見出し画像

顧客満足とは何か?〜マーケティング・マネジメント第16版を読む

第19章 顧客ロイヤルティの構築の第2回目は顧客満足についてです。

はじめに、ロイヤルティの定義ですが以下の通りです。

「スイッチング行動を引き起こす可能性のある状況やマーケティング努力に左右されることなく、先々にわたり気に入った製品やサービスを反復購入し、えこひいきするという、顧客の心に深く根ざしたコミットメント」

つまり、他の選択肢に惑わさることなくそのブランドを継続して利用し続けることを心に決めている状態がロイヤルティが高い顧客ということです。

そして、顧客満足は顧客ロイヤルティを構築する上での鍵となります。

満足とは、ある製品やサービスに対する期待と、結果的に知覚されたパフォーマンス(成果)とを比較したときに感じる喜びや落胆といった感情である。

満足は主体的なものであり評価は顧客に委ねられます。一度、高い満足を経験すると、好感度は高まりやすくなります。また、不満に対するネガティブな影響は、満足を得たインパクトよりも大きいと言われています。

顧客満足の測定

自社の顧客満足の測定することは重要です。自社に基準を設けて定期的な調査を行っているというケースもあるでしょう。
ネットプロモータースコア(NPS)は、顧客ロイヤルティを示す指標として人気があります。
顧客に単純に満足度を聞くのではなく、顧客推奨度といって、「同僚や家族におすすめしますか?」と聞く調査です。
10段階評価で10-9点をつけた人はプロモーター、0-6点をつけた人がデトラクターとして、7-8点は受動的な満足としします。NPSのスコアは以下の式で算出します。

プロモーターの比率ーデトタラクターの比率=NPS
受動的な満足者はカウントされません。


簡単な調査であり業績との相関性も証明されているNPSですが、顧客満足のニュアンスを捉えきれていない、不正確な結果を生む可能性あるという批判もあります。

定性的な調査としては、ミステリー・ショッパーを採用するという手段もあります。潜在購買者となって、自社製品、競合製品を購入してもらい、その体験を比較検証します。

顧客ロイヤルティの構築

顧客ロイヤルティを構築するための戦略としては、密接な交流、ロイヤルティ・プログラム、ブランド・コミュニティの3つがあります。

密接な交流
人的な交流によって顧客の声に声を傾けて自社の製品やサービスの改良に活かすことで顧客価値の向上に努めます。特に、B2Bビジネスで営業と顧客担当者との関係構築からパートナーのように活かすことも可能です。

ロイヤルティ・プログラム
販促インセンティブの一種であり、顧客の継続的な利用を促します。わかりやすい例は航空会社のマイレージ・プログラムです。マイルを貯めるだけでなく、貯まったマイルでステータスが上がることによる高揚感やエリート感を活用しています。他の航空会社に切り替える心理的なハードルをあげることにもつながります(スイッチングコストの発生)。

ブランド・コミュニティ
ブランドを自分のアイデンティティの一部と捉えたファンと従業員からなるコミュニティを形成します。SNSを使ったオンラインでのコミュニティ活動も活発に行われています。
建設的なブランドコミュニティの条件として以下の4点をあげています。
1 交換する情報はタイムリーにする
2 投稿される情報の関連性を高める
3 会話の幅を広げる
4 情報交換の頻度を上げる

まとめ

顧客ロイヤルティを高めるための鍵となる顧客満足について、満足度の計測方法とロイヤルティ・プログラムについて説明しました。
顧客満足を高めることが重要と頭では分かっていてプログラムを実行していても効果がなかなか見えにくいという課題はよく聞く話です。ロイヤルティは、人の好き嫌いと一緒で好意を持ってもらっても信頼が一度崩れると取り返すのは困難です。
結局は、ロイヤルティは長期的に育てるものだということですね。


最後までお読みいただきありがとうございます。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?