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解の吟味|手応えのなさにサヨナラ(高校物理・大学受験)

■ この記事を読んでほしい人

【物理を学習している人】
①問題を解いて答えが出たらすぐに解答を見る
②求めた答えが正しそうなのか判断できるようになりたい
③問題を解いて「わかった」感がほしい人 
【物理を教えている人】
こちらが間違いを指摘する前に、生徒自ら間違いに気づけるようになってほしいという人

■ 併せて読んでほしい記事

ミスを分析する|勉強は自分を知ること(高校物理・大学受験)

ミスや間違いとの向き合い方について書いています。

■ 計算したけど手応えが全くない…

物理を学習しているときに、なんとか立てた式を計算して答えを出したはいいものの……

「合ってるのかどうか自信がない……」

「こんなゴチャゴチャした式でいいのかな……」

「とりあえず答え見てみるか……」

と、手応えのなさから焦って問題集巻末の答えのページをめくる……
その前に、少しだけ時間を使って、「求めた解を吟味」してみましょう。

■ 解の吟味で得られること

解を吟味する癖をつけることで次のようなことが期待できます。

・求めた解の妥当性がチェックできる
・「わかった感」が得られる
・初見の問題でも見通しを持ちやすくなる

■ 解を吟味する3つの方法

計算をして得られた解を吟味する方法として、次の3つを紹介します。

【方法1】単位を計算する(次元の確認)
【方法2】ある文字の大きさを変えてみる(変化の方向性)
【方法3】ある文字の値を極端な値にしてみる(問題の単純化)

■ 例題:定滑車についての問いと答え

【状況】質量m, Mの物体をそれぞれ軽い糸に取りつけ定滑車にかける。床からの高さがhの位置で物体を静かにはなすと、質量mの物体は上昇し始め、質量Mの物体は落下を始めた。

【問】落下中の物体の加速度の大きさa、床に達する直前の速さV、静かにはなしてから床に達するまでの時間Tを求めよ。重力加速度の大きさをgとする。

今回の記事では「どのようにして求めるか」は本題ではありませんので省略し、結果を載せておきます。

求めた解が正しいのか、正しくないのか。その妥当性を吟味してみましょう。

■ 加速度aの式を吟味

上で紹介した3つの方法で、加速度aの式を吟味してみます。

どうでしょうか? 

【方法1】単位を計算することで「確かに加速度になってる」と確信
【方法2】質量mを変化させたときのaの変化に納得がいく
【方法3】質量mを0にしたときの結果が自由落下と一致する

3つの方法で加速度aの式を吟味してみたことで

 「求めた加速度aの式、良さげだなあ」

と手応えがつかめてきませんか?

方法2・方法3についてはまだまだ考えられる余地が残されています。
 「質量Mを大きくすると加速度aがどうなるか」
 「重力加速度gを大きくすると加速度aがどうなるか」
 「M→0としたら加速度aがどうなるか」
 「m=Mとしたら加速度aがどうなるか」
などなど……ぜひ考えてみてください。

■ 速さVの式を吟味

加速度aのときと同じように3つの方法で速さVの式を吟味してみます。

3つの方法で吟味してみることで

 「Vの式、良さげだなあ」

と手応えがつかめてきましたね。加速度aのときと同じように、まだまだ吟味する余地は残されていますのでぜひ試してみてください。

■ まとめ

求めた解を吟味する3つの方法を紹介しました。

【方法1】単位を計算する
【方法2】ある文字の大きさを変えてみる
【方法3】ある文字の値を極端な値にしてみる

答えを見る前に、求めた解を3つの方法で吟味してみてください。3つの方法を試してみて納得のいく結果が出れば、その解は正しそうだといえます。

逆に3つの方法のどれかで納得のいかない結果が出たのであれば、その解が間違っていたことに気づくことができます。

■ 物理が目指しているもの

解を吟味する癖をつけてほしいのは、単なる答え合わせや受験テクニックではなく「物理がわかった!」という感覚を少しでも味わってほしいからです。

「覚えた式に値や文字を代入して式変形して答えを出す」のは物理ではない。少なくとも私が学んだ「物理ってこういうもの」とは異なります。

「この世界が従っている仕組みを理解する」

これが物理学が目指しているものです。

だから大学入試の問題でも、たとえ問題集の基本問題だとしても、目指しているのは「現象の理解」なのです。

なので問題を解いた後に

「なるほど、そういうことか」

と「わかった感」を少しでもつかんでほしいと私は思っています。

アレコレと解を吟味することで
「確かにそうだ」「ああこんなことも言えるな」「なるほどなるほど」
と納得してほしいのです。

その「わかった感」を大事にすることが「物理らしい」勉強のしかただと思うのです。

そして1つ1つのの問題で「わかった感」を大事にしていくことで、初めて見る問題にも対応しやすくなります。現象を理解しやすくなるのはもちろん、解の形もある程度予想がつくようになります。

■ 続く

今回は滑車の例題について加速度aと速さVの吟味についてかいつまんで解説しました。この滑車の例題だけでもまだまだ考えられることはたくさんあります。

後ほど解説の続きを有料エリアに掲載する予定です。内容は次のようなものを考えています。

・例題の解答解説(市販の問題集よりも詳しく解説)
・無料エリアには掲載していない時間Tの式の吟味
・解を吟味する3つの方法でここまでわかる!答えの予想

(終わり)

これ以降に文章はありません。「もっと詳しい解説を書いてほしい」「もっと色んな解説を書いてほしい」と思ったら、スキや投げ銭での応援をよろしくお願いします。

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