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最初にブルーを選べば誰ともかぶらないでしょ?


ある女の子の話です。


彼女は少し泣き虫でした。くりくりした目に大粒の涙を溜めて、この世の終わりぐらい悲しそうに泣く姿は彼女のお兄ちゃんそっくり。


でもそんな泣き虫ガールを卒業すると、女の子特有の社交性を発揮し、あっという間に「見て聞いてガール」になっていました。


ある日、好きな色の話になりました。


1人の女の子が「ピンク」と答えると、まだ幼稚園生だった彼女は「ピンク好きだけど、幼稚園ではブルーって言うの」と答えたのです。


どうして?と僕が聞くと、彼女は少し勝ち誇ったように「2番目に好きなのがブルーだから」



「最初にブルーを選べば誰ともかぶらないでしょ?」



時に子供は大人より大人みたいなことを口にします。


「ねぇねぇこれ見て!」「ねぇねぇ聞いて!」


いつでも誰からも注目を欲しがった彼女が、幼稚園という初めて触れる小さな社会で、小さいながらに揉まれたのでしょう。


思わず「ははは」と苦笑いしてしまいましたが、すぐに「君はピンクを選んでいいんだよ」と伝えました。



1番を選んで2番さえも手に入らないのなら、最初から2番を選ぶ。



大人になると世間が”正しい”と定義する真理にたくさん出会います。これもそのうちの1つかもしれません。


いずれ出会ってしまうとしても、子供が純粋に自分の1番を選べる時間が少しでも長い、願わくばそんな世界であってほしいです。






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