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SNS運用を主軸に置いた飲食店の開発と運営


1.今更だけどSNS運用は大変?

飲食店だけではなくBtoC領域において、なくてはならない集客ツールとなったSNS(instagram,TikTok,Youtubeなど)ですが、今日はその活用と活用するにあたり必要な考え方についてinstagramを中心にお話ししたいと思います。

さて、こちらの記事を読んでいただいている方は飲食店を運営している、または運営したい方が多いと思いますが、皆様の想像する飲食店SNS運用とはどのようなものでしょうか?

毎日更新する、写真をきれいに撮る、ショート動画でお店の魅力を伝える。その中でうまくバズれば一気にお客様を集められる。
つまりやり始めるととっても大変かつ賭けの要素が強いものと考えていませんでしょうか?

結論から言いますが、ちょっと違います。

更新頻度?そこまで要りません。
きれいな写真?必要ですがきれいならOK、というわけではありません。
ショート動画?必要ですが、クオリティーは求めなくて大丈夫です。
バズる?そもそもよっぽどのことがない限りバズりませんし、バズらなくて大丈夫です。

Instagram運用において更新頻度やバズらせる、ということを考えてしまうと一気に運用ハードルが上がり、期待値も高くなり、結果疲弊してやらなくなってしまいます。

想像してみてください。
毎日投稿するネタを考えて、バズりそうな要素を脚本として落とし込み、投稿してみたら全然回らない。
これじゃあ何のために時間と労力(つまりコスト)をかけてやっているのかわからなくなりますよね。

つまるところ集客が増えれば良いわけで、その手段としてバズるとか毎日投稿するという行動になるわけですが、手段が大変すぎるのでそう遠くないうちに手段が目的になってしまうことが目に見えます。

もっとシンプルかつハイパフォーマンスを出せないと意味ないし、継続できなければ真の効果を感じる前に力尽きます。

2.運用で大事な前提と4つのポイント

[前提]
SNSでアピールするに足るコンテンツを作り続ける←これ最も重要です。

その上で…

  1. フィードで世界観を正しく表現する(やりすぎない)

  2. ハイライトで来店するにあたり不安な要素を排除する

  3. リール(ショート)動画で実際の来店体験を魅力的に見せる

  4. リール動画で広告を回し続ける

これだけです。
ハッシュタグの研究とか毎日投稿とか、オーガニックな拡散に時間をかけず、状況整えたら後はアップデートと共に広告をぶん回し続ける。これに尽きます。

3.お店にPRできるコンテンツがあるか?

「でも待って。SNSでフックになる商品や魅力がそもそもない場合は?」
私自身様々なサービスやお店のSNS運用を相談される中でぶち当たる最初にして最大の問題です。いや、本当に多い。

私は運用をお手伝いするときにお店や商品、スタッフさんなど全体の世界観を見てそのまま運用をお手伝いして結果を出せるか、お店さんの協力のもとSNSマーケティングの効果を最大化させるコンテンツ開発を同時に行うかを考えます。
前者の場合、むしろ知見があってそれをちゃんと想定したお店づくりをした上で自社運用がうまくいっていると思うので相談件数は非常に少ないです。
実際に相談をいただくのは後者のケースがほとんどでまずは何をPRすれば良いかを迷うところから始まります。

そのまま運用をサポートしても結果が伴わないことが想像できるのでまずはオーナー様や店長さんにコンテンツ(商品や内装、お店の世界観など)をブラッシュアップすることに協力していただきます。
(それができない場合、運用だけお手伝いしても費用と結果が伴わないので大変恐縮ながらサポートをお断りしております。)

4.正しい考え方で運用する

では具体的に運用するにあたり、どのような考え方で進めていくかを話していきたいと思います。

1.ターゲッテイング

ビジネスにはそれぞれターゲットが存在していると思いますが、なぜか飲食店ではかなり幅の広い設定をされているケースが多いのでinstagramなどから集客を得ようと考えた時にターゲットが広すぎると全く刺さりません。
ということを理解した上で、instagramで集客するターゲットを絞り込みます。
初めから明確なターゲットが定まっていてもinstagramとの相性が良くなければ新たなターゲット設定をする必要があります。
*ちなみに即効性が欲しいとなればなるほど、ターゲットは若年化し単価は下がる傾向にあると考えています。

2.運用方針を固める *一旦の。

ターゲットが明確になったらターゲットの思考性とお店の持つ空気感からまずはフィード投稿の雰囲気を決めていきます。
どういうトーンで、どういう色温度で、どういう彩度で、と方向性を言語化しつつ魅力的かつフォローしてもらえるプロフィールページのイメージを固めていきます。
イメージが固まったらまずはフィード上部18~30投稿分くらいを一気に撮影し投稿します。(この際ハッシュタグやコメントなどは最低限でOKです)
次にハイライトを作成しますが、上記で固めたイメージに沿って予約フォーム、メニュー、商品紹介、など3~5個ほどのハイライトを設置します。
ここまで作れたらフィードとハイライトはしばらく放置で大丈夫です。
むしろバランス崩れるので投稿は控えてもらうケースがほとんどです。
*運用過程でどんどん変わっていく可能性があるので「一旦の」としています。

3.リール動画を作成する

なぜリールが必要かというと単純で最近は縦型動画が主流となり、広告を回した時にフィードで回すよりも圧倒的に数値が良いからです。リール動画は、一眼レフで撮った素晴らしく凝った動画ではなくスマホ+ジンバルくらいでライトに撮ってカジュアルに編集した動画の方が圧倒的にリアクションがいいので、一人称or三人称視点で実際に来店から退店までの体験動画を作成します。
ここで重要なのが動画内でターゲットに則した魅力的なコンテンツが複数散りばめられること。
リール動画はBGM一つで大きくリアクションが変わったりしますので一見同じ動画でもいくつかのパターンを作成して投稿、広告へ使用して回します。

4.数値の集積と改善

以降2と3をぐるぐる回していきリール動画でCPCの改善をしつつ、APF(Access per follow)の推移を見つつプロフィールグリッドのブラッシュアップを行なっていきます。
*APFは私が勝手に使っている造語です。CPF(Cost per follow)ではリールの精度とプロフィールグリッドの精度が混在してしまうため、分けて見るようにしています。

付け加えですが、情報量の増加とお客様の自主的な拡散を促すためにインフルエンサーの導入を定期的に行なっていくとより良い効果が期待できます(若干コストかかります)

基本的にはこれだけ。
そこにコンテンツ開発を行い続けて発信するに足る魅力を作り続ける。
結局のところ、継続力と改善力が物を言います。

5.実績は?

実際、私が経営している飲食店ではこの方法でオープンから2年でinstagramフォロワー数が1.1万人を超え、SNSからの新規集客は700~900名様/月を獲得しています。
キャパシティーが35名ほどの店舗ですが現在は月間で2500〜3000名様にご来店いただくことができており、平均で3.5回転ほどの営業になっています。
一番売上が低い月でも広告比率は2%ほど、利益率は15%です。
ROIは前期で24%、今期は悪く見て40%~の見込みで運営できています。

6.SNSを考慮したコンテンツの開発

最後に重要なポイント、「コンテンツ開発」について具体的に私がやってきたことを3つお話しします。

1.店内雰囲気に影響する設備や備品の見直し

店舗の照明や家具類、お客さまから見える備品類、植物などなど。入口からトイレまで全てのディティールが整っている状況が望ましいですが、一旦完成させたお店ですからついついオープンと同時に気にしなくなってしまいます。
ターゲットはどういった雰囲気のものが好みか、どういうインテリアが非日常か、何が置いてあると写真を撮りたくなるか。
そういった観点で常に新しいものを探すアンテナを立てて過ごしていくといいと思います。

2.SNS用の商品開発

飲食店のよくある商品をただきれいな写真に収めても全くもって無意味です。
ぱっと見で「写真に撮りたい!」と思わせる映え商品を開発しましょう。ド派手でなくて大丈夫、店内照明や雰囲気との相性がよく綺麗に見えるとか、ノスタルジーを感じるとか、店内の他の要素と組み合わせて”素敵”を演出できるとベターです。

3.スタッフもコンテンツと考える

飲食店におけるスタッフはお店の世界観を大きく左右する要素です。
イケてるスタッフがいるお店にはイケてるスタッフが集まり、お客様もより楽しく過ごせるものです。
とはいえ一気には変えられませんが、SNS運用を正しく行なっていくことで、その世界観に沿ったスタッフィングが可能になります。
実際、私のお店では採用コストは0円、全てSNSから応募していただいた方々に働いてもらっています。

7.まとめ

お店は一回作ったら完成ではなく、内装や商品など全てが発展途上です。
もちろん、デザインの時点でSNSマーケティングを考慮しているに越したことはないですが、どんなお店でも知恵と工夫、少しのコストでガラッと雰囲気を変えて独自の世界観のあるお店を作ることは可能です。

実際に私のお店で今流行っている商品やウケているコンテンツは全て後付けのもの。
立地は変えられませんが、それ以外は全て変えていける。
駅徒歩1分だろうと5分だろうと10分だろうと、そこに魅力があれば人は呼び寄せることができるはずです。

今はうまくいってなくても、これからやるのに不安でも解消して結果につなげるためには全体を考え抜いた仕掛けと常により良くする考えが必要です。

ぜひ魅力的なお店を作って、飲食業界の価値改善をしていきましょう!

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