本の棚 #39 『友だち幻想』
「みんな仲良く」という重圧に苦しんでいる人へ
『友だち幻想』
〜人と人の〈つながり〉を考える〜
菅野仁
最近書かれた本かと思って
初版年度を見てみると…2008年!
けれど読んでみると、
やはり最近書かれたのではないかと
思えるようなところがたくさんある。
ところどころ挿絵があるのだが
ケータイがガラケーだった…やはり2008年。
その頃に読んでもなんのことか
さっぱりわからなかっただろう。
なんせ大学2年生…人とのつながりなんて
ほとんど意識していなかったように思う。
間違いないのは、今よりも積極的に
人と関わろう関わろうとしていたこと。
それが今となっては...
友だちは少ないほうだと思う。
友だちってなんなの?という定義によるけれど
年に一回会ったり、連絡をとることを
義務的にではなく、なんとなく続けている
職場や家族以外の人。という考えでいくと
片手にある程度の余裕を持って収まる。
コロナ禍によってさらに減少傾向にある。笑
今著者のいう〈つながり〉について
2008年当時より、
たくさんの人が考えているのではないか。
先生と生徒、上司と部下、親と子、
あらゆるシーンで考えなければならない
そんな状況に今、あるんだと思う。
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同調圧力〜友情が強迫になる〜
えっ、菅野さんが生み出したのか?
「私はそれを同調圧力と呼んでいます」
と書いてあるからそうなんだろう。
近年ではSNSのなかでこの手の圧力を感じている人が
多いのではないだろうか。
LINEグループなんてまさにこれだ。
仲がいい状態を保ちたいがために同調せざるを得ない状態
友人であるはずなのに、どこか心が休まらない、葛藤。
ぼくは基本的にはあまり群れない。
先輩、同僚、後輩からの誘いも1回目は断る。
だから友だちが少ないのだけれど
この圧力みたいなのに悩まされたことは、ない気がする。
「並存」「共在」できることが大切
「みんなと仲良くしなさい」
これはほぼ無理だ。
合う合わないというのは、ないとは言えない。
けれども敵対する必要もない。
嫌いだからといって攻撃する必要は、どこにもない。
それよりも合わない場合は無理に関わろうとせずに
少し距離をおいてぶつからないようにする。
そのような作法を覚えることも重要ではないか。
みんなと仲良くすべきという理念が
ときとして衝突を生むことも決して少なくないのだから。
ルールは自由になるためにある!
ルールときくと堅苦しさを抱く人がいる。
そりゃあガチガチにたくさんのルールがあるときは
そうなることもありえる。
ただしルールがないと無法地帯になり
個人の自由は誰かの自由によって阻害される。
急いでいるからと赤信号を無視すれば...事故る。
みんなが交通ルールを守るから(多少の不自由を代わりに)
自由に移動ができていると考えたほうがいい。
これは組織でも同じこと言えるし
学校でも同じことが言える。
以前読んだ『リーダーの仮面』の識学でも
ルールの重要性について説かれている。
そこは絶望の終着点なのではなくて希望の出発点
人はどんなに親しくなっても他者なんだということを意識した上での信頼感
自分のことを100%理解してくれる人は、いない。
それは愛する奥さんであっても、こどもであってもそう。
だけどそれに対して絶望することはない。
100%は理解してくれないけど一緒にいてくれて
すれ違ったり、ぶつかったりしながら
信頼を築いていく。
その信頼は決して強固なものではなく
ひとつの嘘や偽りですぐ壊れるんだけど
それでもコツコツ積み上げていこうと約束している。
そんな希望をもって一緒に過ごしていきたい。
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