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初めてバーで飲んだカクテルは、体にも心にも優しい味

#いい時間とお酒

お酒には強くないが、お酒が好きだ。
飲み会に行くと2杯が限界で、すぐに手で蓋をしてギブアップしてしまう。
酔いつぶれたいとは思わないし、「飲んでいて楽しい」と思える量を体が勝手にコントロールしている。それでも、お酒の味が好きで、人と深い話をすることも好きなので、誘われたら極力は飲みに行くようにしている。

ワイワイと飲むお酒の席も悪くないけれど、最近とても気に入っているのは「バー飲み」である。暗い場所や隅っこが好きな性格もあり、薄暗くておしゃれな「バー」という場所に憧れがあった。バーで飲む1杯は決して安い値段ではないが、社会人になって働くようになり、お給料を1、2杯の美味しいお酒のために使うことができるようになった。数か月に一回、「バー友達」になりつつある気が置けない友人と、バーで飲むひと時がとても楽しみになっている。

私にとってのバーデビューは、京都旅行で母親と訪れたバーだった。
その日はバーに行く前に、「おばんざい」と呼ばれている京都の一品料理が食べられるお店で食事を楽しんでいた。おばんざいをつまみながら好きなカクテルを飲んでいると、前日に徹夜寸前まで働いていたこともあって珍しく酔ってしまった。
酔いが回ると人によっては怒ったり笑ったり泣いたりするようだが、私の場合は「語る」であった。本当はこんなことを考えていて、将来はこうしたくて、やりたいことを実現させるためには今から動かないといけないんだ等々…、思い返すと自分でもびっくりするぐらい語っていた。お酒には、普段自分が無意識に心の中でセーブをしていることを溶かしていくような効果がある。今までで「とても酔った」と感じたのは、この時の1回だけだ。

おばんざい屋で語るだけ語った後、すぐ隣にあるバーへと向かった。
「おばんざい屋で食事をした後にバーに行く」までを旅行のプランとして入れていたため、予想以上に酔いが回っていたが、せっかくなので初めてのバーを体験することにしたのだ。そのお店は奥まった場所にあって、かなり照明を落とした店内だった。バーカウンターにはバーテンダーが2人、接客をしながらカクテルを作っている。初めてでドギマギしながら入ったが、既に体にアルコールがたっぷり入っているため、注文に迷う。初めに書いたようにお酒にはあまり強くない体質のため、迷った挙句、初めてのバーでの注文は「一番弱いお酒をください!」であった。
バーテンダーによると、アルコールは調節することができ、弱いもので2~3%で作れると言う。私はデザートの代わりとして、カルーアミルクのアルコール激弱カクテルを注文した。

カウンターを見渡すと、常連のお客がキープをしているボトルが綺麗に陳列されていた。様々な銘柄のお酒が並び、バーテンダーが慣れた手つきで銀色に光るシェイカーを振っている。京都のバーに来て気分が高まっていたが、店内の暗さもあって、心が落ち着くような心地良さがあった。

数分もしないうちにカルーアミルクが出来上がった。飲んでみると、デザートを食べたような甘さがあり、優しくてほっとする味がした。バーテンダーが気を使ってくれたのか、アルコールはほとんど入っていないようだった。
カクテルを飲む前と飲んだ後にお水を提供してくれる親切なお店で、初めてのバー体験にとても満足した。

最初に訪れたバーで飲んだお酒がほとんどノンアルコールというのはもったいないようにも思えるが、京都のバーのおかげで、バーという場所の印象が、「優しくてほっとできる場所」になった。

バーが好きな理由を考えると幾つも思い浮かぶ。薄暗くて落ち着ける雰囲気が好きだし、あまり量を飲まない自身にとって、本当に飲みたいお酒をじっくり選んで飲むことができるのはとても楽しい。日常から離れて、ゆっくり人と話ができることも魅力だと思う。「バーに行くのはハードルが高い」と思っている方にはぜひ1回行っていただきたいし、緊張してしまう場合は気が置けない誰かと行くことをお勧めしたい。(私自身は1人バーをまだ体験したことがないので、いつかは行ってみたいと思っている。)
初めて行った京都のバーのように、様々な場所に行ってお気に入りのお店を見つけていきたい。


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