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誰を相手に話しているのかを考える

3分で話すのって難しい

去る2024年5月13日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「ROCKET PITCH NIGHT SPRING 2024」が開催されました。
当日、Y/Dの山川がキックオフのスピーチをさせてもらったのですが、このイベント、ピッチは各3分しかなく、イベント自体が分刻みで動いています。比喩ではなく、1分遅れたら大変なことになるのです。なのに、キックオフに間に合うと言っていたティム(CEO, CIC/Venture Café Global Institute)の姿がありません。私が呼び込まなければならないのに姿がない。喋り出したのはいいが、ここから「ティムがいないことで進める」のか、「ティムが途中で飛び込んでくるとして進める」のか、話をしながら判断しなければなりません。スタッフをちらりと見ると、ティムが来るとハンドサインで教えてくれています。しかし全くその姿はない。

え、いつ? いますぐ? それとも2分後?

1分後なら1分で、3分後なら3分でオチがつく話をしなければならない。いや、それ以上待つことになるのなら、例えティムが姿を現したとしても、進行上スキップしてまとめなければならない。そんなこんなを頭の中でシミュレートしているところでティムが奥の入り口で姿を現しました。さあ、話を切り上げてバトン・タッチだ!

ピッチは短時間が基本、ならばどうする?

という前置きはさておいて、ピッチの話を少し。

どのピッチも熱量を感じられ、強い意志が溢れてくるものだったと思います。でも問題は「それが、本当に伝わっているのかな?」なんです。ピッチはたった3分しかありません。そこでやりたいビジネスのすべてを説明することは不可能です。3分でビジネスをすべて説明しようとして、本当の概論だけで終わってしまうケース。市場環境とそのためにそのビジネスが不可欠だと言って終わるケース。一所懸命、競合との差別化ポイントを話すケース。


残念ながら、よくわかんないなぁと思われることもあります。たった3分しかないのに、その情報まで話す?とか、そういうこともあります。おもしろそうなビジネスに思えるけれど、今のピッチでそれを表現しきれていないよね、というケースは珍しくないのです。

真面目な人ほど「これも話さないと」「これは省いたら伝わらないんじゃないか」と不安が募って、全部入れようとして、大変なことになってしまう。

「相手によって変えなきゃいけないってことだよね」

今日みたいな、Venture Café Tokyoのピッチイベントってコメンテーターは多種多様なんだけれど、かなりカジュアルな面もある。事業のインパクトとか社会性、アイデアに注目する傾向が高い。一方で、ゴリゴリのベンチャーキャピタル、投資家相手になってくると、資金計画や市場環境を省くとそもそも話を聞いてくれないこともあって。どんなピッチなのかで内容は変わってくるはず。

そのうち、マーケティングの記事で書くと思うんですが、軽く触れておくと、「コンテンツを考えるときに欠かせない、ターゲットの話」と同じなんです。同じ電動自転車でも、ママ向けに売るときと学生向けに売るときでは、アピールするべき内容が違ってくる。ところが、やっぱり、自分たちのビジネスだったり製品だったりサービスには自身があるし、こだわりも強い。だからこそ「これを言わなきゃ」「これは絶対に外せない」「これがポイントなんだ」と「言いたいこと」ばかり言ってしまう。

言いたいことと聞きたいことは違う。

大事なのは、「相手が聞きたいこと」なんです。

それが届いてはじめて、人は動く。

何を伝えるか、どう伝えるかは、「相手にどう感じてほしいか」によって、変えなければならないということなんです。それはピッチでもプレゼンでも同じことなんですよね。

という話をタクシーの中でしていました。窓の外、雨が降っている様子を見ながら。


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