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Q思考 ウォーレン・バーガー

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「知らないこと」を質問で耕していく

自分の美しい質問を見つけたら、それにこだわること。もし追求する価値があれば、あなたは混乱し、苛立ち、疲れ果てるだろう。そして行き詰まったときには、アキュメン・ファンドのノボグラッツのアドバイスに従おう。「ただ、次の問いに手をつければいいのです」大きな疑問に分解して、それに取り組むのだ。「なぜ?」「もし〜だったら?」「どうすれば?」のサイクルを繰り返すことで、すべてを(あなたの行き詰まりさえも)新たな疑問にして考える。 質問の内容を変えることを恐れてはならない。レベルを一段下

自分は「何」を言いたいのだろう?

「私はなぜ、この仕事をしているのだろう?ほかの場所、別の立場でこの仕事をしたらどうなるだろう?具体的にどうするだろうか?」 仕事に関するこの手の美しい質問は、すでに成功した人たちの多くも抱え続けている。2012年にニューヨーク・タイムズ紙に掲載された、映画俳優J氏インタビューをとても興味深く読んだ。映画をしばらく休み、舞台で難しい役に取り組んでいた彼は、それについて聞かれ、それまで出演していた大型映画は、成功したけれども、自分の抱いていたいくつかの深い疑問への答えを示してく

群衆の凶器に敏感になる

この世界は非常に厄介な問題が尽きることなく存在し、美しい質問を取り巻いている。困難な問題の奥の奥、その中心部分には、まだ発見されていない、偉大な価値のある疑問や質問が横たわっている。それを表面化させられれば、問題の本質がもっとはっきりと見えてくるかもしれない。 たとえば複雑な社会問題について。質問家たちは懸命になって問題をとらえ直そうとしている。医療問題、飢餓、環境保護、高齢者介護などはいうまでもなく、さまざまな問題で新しく、より優れた解決法が強く求められている。それらが鋭

「美しい質問」の見つけ方

あなたは、「なぜ、自分は一つの問いに集中したいのだろう?もし一つに集中するとしたら、どうすれば自分にとって正しい問いを見つけ出せるだろう?」と思うことがあるかもしれない。 重要な一つの(あるいは、せいぜい二、三の)疑問に照準を合わせることは、進歩するために十分な時間をかけて取り組めるというメリットがある。自らのプロジェクトの一つひとつを登山にたとえる。まず山を一つ選んで、それが「たんに頂上まで登りたい山であるだけでなく」、自分が好きな山であることを確認する。というのも、場合

「力強い疑問」は眠らない

追求すべき大きくて、美しい質問を見つけ出すのは容易ではない。だから(いつもと同じように「なぜ?」から始めることにし)、「なぜ、それをすべきなのか?」をまず考えてみよう。私たちはだれもが目標、計画、情熱、関心、懸念を持っている。すべきことも考えるべきこともたくさんある。それなのになぜ、「大きくて、難しく、まだ答えのわからない疑問」をそこに加える必要があるのだろうか? なぜなら、問いは推進力になり得るからだ。人は誰でも引き出しの奥に、やるべきことや達成すべき目標などをどっさりし

疑問を「疑問視」する

意見の割れた問題について「隔たりを乗り越える」のに役立つような思いやりのある疑問は、「部屋の風通しを良くする」のに役立つ。つまり親しい友人、近所、同僚、兄弟、義理の姉妹、長男など、近しい関係の人たちとの間柄をよくすることができる。尋ねることは、人間関係のさまざまな課題に対する理解を深め、関係修復の可能性を試すために使えるのだ。 仮定の疑問「お義父さんはどうしてこうも付き合いづらいのだろう?」と例にとると、疑問を疑問視する(「それは本当か?」「彼は本当にだれにとっても付き合い

「考えの違う人」の視点で考える

こうした質問は異文化への配慮があり、相手を十分に理解し、敬意があり、人を引きつけるものでなければならない。相手のそばに身を置き、状況を理解しながら質問を重ねる「文脈的探究」が必要になる場合もある。同じようにジャンル越境のエキスパートが用いたアプローチを見ると、考え方の異なる人たちの世界に飛び込んで、「一緒に床に座り」、その視点からさまざまな問題を見つけることに優る方法はなさそうだ。 そこまではできなくても、「自分の殻から抜け出せるような習慣をつくること。たとえば、自分が同意

質問で「共通項」を見つける

質問はペンキの缶の蓋をこじあけるテコのようなものだ。「しかしテコがもっと長いと、缶の中のペンキをかきまわすこともできる。つまり質問が大胆なほど、物事を本当に引き起こすきっかけになる」いい質問を使えば、人の心の中にあるアイデアや答えを刺激できる。 さらに異なる文化や考えを持つ人たちを分け隔てている「壁」を質問で壊すことも狙っていた。このことは、現在のように価値観の分裂した時代にはじつに重要だろう。人々が大きく異なる観点から問題を見ているときは、一方の側が他方の側に自分の答えを

「自分で考える」ように仕向ける

手がけたプロジェクトの中でも興味深いものの一つは、ガンジス川の浄化プロジェクト。さまざまな問いを駆使してこの問題についての理解を深めたうえで、地元住民に次のような質問をぶつけた。 「ガンジス川の状況をどう感じていますか?」 「ガンジス川の状況を子どもたちにどう説明しますか?」 「汚染」という言葉を使わないなど(ガンジス川を神聖なものと信じている人たちに不快感を与えるかもしれないからだ)言葉遣いには気をつけ、「川を大切にする」といったテーマで質問や討論が進むように工夫した

「あなたは、人生をどのように変えたいと思いますか?」

「失敗するリスクを冒してもする価値のあることは何か?」という質問には、人の想像力に火をつけ、それぞれの心に語りかけ、多くの人を一つにまとめる力がある。 この『戦略的質問』は、広い心と慈しむ気持ちを持った質問が特徴。オープンで好奇心に満ち、ときに挑発的でありながら、決して「正しい」とか「正しくない」といった決めつけをしない、いわば正しい質問をすれば、文化的にも、政治的にも、気質的にも自分とは大きく異なる人たちと意義深い対話ができる。このような質問は人と人のあいだにある壁を超え

「失敗するにせよ成功するにせよ、本当にする価値のあることは何だろう?」

新たな取り組みを始めるときには、まずは次の問いを通じて失敗の可能性に向き合うべきだと考えている。 「もし失敗したら、どう克服しよう?」 私たちは失敗をただ漠然と、誇張されたかたちで考えがち。それは、失敗を具体的にイメージしたくないという気持ちがあるから。リスクのある何事かをしようとする人に対して「もしうまくいかなければ何が起こるのか?そして、その失敗で生じる困難を修復するには何が必要か?」を思い浮かべてから始めることを提案する。 すると、どんな失敗でも、それまでの努力が

「失敗しないとわかっていたらどうする?」

人が失敗する主な理由は、失敗を恐れることです。自動車運転にせよ大学受験にせよ、根本的な変革を起こすときに大事にしている基本的な考え方は、「早く失敗して、失敗したらそれに感謝することです」 「あなたは、失敗しないとわかっていたらどうしますか?」 本気でこの問いを考えたら、きっと居心地が悪くなるはずです。なぜなら失敗の恐怖が偉業に挑戦しようという気を抑えていることに気づきます。そうして人生は退屈なものとなり、驚くほど素晴らしいことは起きなくなります。けれども恐怖を乗り越えられ

「失敗しないとわかっていたらどうする?」

『力強い質問』には、伝染しやすいという特徴がある。「あなたは、絶対に失敗しないとわかっていたら、何に挑戦するだろう?」 小さな変化を起こすとはちょっとした行動を起こすことだが、この問いはそこからさらに大きなことを考えるきっかけになる。 「もし〜だったら?」という問いによって、野心的な思考の妨げになっている制約を一時的に取り除くという話を紹介した「もし費用の問題がなかったら、どういうやり方をするだろう」個人においても、新しいアイデアを追求する、あるいは人生の変革に乗り出そう

「これをやってみたらどうなる?」

新しいキャリアを見つける最も素晴らしい方法は、「これをやってみたらどうなる?」と考えて次々と実行していくことだ。 これはいくぶん直感とは違うように響くかもしれない。というのも、新しいキャリアについてほとんどの人は、たっぷりと時間をかけ、十分に調査し、綿密に計画を練ってから行動すべきと考えるものだからだ。職場や仕事を変えようとするときには、自己啓発書を熟読し、周囲の人に相談してアドバイスを求め、「本当の自分はこれだ」という天啓が降りるのを待ち、ようやくそこから新しい方向に自分