している市民の気持ちを無視している」「オクトパスはそんな高額の入金はできない」等々
色々な反対意見が挙がりました。
しかし香港政府は、掲げた政策をただ実施に向けて、ほぼ全香港市民が使っているであろう八達通
(オクトパス←日本で言うスイカ的なヤツ。興味のある方はリンク貼っておきますのでご確認ください)で、普通にリチャージするだけで入金額が電子マネーが受けられる額まで拡大されるように調整。
もちろん、八達通だけでなく、WE CHAT、AIR PAY、など複数の電子マネーアプリでも受けられるよう幅を広げました。
そして、ネット上に申請窓口を作り市民に手続きを促しました。
そのネット手続きも、機械操作のわからない高齢者の親を持つ中高齢者層の子供達がスマホから代行申請をした市民が圧倒的だとは思いますが、身寄りのない高齢者たちが困る事のないように、銀行や郵便局に行けば懇切丁寧に職員が申請手続きをやってくれる、足さえ運べば、ほぼ自動で申請される体制を作り上げました。
とにかく、ネット上の申請もわかりにくく煩雑な手続きは抜きで、IDカードと電話番号さえあれば簡単に申請手続きができるように調整されておりました。
ところが申請開始初期は、開始3時間で20万人越えの人が一斉に申請をした為、混線状態に陥り、また文句の声が上がりました。
が、当日の内に香港の財政長官の会見が行われ、翌日には混線状態が解決され、それ以降はとてもスムーズに申請できたのでした。
その申請後、一回目の2000$配布が8月1日だったのです。
ホントは8月1日に、この記事をあげたかったのですが、新しい携帯電話の仕様が今までと余りにも違って、スクショのやり方がわからないまま時間が過ぎてしまいました(;^_^A
何せ昨日の段階で無事2000香港ドルが配布。
私はAIR PAYというクレカと連携するのではなくて、自分でチャージするタイプのアプリで受け取りました。
すると、自分の元々の残高が13.7HKD(もう残高ゼロに近い)のまま、別枠で政府の2000HKDが入金されています。
詳細確認を見ると2021/12/31までに消費してくださいと書いてありました。
そして、入金と同時に自動で消費券消費という設定になっていて、何か買い物をする度に、自分の元々の残高よりも優先的にこの2000$から消費されていくというシステム。
使う事を義務付けられているお金。でも元々は自分の財布に無かったお金です。きっとそれまで文句を言ってた人たちも、何に使おうか夢が広がっている事でしょう。
市民にこうしてお金を配る事で、何とか社会全体の経済を刺激しようと知恵を絞り、こんなに簡単な申請手続きシステムを調整することで、取り残される人がいないように工夫した香港政府は本当にすごいと思いました。
それを受けて、日常的な消費であっという間に消費してしまうだろうと思いつつ、我が家で夫婦会議を開催。この1万香港ドルで何を買うかを相談。
っていうか、この1万ドル支給直前に、既に私の携帯電話と新しいHDDを差し引くと、既に残高6700香港ドル。
検討の結果、購入して20年以上の、火打石部分がもう擦り減りすぎて、なかなか着火しないガスコンロ。ガスのメーター検針に来るたび、ガス会社の人に「もうこのガスコンロは買い替えた方がいいですよ」と言われながら、もう何年も粘って騙し騙し使い続けていましたが、真ん中の発熱石がもう劣化してボロボロなのを、とうとう買い替える事になりました。(コレは当然や(-_-メ)何年も前から着火しないと言い続けて、この度ようやく・・・!)
その他にも、もうほとんどの家電が10年以上経っていますから、こないだ何故か延々と8時間も回り続けた洗濯機や、旧型で見た目よりずっと容量が小さい冷蔵庫もこの際・・・と夢が膨らむ私にKが一言。
「カーテンとカーテンレールを一新する」と。
・・・え?
わざわざ壊れ具合から優先順位をつけて議題にあげているのに、アンタはまたそんなどうでもいいものを・・・。
や、確かにカーテンレールなんて、それこそ40年近く経ってるから、動かす度にレール移動させるのに内蔵されたちっちゃい鉛玉がピンピン飛んで、どっかに行って、動かないレールだけが増えていく状態ではありますが・・・。
せっかくお金が入って来るこの時期に、私(167cm)より背の高い冷蔵庫・・・欲しかったな~。
って言うか、こういう機会に改めて購入の必要性を感じているものを考えてみると、お金があってもなくても、買い替えが必要なものは、遅かれ早かれの問題で買い替えなくてはいけないのです。(←いや、私はわかっているんだけれども!・・・)
こうして私と同じように、普段の食材や日常必需品以外の購入を考える人が多くいたら、この期限付き電子マネーという経済刺激政策は本当に大成功だと思います。でも、何に使うとしても、間違いなくターゲット期間内にそれだけの消費が見込めるわけですから、誰もがWINWINな経済政策だと思います。
とにかく、こうした市民が本当に必要とする政策を次々と講じる香港政府に感謝です。
サポートしていただけるとありがたいです。