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死んでから始まる物語。◀オリジナル小説 エピソード1▶

私には、妹がいる。

頭も良く、運動も得意でクラスでも人気者で生徒会にも所属していて…。

それに比べ姉である私は、なんの取り柄があるのだと言うのだろう。

小・中学校の頃は虐められ勉強もできない、運動神経もとびきりいい訳でもない。

いつも褒められるのは、妹の深唯奈。

名前まで可愛い。

私の名前は弥与唯。

三月生まれで弥与唯。

安直な考え。

いつも比べられていた。

近所の人にも同級生にも学校の先生にも。

「妹さん偉いわね」って。

その言葉が私の全てを否定しているように感じた。

毎日毎日、人の顔色を伺いながら作り笑いを浮かべてご機嫌取り。

大丈夫だよ、傷ついてないよって気を使って。

そして一人、プレッシャーとストレスに押し潰されて…。

とっくに限界はきていた。

悲しくもないのに涙が溢れて止まらなかったり、死にすら興味を感じていた。

いつ死ねるんだろうと…。

もういい。

もう嫌だ。

疲れたんだよ…。

「ごめんなさい、弱くて。さよならっ…_」

この日、私は自ら死を望んだ。

未練なんて何一つとしてなかった。

ここにいるより、この世にいるより死んで地獄にでも落ちた方が楽だと思ったから。

何もかも消してくれると思っていた。

消えて欲しいと願っていた。

「そんな時、みんなに出会った。死んでからできた友達と。」

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