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”「役に立つ」より「意味がある」”読書note59「ニュータイプの時代」山口周とこれからの時代考

VUCA化の時代に必要な人材”ニュータイプ”に求められる思考・行動様式をまとめた本である。冒頭に整理された図を引用する。

「役に立つ」から「意味がある」へ(本の感想)

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私が気になったポイントを3つ挙げると、一つ目は「問題解決力⇒課題発見、未来構想力」である。不足、不満の時代が終わり、不足や不満の解決する力は過剰になり、かつAIに取って代わられようとしている。だから、問題を創る力=課題発見、未来構想力を有する人材が求められるという。

次に、「役に立つ」から「意味がある」ことが重要になるという指摘である。これも上の正解が欲しい時代から目標や夢が欲しい時代へのシフトがそれをドライブしていると言える。

さらに論理偏重から「論理+直感」へ。HOWではなく、WHYやWHATを創れる人が必要な時代だからこそ。HOWは論理で作れるが、WHYやWHATは論理だけでは作れないということだと思う。

これからの時代を生き抜く視点がたくさん散りばめられた本を読んで、少し昔の仕事が蘇ってきたので、思い出しながら、書いてみる。

生活の潮流(’90年当時)(不満⇒不安の時代へ)

前職(日用品メーカー)で、中長期戦略を考える社内プロジェクトに参画していた時に、日用品周りの時代の潮流変化を整理したのが下図である。ちょうど、ライバル企業に生活提案力で大きく水を開けられていた危機感から長期視点のマーケティングや商品開発をやらねばという事で始まったと記憶している。

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清潔衛生関連の日用品メーカーだったので、モノがない(不足)、機能が不十分(不満)というニーズに対し、「汚れ落とし」機能とその性能アップで市場・顧客とマッチングしていた会社が、時代の変化の中でズレが生じていたと当時、分析した。その当時、着目したのが「不安」であった。

90年代後半~現在まで、まさに「不安」の時代だったと振り返れると思う。日用品メーカーも、「不安」と戦うべく武器にとったのは、”除菌””防菌””抗菌”といったキーワードであった。今、洗剤関係で、除菌抗菌の記号を見ないものはないくらいである。今もなお、感染症に世界中が危機にさらされており、「不安と戦う時代」といって過言ではない。

さて、ニュータイプの本を読んで、思い出したのは、その先である。当時、不足⇒不満⇒不安というキーワードを思いついて、その先は何だろうと仲間と議論して、たどり着いたのが「不毛」だった。”不”のごろ合わせ的には、しっくり納得したが、不毛の時代が、どんな時代なのか?、不毛の時代に何が求められるかまで、当時は考える余裕がなかった(記憶がある)。

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不毛の時代に必要なのが、「意味」ではないか!?

ここでニュータイプの登場である。山口氏によると、不満の時代が多くの正解で解決された後、人は「無意味なクソ仕事=虚業的労働」の中で耐え切れなくなり精神を病んでしまうと言っている。まさに次に来るのが、「不毛」の時代ということかもしれない。

つまり、不毛の時代の処方箋が「意味」作りと言えるかもしれない。30年前に放っておいた「不毛」の処方箋を今、書いてみる。

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直感と組織に関する考察

さて、山口氏によると、”意味”づくりには直感力が重要となるという事だが、これまでの感覚では、論理=客観=組織と親和性が高く、直感とは個人のもので、主観的で、組織とは、相容れ難いものとなるが、、、

それこそ、本を読みながら直感的に湧いてきたアイデアがある。「組織の直感力」というものはあり得ないだろうか? その会社だからこそ、こんな考えやアイデアがあるなと感じたケースはたくさんある。これから、そんな「組織の直観力」というものを作れる企業やチームが強くなれるのではないか?

そして、それは日本や日本人に結構、分がある勝負になるのではないか? 理由は日本人には忖度力があるからである。忖度とは「組織の直感」の消極的な力と言えるのではないか? リスク回避や事なかれの方向に働く組織の直感を忖度と言えると考えると、日本人には、「組織の直感」への感受性が高いと言えるかもしれない。

思い付きのコトバだけれど、「組織の直感」、少し追っかけてみたい。

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