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”解決策を提示するチャンス”読書note98『落合陽一34歳、「老い」と向き合う』落合陽一著

この本は、高齢者や高齢社会を相手にするビジネス・開発の機会について述べた本である。

「診断」と「人を診る」がずれてきた。患者さんの顔を見ずに、検査の結果だけを見る、猛烈にデータ寄りになってきている。
二人称的な問題は、まず自分で体験することが大事です。(養老孟司)
社会がシステム的に触覚を拒否し、脳の中心溝より後ろの頭頂葉あたりの、感覚を統御する部分を使わないよう仕向けているんですよ。感覚から直接入る実在感が、欠けつつある。(養老孟司)
生死の問題、人生の問題には一般論がないことを、みんなが理解すべきです。具体的なその人、その都度、その場所の問題です。(養老孟司)

養老孟司との対談をベースに、高齢者や社会の課題が浮き彫りにされる。つまり、乗り越えるべき課題が存在するという事である。

「多様性がある」で立ち止まってしまうダイバーシティから一歩進んだ、「多様性を受け入れる」というインクルーシブ社会となることで、身体の多様性を個人が望んだかたちで乗り越えられるようになるのだ。
少子高齢化は一面においてピンチに違いありません。しかし、今後の対応の仕方によっては、ほかの先進国や発展途上国がぶつかる人口減少問題と経済停滞に対する解決策を提示するチャンスでもあると感じています。いまこそ、日本が国際的なブランドイメージを取り戻す契機ともとらえられる。
人の手による介護を望む人も、トイレの後に、お尻を他人に拭かれるのを望む人は多くありません。
(テクノロジーによる)ケアの均質化を進めても、きめ細かいサービスが完全に消えてしまうことないと考えています。人間の「おもてなし」を当たり前に享受できる時代は終わり、「人間味のある」質の高いケアに価値を感じる人が金銭を支払うサービスと、必要最低限のケアだが金銭の支払いは少なるなるサービスの選択肢が用意されている状態になるのではないでしょうか。

このように、高齢者や高齢社会を注目すると、そこには「不足」「不満」「不安」といった課題が満載なのである。これまで様々なビジネス開発で大衆的には「不足」「不満」を解決し失くしてきた我々であり、それによって成長が頭打ちになってしまった(過去note参照)が、ここに新たな市場が出来上がっていることに気付くべきなのである。不足や不満、不安を解決することで、ビジネスが生まれ、そして社会が変わっていく。そんな未来が少し見えてきたように感じる。

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