焔猫 戒音-kainé-

ぽつりぽつりと物語ります。 種族名:焔猫 えんまお 個体名:戒音 かいね 人外の魔…

焔猫 戒音-kainé-

ぽつりぽつりと物語ります。 種族名:焔猫 えんまお 個体名:戒音 かいね 人外の魔性です。

記事一覧

宣告

危険なほど魅惑的な言葉で 紡がれたその詩は 世界そのものを内包した 卵 のようなものなのだろう 生まれいずるものは では なんだろう 逡巡する間もあらばこそ そら 解…

2

意図せぬ邂逅の一幕

あたしの主様はね 心底惚れた女を喜ばすはずだった そのせりふを、まともに口にする 事さえできなかった…ただの、朴 念仁さ 背中と二の腕にたいそうなモノを 飼っている…

キングオージャー最終話三部作。
毎週のように繰り返し繰り返し観てる。

戦隊ものとして観てないんだろうな、と。

明日で、150日連続投稿になります。
体調優先で、しばらく低浮上になるかも。

邂逅 - 1st Phase

「期待していたことと違ってでも いたのかい?」 目の前の紳士は大げさに驚いたよ うな表情を見せると、ひどく神経 に障る声で笑った。 「ここが、君のいう、そう…異界 …

惑う者の独白

ぼくにはきみがわからない きみにはぼくがわからない それがすべてのこたえだとしたら そもそものはじまりに なにがあったのか そんなことはどうでもいい このさきにな…

自鳴琴の音に

胸の内に去来するものは 声にならない声 とまどうような うれしいような …かなしいような そんな表情で 背を向け合っていた そのことこそが 未練そのものに化するなど…

水妖の見る明日

知っているよ こうしていることさえも 遠い明日には呪詛と呼ばれる つよく念じ 願い 祈る 何が祝福と呪詛を切り分け得るのか 知りたいのか そうじゃないのか それさえ…

探偵の定義

俯いたまま 君は孤独でかつ広大無辺な闇に 舞い踊る 思考は千々に乱れて定まらず 震える声は たぶん 何処にも届かない 明晰な論理のもたらした罪は そうしたものだ けれ…

見るなの鏡 - 視線

気丈そうにみせてはいたけれど、 彼女は確かに怯えていた。 書類から視線をあげると、その瞬 間、彼女は震えたようだった。 僕は胸の中で自分に舌打ちをした。 「無理な…

聖夜幻想

しんしんと降り積もる雪の気配に ふと眼を開けると 黒々と口を開けたままの暗闇の先 から 誰かが 見てる 狂った世界の向こうから、眈々と 憧れにも似た熱さをこめて

聖夜幻想 - 承前

サンタさんが誰かなんて もう知ってるって いわないまま、眠ったふり あなたの笑顔が嬉しい あなたの声が嬉しい あなたがそこにいてくれることが 嬉しい 優しく …

Cities in Dust - 1st Phase

それは 悲鳴だったのかも知れなかった。 灼熱の陽光 呼吸を乱す土煙 流れる汗に纏わり付くのは 小さな羽虫だけではない。 徒労。 果ての無い 身の丈にそぐわない 欲望の…

10

その名を呼ぶ者に幸いあれ

朧に遠くナニモノかが姿をみせる その刻限を待って 待ち続けて 美しい彫像と化したという昔語り ほんとうにあったとしても よいのではないか、と つい そう思ってしまうほ…

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静寂の瞳 Sceneー2

追いつめられたような ささくれた<意識>の流れ。 微かに饐えた匂いのする闇の奥底 一体の揺らめく影があった。 その姿はさながら 巨大な <翼持つ蟲>のよう。 また、<…

四季

季節を色分けするとしたなら、 どんなふうにする? 君は 大きなエプロンを纏うと 絵描きの顔に なってそう尋ねた。

宣告

宣告

危険なほど魅惑的な言葉で
紡がれたその詩は
世界そのものを内包した

のようなものなのだろう

生まれいずるものは
では
なんだろう

逡巡する間もあらばこそ

そら
解き放たれたナニモノカが
残酷な刃となって

蒼天を切り裂く様を
刮目として

見よ

意図せぬ邂逅の一幕

意図せぬ邂逅の一幕

あたしの主様はね

心底惚れた女を喜ばすはずだった
そのせりふを、まともに口にする
事さえできなかった…ただの、朴
念仁さ

背中と二の腕にたいそうなモノを
飼っているくせにね、と真紅の瞳
を伏せて娘は微笑んだ。

だから、
あたしが、
そばにいてやるんだ

世の趨勢も理とやらも、そんなも
のはね、真に大切なモノの前じゃ
あどうでもいいような些末な事な
んだよ

「……ほほう、それってのは」

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キングオージャー最終話三部作。
毎週のように繰り返し繰り返し観てる。

戦隊ものとして観てないんだろうな、と。

明日で、150日連続投稿になります。
体調優先で、しばらく低浮上になるかも。

邂逅 - 1st Phase

邂逅 - 1st Phase

「期待していたことと違ってでも
いたのかい?」

目の前の紳士は大げさに驚いたよ
うな表情を見せると、ひどく神経
に障る声で笑った。

「ここが、君のいう、そう…異界
なんだよ」

どうだい、と己の創造した世界を
自慢げに見回す「神」のようなそ
の仕草は、口調以上に芝居がかっ
ていた。

たまらなく不快だった。

紳士は、手にしていたステッキを
くるりと回すと気取ったポーズで
僕を見た。

「答え

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惑う者の独白

惑う者の独白

ぼくにはきみがわからない
きみにはぼくがわからない

それがすべてのこたえだとしたら

そもそものはじまりに
なにがあったのか
そんなことはどうでもいい

このさきになにがあるのか
どうなるのかも
どうでもいい

ほんとうにだいじなのは

いま
まさに

こうして
ここにあることなのでは
ないのか、と

どうして
このては
どこにも
とどかないのだろう

自鳴琴の音に

自鳴琴の音に

胸の内に去来するものは
声にならない声

とまどうような
うれしいような
…かなしいような

そんな表情で

背を向け合っていた
そのことこそが
未練そのものに化するなどと
誰が
知っていたのか

風の音
雨の音

なにものか
遙か遠くで軋む音

これは
追憶のオルゴールだ

水妖の見る明日

水妖の見る明日

知っているよ
こうしていることさえも
遠い明日には呪詛と呼ばれる

つよく念じ
願い
祈る

何が祝福と呪詛を切り分け得るのか

知りたいのか
そうじゃないのか

それさえも波間に揺れる幻にすぎず
さざめいて喪せ去るのだとしたら

ならば問おうか

最果てのその果てからさえ
立ち戻るために
なにを捨て
なにを求めるのかを

探偵の定義

探偵の定義

俯いたまま
君は孤独でかつ広大無辺な闇に
舞い踊る

思考は千々に乱れて定まらず
震える声は
たぶん
何処にも届かない

明晰な論理のもたらした罪は
そうしたものだ

けれど
ひとすじの路は
微かに
光を導くから

知っている
光に照らせぬ闇などない
残酷なテーゼを唇に

ただひとつの
万華鏡の風景をみつめようか

それが
探偵の
本当の仕事なんだよ

見るなの鏡 - 視線

見るなの鏡 - 視線

気丈そうにみせてはいたけれど、
彼女は確かに怯えていた。

書類から視線をあげると、その瞬
間、彼女は震えたようだった。

僕は胸の中で自分に舌打ちをした。

「無理なさるようなことはなさら
ないでくださいね」

彼女は頷いたようだった。

「信じることが出来ないとしても無
理はないと思います。でも、せめて
わたくしどもを信用してください。」

ぱたりと調書を閉じた僕は、定型
句を口にした。

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聖夜幻想

聖夜幻想

しんしんと降り積もる雪の気配に
ふと眼を開けると

黒々と口を開けたままの暗闇の先
から

誰かが
見てる

狂った世界の向こうから、眈々と

憧れにも似た熱さをこめて

聖夜幻想 - 承前

聖夜幻想 - 承前

サンタさんが誰かなんて
もう知ってるって

いわないまま、眠ったふり

あなたの笑顔が嬉しい
あなたの声が嬉しい

あなたがそこにいてくれることが

嬉しい

優しく
遠慮がちに撫でてくれるから

今年も起きることができなかった
じゃないの……もう……

Cities in Dust - 1st Phase

Cities in Dust - 1st Phase

それは
悲鳴だったのかも知れなかった。

灼熱の陽光
呼吸を乱す土煙
流れる汗に纏わり付くのは
小さな羽虫だけではない。

徒労。

果ての無い
身の丈にそぐわない
欲望の果てに
その都市は
とうに喪われていた。

『私』はイオ。
『私』たちは遺構の調査を命じられて
その惑星に降り立った。

この場所がかつては青々と水を湛
えた生命にあふれた「故郷」だった
としても、感慨もなにもあるもの
ではなか

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その名を呼ぶ者に幸いあれ

その名を呼ぶ者に幸いあれ

朧に遠くナニモノかが姿をみせる
その刻限を待って
待ち続けて
美しい彫像と化したという昔語り

ほんとうにあったとしても
よいのではないか、と
つい
そう思ってしまうほど

真剣に
君は
遙かを望む

その視界には既に君自身さえ無く
依り代として最上の在り方を示し
…僕を深く嘆かせるのには
いったいどういう理由があるのだ

それでも
こうして

僕は君を見ている

静寂の瞳 Sceneー2

静寂の瞳 Sceneー2

追いつめられたような
ささくれた<意識>の流れ。
微かに饐えた匂いのする闇の奥底
一体の揺らめく影があった。

その姿はさながら
巨大な <翼持つ蟲>のよう。
また、<嘴をもたぬ鳥>のようで
もあった。

<それ>は、自らを<狩人>であ
ると認識していた。
その自覚が、ややもするとあやし
くなりかけてきているとも、感じ
はじめていた。

永き時を渡り
追い続けてきた<獲物>を、どう
やら見失ったら

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四季

四季

季節を色分けするとしたなら、
どんなふうにする?

君は
大きなエプロンを纏うと
絵描きの顔に
なってそう尋ねた。