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素麺味のラーメン?

日本製 蟹王麺
黄色、赤、エメラルドグリーンという目立つパッケージに、ホントに日本製?!と疑いたくなる「蟹王麺」のネーミング。

元より、ターゲットは日本人じゃないんだろうなという感じ。

このインスタントラーメンが、この数年よく目につくなとは思っていました。香港には外国製品をメインに安売りしてくれるチェーン店が、至る所に乱立しています。

その数種類のチェーン店がともに扱うこの「蟹王麺」。このネーミング、この時代感を感じるパッケージ・・・。蟹王よりラ王の方がいいわ、と正直いつも素通りしておりました(かと言ってラ王はお高いので買わない!)

そして私が香港で買う定番インスタントラーメンと言えば、出前一丁。
これは旦那Kが好きなので仕方ない。香港人の中に深く入り込み過ぎてる出前一丁。もはや日本どのラーメンも全く追随を許してもらえない神の域にいっちゃってます。

そして辛ラーメン。これは私が好きで。Kは辛い物苦手なので滅多に食べません。ほらここに辛ラーメンばっかり食べている証拠が↓↓

でも、その日は何故か、この蟹王麺にしか目が行かなかったのです。
何故かはわかりません。
香港人の友達が美味しいと言っていたし?他のインスタントラーメンと比べると、ちょっと小振りな感じだし?

そして、何と言っても、よく考えたらあの、チャンポンめんのイトメンさんだしね!!

と急に思い出したわけです。

 私の家で母が作ってくれるインスタントラーメンは二種類ありました。

「サッポロ一番の味噌ラーメン」
「イトメンのチャンポンめん」

むっかしからこの二択でした。

時代の流れと共に、中華三昧が本格的だとか、正麺が美味いとか(時代一気にぶっ飛んだ?)その度に試してはみるものの、母はこのイトメンのチャンポンめんをこよなく愛して一途に食べ続けておりました。

この世にインスタントラーメンは、これしかないかのように、私が物心ついた時から母の晩年まで、このチャンポンめんストックは家の貯蔵庫に在り続けておりました。

イトメンの大きな特徴は、この無塩製麺!!イトメンのチャンポンめんを一度食べれば、他のインスタントラーメンの麺に、どんだけ色んな味が練り込んであるか歴然とわかります!

ところが、富山の地元では「イトメンのチャンポンめんやよね~」と盛り上がるのですが、この絶大人気はどうやら北陸一帯だけのようなのです。

イトメンのチャンポンめんには、他のインスタントラーメンと完全に異なる大きな特徴があります。

それは無塩製麺

パッケージの左下にも記載されています。
「食塩を使用せずに製麺しました。」と。

これが、何を意味するか!それは、食べた者にしかわからないのです。
麺がしょもない。

しょもない。
ちゃんと発音すれば、しょもな~い

これは方言でしょうか?標準語でしょうか?わかりませんが、
恐らく「塩もない」が訛ったものかと思われます。

薄味の、いえ、正直に言えば「味気ないもの、味付け忘れた?」的なものに対して使います。

イトメンのチャンポンめんは、あっさり塩味のスープに干しエビと干しシイタケの別袋が付いています。
それが何とも言えず、優しい味でホントに美味しいのです。そしてその中に浮かぶ麺は、ホントにしょもな~いのです。麺に味がついていない。

や、厳密に言えば、粉の味しかしないのです。

これが、富山県民の、北陸の人たちの心をわしづかみにしてきたチャンポンめんなのです。

私も、このしょもな~い麺が、たまらなく好きです。時々無性に食べたくなります。

最近、薄味を心がけ始めたせいか、辛ラーメンに手が伸びなくなってきました。辛いだけじゃなくしょっぱ過ぎる気がしてきたのです。

人は それを 老化 と呼ぶ。・・・多分。

そしてこの日、私はかたくなにスルーし続けた蟹王麺を終に手にしました。

買って帰って来た蟹王麺💗

SINCE1968年と書いてあります。イトメンは1968年創業なのか~

と思ったら、そうじゃなかったのです!

な、なによ、麺にも塩使われているじゃん・・・。

パッケージをよくよく見てみると、この蟹王麺、何と1968年に香港でこの蟹王麺を発売開始したと書いてあります。

え、私の中ではここ数年の認知度しかないけど、香港在住20年の私が、この香港の大地を踏んだその瞬間にも、や、それどころか、私がこの世におぎゃあと産声を上げる前から、この蟹王麺はここ、香港でいち早く売られていたと?!

このパッケージにある「衛生的な最新のオートメーション設備によって製造」って何なんだよ・・・と思ったら、ノー友(noteの友達、略してノー友)で絵描きのせきぞう、さんがこんなシュールな動画を見つけて送ってくれました。

何~イトメン、この動画をウケ狙いで作成したんなら、そのセンス・・かなり好き。

しかも、よく見たら播州って、素麺の産地ですっごい有名なところじゃない?

あ、だからこそ、こだわりの無塩製麺?!
イトメンの拉麺は素麺から発想を得ているのかしら。
でも、素麺の中にはしょっぱいのもあるけど。播州素麺はしょっぱくない素麺だったかな~?

チャンポンめんは少し白濁みたいなスープですが、蟹王麺のスープは透き通った薄い褐色。やっぱり塩味ベースかな~??という感じ。

パッケージ情報によると、蟹王麺の麺はどうやら無塩製麵ではないらしいのですが、食べてみると安定の「しょもな~い味」の麺

あ~、あっさり美味しい💗

これで麺にも塩使ってますと言うなら、他の拉麺、どんだけ大量の塩使ってるんだろう・・・・((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

美味しい!
食べたらわかる。この麺のしょもなさが癖になるんです。

(でも、この蟹王麺、どこらへんが蟹なのかは謎🤣)

他の拉麺が、製麺にどんだけ食塩を使っているかは知りませんが、イトメンの麺の大きな特徴もう一つ。

スープとあまり絡まない。

他社が麺がスープに絡み易くする事に命を懸けている中、イトメン・・・
勇気あるなあ、もう!

ホントに素麺と麺つゆをイメージしてもらったらわかると思いますが、素麺は味気なく、濃い麺つゆに浸すことで中和します。それと同じような感覚がイトメンのインスタントラーメンでも起こります。

イトメンのラーメンはソーメン製法?

ああ~、どうして今まで手に取って来なかったのかな~とプチ後悔。

蟹王麺、今後の私のホームランチの定番の座に君臨する事決定。

長い事王座をK勢に取られていた、私のホームランチインスタントラーメンの王座に、数十年ぶりで日本勢が返り咲いたああ~っ、これは意義深き王座奪還。

イトメン!ちゃちゃちゃ!イトメン!ちゃちゃちゃ!

冬のオリンピックを見ながら、私の頭の中にはイトメンコールが響き渡っておりました。

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