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建設・住宅事業者のSDGs(社会・経済編)

 建設事業者や工務店、住宅産業等は、地域の人たちが安心して暮らすことのできる社会のために、住環境の整備やまちづくり、インフラの構築や維持・管理、省エネ・環境保護など多方面に取り組まれています。
 ここでは建設・住宅事業者が取り組むことができるSDGsのヒント(社会・経済編)を紹介します。(SDGs3,5,8,9,11)

①地域の安全・安心なまちづくりへの貢献「地域の守り手」

 建設・住宅事業者のみなさまには、住民のみなさんが安心に暮らすことができるよう、道路の点検、落石や倒木の撤去、雪かきなどの公的な役割をに担っていただいています。このような建設業の取組そのものが、誰も取り残さないSDGsの目標に資するものであります。
 地域の最前線にたって災害防止のための工事や災害時の応急復旧活動、例えば緊急車両等が通行できるよういち早く現場に赴き、道路啓開作業等を行うほか、復旧工事やさらなる災害防止のための工事に取り組まれています。 今後気候危機の深刻化により暴風雨等が強大化し災害の発生可能性が高まる中、ますます建設・土木業の「地域の守り手」としての役割は大きくなっています。
 例えば、長野県富士見町建設事業協同組合では、事故や災害を未然に防ぐことができるよう、土砂崩れや崩落の危険性のある箇所などの調査をされ、危険場所マップとしてとりまとめています。道路や河川、法面等の危険箇所を調査した内容を、県や町へ提案を行っているほか、組合員自らがボランティアで整備活動をされています。

②誰もが生きがいを持って働くことのできる職場づくり


 建設業界での働き方に関する課題の一つが、労働時間が長くて、休日出勤が多いことが指摘されています。建設業の労働時間は、全産業平均139時間よりも約30時間多くな168.2時間になっています(厚生労働省:毎月勤労統計調査)。また多くの建設業や工務店では人手不足や後継者不足の状況にあります。
 長野県では、公共工事において週休2日が確保できる工期の設定を行うとともに、それに伴う増加経費を適正に計上することになっています。
 建築現場の生産性向上のための3次元測量や3次元データを活用して、計画、施工、維持管理までを3次元モデルで行う建設業のDX化を進めていくことも求められます。
 特に、建設業の現場で活躍する女性は一般的に少ないのが現状です。
 日本建設業連合会では、建設業での女性活躍を支援する「けんせつ小町活躍推進計画」が策定されています。その計画には
 「定着支援」として、現場内で女性が快適に利用できるトイレと更衣室の設置などの働く環境の整備、出産・育児・介護や配偶者の異動による転居などで退職を余儀なくされた人へのそれまでの就業経験を生かした再就職支援などが重要です。
 「活躍支援」として、男女ともに育児休業取得を促進すること、女性が継続して仕事を続け、管理職になることができるよう、女性同士の支えあいのネットワーク、学びの場づくりも有効です。

 

③働く人たちがみんな元気で ~健康経営~

企業が持続的に成長していくためには、社員が健康であり続けることが必要不可欠です。社員が身体的、精神的に健康であり続けるための取り組みはとても重要です。
・定期的な健康診断
・ストレスチェックによる高ストレス者の発見と支援
・健康的な食(野菜をとり、塩分を減らす)と適度な運動の促進

全国建設工業国民健康保険組合では、「健康企業宣言」の取り組みを推進しています。これは、事業主が従業員の健康づくりに積極的に取り組むことを宣言し、一定の成果を上げた場合に健康優良企業として認定される制度です。認定をうけることで、事業所のイメージアップになり企業価値が向上します。

健康経営の事例 【及川産業株式会社 出典:https://www.conit.site/column/health-management-construction/

従業員数34名の建設土木、土木工事、除雪を事業としている北海道の企業。
以下の取組を実施。

・年に一度、産業医による健康管理についての講演を実施
・協力企業も巻き込んで安全意識を高めるイベントを開催・休日年間カレンダーを作成し4週4休から4週6休の休日を確保

稼働日単位で給料が計算される現場作業員とっては、休み増えると収入まで減ってしまう分、単に休みを増やすだけでなく賃金を一律10%アップにして休みと収入のバランスを取り、従業員の75%が4週6休を実現しています。また、健康経営優良法人の認定を受け、取り組みが事例集のパンフレットに掲載されたことがきっかけで、求人の申し込みにつながり新規採用に至っています。参考:健康経営優良法人 取り組み事例集


④建設業・住宅産業における障がい者の雇用

 建設業・住宅産業は、まちづくりやインフラなど専門的な技術が必要とされる仕事です。同時に危険を伴う作業も多く、障がい者が建設業に携わるのは危険というイメージがあるかもしれません。

 障がい者や個人に合わせた仕事を任せるのが重要です。障がい者雇用にあたっては、サポート体制と個人に合わせた指導の徹底が必要です。
 危険の少ない作業で、どのような仕事をお願いできるか、業務時間割や作業分担表を作り、月や半年毎の目標を記載した「実行計画書」を作成している企業もあります。

 例えば、島根県の建設事業者では、島根県の障がい者職業センターの職業カウンセラーの助けを得て、職務の分析や社員からのヒアリングを通じて、知的障がい者に担ってもらえる仕事を切り出す職務創出の取り組みを行った。さらに、職業カウンセラーによって、作業手順、1日のタイムスケジュール、採用までのステップ、サポート体制についての提案がなされた。これにより、受け入れ側の不安も和らぎ、スムーズに知的障がい者を雇用することができたという。
 具体的な業務は、下水処理場の水質検査用器具の洗浄、水質検査補助など


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