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物理を履修したほうがいい?? 

 高校生からの質問で,「物理を履修したほうがいいですか?」とチラホラきく.地学も履修して知識が広がった経験から,物理,化学,生物,地学,できるだけ沢山勉強すればいいのにとも思うが,一方で高校や,あるいは塾では,どの大学の入試や入試方式を通過しやすいかという観点で,履修科目を案内している場合があるようだ.

その際,生物や化学で入試に挑んだほうが,物理で挑むより容易だという類の指導があるため,“物理”を履修したほうがいいのか?と物理ばかり名指しで相談するのだろうと推察する.

 ここで,前提として,生物や化学だけで,理系の大学,それも物理を使う理工学や工学部に入れるのかという疑問があるかもしれないが,入れる大学が多々ある.国立,私立関係なく,理科2科目を入試にかしている大学が全てではない.例えば,マーチの多くでは,理科1科目で理工学系に入学できる.当然,理科のうち生物だけで理工,工学系に入学可能である.生物か物理のどちらが簡単かは人それぞれの得意不得意もあるが,より暗記で点数がとりやすい傾向のある生物が好まれるのも,入試対策としては仕方ないともいえる.

 ここで,私が高校生や大学1年生に伝えたいのは,より難関な大学へ入りやすい理科科目の履修(あるいは単位が取りやすい科目)という基準以外の選択基準である.

 人生の最終試験は,大学入学ではなく,大学の進級要件,同学部学科内での専門科目の選択,あるいはコースの選択,研究室やゼミの選択,大学院進学,そして就職など,まだまだある.この際に,高校時代にどの理科科目を履修したかが影響すると考えている.

 

大学の進級要件としての優位性

理工学系でも理科は1科目,つまり「物理基礎・物理」,「化学基礎・化学」,「生物基礎・生物」の1科目だけで入学できるのが一般化している.入試の難易度からみると,これは大学や学部学科,年度によりケースバイケースだが,物理より,生物の試験を受けたほうが,工学系の学科に入学しやすいということは多々ある.そうなると,工学系の学科であるのに,物理を勉強したことがない学生が入学できる.これは,大学の入試制度がおかしい?とも言えるが,一旦その話は置いておくことにする.話を戻すと,高校や入試では生物しか勉強していないけど,大学では工学系の授業だらけという学科に入った学生は,入試は通過が相対的に容易だったかもしれないが,今度は単位取得が相対的に困難になる. 大学は,高校とは違い,塾がないし,基礎的なことを教授らが手取り足取り教えるほど,教員と学生の人数比からして,時間がない. 多くの場合が,自学か,物理のわかる同級生に教えてもらうことになる.

  

大学内でのコースの選考時の優位性

 1年生から2年生に進級する際に,専門科目やコースを選択する大学が多い.その際の基準として,単位全体,あるいは専門科目の授業の成績(GPA)を基準に,学生の各希望を優先することが多い.物理を大学に入ってから学んで,物理系の科目の授業に挑む学生は,相対的に高い成績を納めることが困難になり,GPAも低くなってしまう場合がある.そうすると,希望の大学に入れたが,希望のゼミや研究室に入れないという事態になってしまう.もちろん,高校時代に物理を履修していたことや,物理で入試を通過したことを,学内のコース選択や,ゼミ配属の選別に直接利用することはない(あってはならない)が,GPAとして間接的に影響してしまうのは避けられない.進学後にスムーズに科目やコース選択するためにも,やりたいことと(入りたい学科のメインとなる理科)と,高校の履修科目は合致させるのも,ゼミ(研究室)入試対策ともいえる選択基準と思う.

 

大学院進学,就職での優位性

 大学の履修や学内テストでは,物理を基礎とする科目を回避したり,過去問対策で通過できるかもしれない.しかし,大学院入試や,就職試験において,物理を基礎とする科目が出題される場合がある.最終的に物理を基礎とする範囲の仕事を目指す場合, 自分の目標を達成する対策として,入りたい学科のメインとなる理科科目を高校で履修するのも対策とも言える.

 少し煮え切らない記事となった気もするが,自分の学生時代の同期の様子や,大学1,2年生の生物で工学系学科に入学した学生の様子を見る立場としては,ぜひ高校生に伝えたい情報だったのでここにまとめた. 個人の意見として, 

工学系目指すなら,ぜひ物理を履修して欲しいです!!

 参考になれば幸いです.


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