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第107回:あなたはいくつ知っている?政策の7種類の「型」とは

1.政策は、人々の行動に影響を与えようとする取り組み


 これまで本連載でも、「政策提言」「政策立案」など、毎回のようにこの言葉を使ってきました。ニュースやネットを見ていても、この言葉、よく目にしますよね。でも改まって「政策ってナニ?」と聞かれると、「はて?」と詰まってしまう方もいらっしゃるかもしれません。

 なんとなく国会や地方議会、さらには選挙運動などの際に政治家が主張しているものであり、私たちの日常には関係がないものという気もします
 しかし、それは誤解です。実は私たちの身近な暮らしにも、「政策」は大きくかかわっているのです。

 例えば、あなたのお気に入りの「居酒屋」を思い浮かべてください。
以前は喫煙可能な居酒屋がほとんどでしたが、最近では完全禁煙、もしくは喫煙ルームを設ける居酒屋が増えました。この変化を生み出したのは平成30年に成立した「改正健康増進法」です。受動喫煙の防止を目的に、屋内禁煙に関する「規制」がされる一方、お店に禁煙ルームを設置する際の費用の一部を国や自治体が負担する「補助金」が設定されたことで、多くの居酒屋において、喫煙に対する取り決めが大きく変わったのです。

他にも思い出してみると、コロナ禍において、居酒屋など飲食店のうち、適切な感染対策をしているお店が行政による「認証」を受ける仕組みもありましたね。店頭にあのマークがついているかどうかを見て、入店するかを判断した人もいらっしゃるかもしれません。

さらにお客として居酒屋の勘定をする際には、「消費税」を払う必要もあり、この税率によってお店で何を頼むか、も変わるかもしれません。店側には、設備や店舗に関する税金も払う必要が、どういう設備にどんな税が適用されるかが変れば、店側が導入する設備にも大きな影響が生まれます。

ここで見た「法律(規制)」「補助金」「認証制度」「税」などは全て「政策」と呼ばれます。すなわち政策とは「政治や行政が、市民の行動に影響を及ぼすことを目的に行う取り組み」と言ってもいいかもしれません。ですので、どんなビジネスや市民活動であっても、政策と完全に切り離すことは難しいのです。


2.政策には少なくとも7つの「型」がある


 「政治や行政が、市民の行動に影響を及ぼすことを目的に行う取り組み」という目線で見てみると、いろいろなことが「政策」になりうることがわかってきます。たとえば病院などでよく目にする「○○予防月間」みたいなポスター。あれも、政府や自治体が作っている場合、「市民の行動を変えることを目的として」作られているのですから、「政策」と言えるのかもしれません。

このように、「政策」には非常に様々な「型」があります。それぞれ、行われる目的や効果、さらには働き方も異なります。
政治家や官僚はこの政策の型を理解して、仕事をしています。政策作りのパートナーである彼らと議論をするうえでも必須の知識といえます。また、世の中の動きを「政策」という切り口で分析しようとするとき、「型」の理解はまさに必要不可欠な基礎知識です。

今回はさまざまある「政策」の型の中で、特に理解しておきたい7つの「型」について、それぞれの目的や役割、効果などを解説していきます

(執筆:西川貴清、監修:千正康裕)


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